中学受験 習い事は続ける?やめる?~後編~

西村則康近影

西村則康 名門指導会代表

40年以上、難関中学・高校受験指導一筋のカリスマ家庭教師。
「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーションをアドバイス、コーチング手法も取り入れ、親子が心底やる気になる付加価値の高い指導を行う。

目次

1. 特に両立が難しい習い事と子どもの体力の限界を知っておく
2. 習い事の重要性はお子さん/ご家庭それぞれ
3. 習い事をどうするかは親子でよく話し合って

「中学受験 習い事は続ける?やめる?~前編~」では、中学受験で最後まで習い事を並行する選択は基本的におすすめしないというお話をしました。

もちろん6年生まで習い事を続け、合格した生徒がいないわけではありません。

しかしそれはほんの一握りであり、卓越した集中力や地頭の良さ、能力等を持っている場合に限ったことです。

1. 特に両立が難しい習い事と子どもの体力の限界を知っておく

特に両立が難しいのはサッカーや少年野球、チアリーディングなどの団体スポーツです。

まず、土日祝日の試合や合同練習が多いため、大手塾で定期的に実施される模試や特別授業と日程がかぶり、重要な学習や演習の機会を逃しがちになるという点があります。

また、習い事の方でも、どうしても参加できない試合や練習が出てきますから、チームに迷惑をかけてしまったり、仲間に技術や能力がついていけなくなって引け目を感じたり、疲れのために試合や発表の場で集中力が発揮できなくなったりして、自信を喪失することも増えるでしょう。

もちろん学習そのものにも弊害が出ます。

平日の塾の時間帯はどうがんばっても眠くて仕方なく、下手をすれば初めから終わりまでずっと船を漕いでしまうタイプには、休日野球やサッカーの試合で体力を使い果たしている子が少なくありません。

授業の殆どを眠って過ごすようになってしまい、帰宅後は課題をやる気力も、それをこなすための知識も身につけられておらず、どんどん学習が遅れてしまうため、そのうち受験そのものに対する意欲ややる気がなくなってしまい脱落してしまうケースもよく見られます。

受験生とはいえ、まだ10代の子どもの身体ですから限界があります。

「甘えている」「人の何倍も頑張ればいい」「本人の気持ち次第」などと精神論でどうにか出来る問題ではなく、簡単に言えば体力の問題です。

中学受験は皆に等しく与えられたごく短い(一般的には3~4年間)の中学受験生生活の中で、同じ時間をどのように使うかの勝負でもあります。

受験と習い事の両方を無理に抱えたままなんとか最後まで走り抜けられたとしても、結局どちらも中途半端な結果になり、お子さんの自己肯定観が崩壊してしまうケースも多いので、ぜひ気をつけていただければ思います。


2. 習い事の重要性はお子さん/ご家庭それぞれ

ただし、これは中学受験で合格を勝ち取ることをその時期の第一目標においている場合の話です。

たとえば

「そもそも野球選手になるのが本人の夢で、親御さんもそれを応援している」
「中学受験をするのは中高一貫校で野球に集中できる環境に身を置くためで、学校や偏差値にはあまりこだわりはない」

という場合はもちろん、受験当日まで所属チームで野球を続ける選択もあるでしょう。
(実際そのような選択をして、中学受験はやはり不合格になったものの、プロ野球選手になる夢を叶えた生徒さんがいました。)

また、団体スポーツなどではなく、一人でスキマ時間に出来る水泳やピアノなどの習い事は、本人のストレス解消や気分転換になるのならば続ける選択肢もなくはありません。
(ただし、その時点で全く泳ぐことができなかったり、好きな曲を2,3スラスラ弾けるレベルまで達していなかったりする場合は、技術習得や練習に時間が取られすぎてしまうのでおすすめしません。)

また、必ずしも習い事を「辞める」必要はなく、いったん「休む」選択肢も当然あります。

お子さんが習い事を「絶対やめたくない!」「休むのも嫌!」となかなか受け入れてくれない場合は、

「中学受験で合格したいよね?今は勉強に専念した方が合格できると思うよ」
「中学に入ったら再開しようね」
「高校受験がないから合格できたらのびのびやれるよ」

などと声をかけてあげるのも良いと思います。

3. 習い事をどうするかは親子でよく話し合って

学習方法や塾の最適な選択が一人ひとりで異なるように、習い事を続けるか続けないかも、お子さん本人の夢や志望校のレベル、ご家庭が何に重きを置いているか等により様々です。

4年生頃になったらぜひ一度、お子さんの学習状況と習い事とのバランス・体調や体力面などを見直し、お子さんの気持ちを大寧に聞いた上で、一緒に納得する答えを見つけてあげてくださいね。

中学受験生の皆さんが心身ともに無理なく、悔いなく、笑顔で春を迎えられることを願っています。

       

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