相次ぐ中高一貫校「高校募集停止」で考える

西村則康近影

西村則康 名門指導会代表

40年以上、難関中学・高校受験指導一筋のカリスマ家庭教師。
「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーションをアドバイス、コーチング手法も取り入れ、親子が心底やる気になる付加価値の高い指導を行う。

目次

1. 2023年5月 新たに2校が高校募集停止を発表
2. 完全中高一貫化はさらに加速の傾向
3. 高校募集を停止する学校が増えている理由
4. 中高一貫教育のメリットとデメリットを考慮して判断を

一気に気温が上がり、日差しも強くなりましたね。

季節の変わり目ですが、受験生の皆さんは元気にやっていますか?

1. 2023年5月 新たに2校が高校募集停止を発表

さて、2023年5月11日、新たに高校募集停止を発表した学校が2つありました。


まずは1891年に榎本武揚(政治家)が設立し、2023年の大学入試では国公立・早慶上理・MARCHに551名(既卒生含め)の合格者を輩出した東京農業大学第一高校。



外部募集は2024年度入試が最後で、2025年度から完全中高一貫校化がスタートします。

※6月13日に入試の新制度や新校舎、新たな学習環境等について説明会実施予定。


説明会終了後に校内や授業の見学が可能。(対象は塾や教育関係者)




もう一つが奈良市にある東大寺学園中・高等学校。


関西では知られた進学校であり、もとは1926年に勤労青少年のための夜間学校から始まった私立男子高校です。


2023年度大学入試では東京大学に18人、京都大学に64人の合格者を輩出しています。



こちらは早くも2024年度から新制度が適用されますが、その分2021年度から中学校の募集定員を(それまでの176名から200人に)増員しており、来年度もその予定が発表されています。


2. 完全中高一貫化はさらに加速の傾向

このように、以前からお伝えしているように2015年頃から始まった中高一貫校における「高校募集停止」「完全中高一貫校」化は、近年さらに加速しています。



私立では高輪を皮切りに、海城、浦和明の星女子、成城、近年話題になったところでは本郷高校、豊島岡女子学園開智日本橋学園、東邦大学附属東邦、三田国際学園などがあり、ついには都内全ての公立中高一貫校でも完全一貫校化が決定しました。
(※豊島岡は2022年から新制度がスタートしていますが同年、翌年共それに伴う中学の募集人数枠増加は無く、2024年度もその予定は発表されていません。)





このような状況が「高校受験では選択肢が狭まってしまうのでは」という危機感につながり、受験のタイミングを検討し直すご家庭も増えているようですが、そもそも近年中高一貫校の「高校募集停止」「完全中高一貫校」化が加速的に進んでいる背景には何があるのでしょうか。

3. 高校募集を停止する学校が増えている理由

①徹底した教育目標の実現
教育目標の実現には6年という時間をかけてより丁寧に学びを深め、育むシステムがふさわしい、教育の質をより向上させたいという判断から。
(活発な部活動をサポートしたいという意見も)


個性的な教育理念を持つ学校の場合、理想の人格形成や教育理念の実現には(受験勉強も重なる)高校3年間のみでは厳しい現実があったのかもしれません。




②新学習指導要領の影響
「新学習指導要領」により「歴史総合」「理数探究」「情報」などの新科目が導入されたことは大きな要因の一つだと考えられます。


中高一貫校では多くの場合6年間の学習内容を5年間程度で終わらせるカリキュラムになっていることが多いため、高校から外部入学してくる生徒たちと内部進学生では授業進度が異なり、講師は2パターン以上のカリキュラムや習熟度別クラスを用意しています。



教育現場では講師の過剰労働が問題視されて久しいですが、すでに無理があるところに、これらの科目が一気に新設・導入される現場での負担は計り知れません。


これを軽減するために高校からの外部入学を停止しようという流れが生まれるのは自然なことですね。


また、新学習指導要領に対応するため、完全中高一貫校化と同時に独自の科目を新設する学校もあります。

③大学入試改革の影響
大学入学共通テストではこれまでの全マーク式から記述式が検討され、国公立、私学入試においても全体的に思考力や表現力がこれまで以上に重視されるようになりました。



AO、小論、グループ面接などを使用した入試、推薦入試もより一般的になり、これらの対策としては留学なども含めた様々な経験から得られる幅広い知識や視野、自由な発想・思考力、表現力が有効とされているため、中高一貫の6年間をどのように使うか、いかにそのような探求学習に充てる時間を捻出できるかも勝敗を分けるカギになるわけです。




新たな大学入試の形に対応するために完全な6年一貫教育に舵を切った学校は少なくないでしょう。

実際に、この決断による成果(難関大学合格者数の伸び)が少しずつ出始めている学校もみられます。



4. 中高一貫教育のメリットとデメリットを考慮して判断を

こうしてみると中高一貫校のメリットは多いようですが、もちろんそれだけが選択肢ではありません。



海城中学のように、完全中高一貫校化に伴い学校理念の一つでもある多様性が狭まるリスクを回避するため、中学入試に帰国生枠を新設するなど対策を行っている学校もありますが、多様性(ダイバーシティー)の時代だからこそ、あえて同じような理想を目指した似たタイプの生徒が集まる中高一貫校ではなく、さまざまな背景や個性を持った生徒が集まる公立中学で過ごさせようという考えもあります。




また、お子さんの現在の精神年齢を鑑みて、もしくは中学受験後の燃え尽き症候群のような状態で中学時代を過ごして欲しくない、高校受験が控えていないことで気を緩めてダラダラ過ごしてほしくないなどという理由で、あえて中学受験を選ばず、初めから公立進学を考えるご家庭もあります。





最適な選択肢は各ご家庭、お子さん一人一人によって全く異なるでしょう。


受験にまつわる噂話や掲示板、ママ友の意見等に流されることなく、ぜひご家庭の方針やお子さんの性格や精神年齢、適性を十分に鑑みた上で、ご本人の気持ちを大切にしながら、ご家族でよく話し合ってみてください。



中高一貫校の相次ぐ「高校募集停止」を受け、皆さんが中学受験をするにしろしないにしろ、お子さん自身の感覚、考えを大切に、納得の行く進路を見出せることを願っています。

       

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