習い事

【中学受験】夏に意識したい効果的な授業の受け方〜辻義夫先生から学んだこと〜

目次

先生の方を見て話を聞くのはなぜか
口元を見ると話がよく分かる!?
話を最後まで聞く理由は「話す方がその前提で話しているから」
6年生の夏期講習は「アウトプット中心」だからこそ準備が重要

夏休みが近づいています。あと1月足らずで、夏期講習が始まりますね。

新著「『受験で勝てる子』の育て方」の中で「6年生の1学期までインプット期間」と書いたのですが、4年生、5年生も、夏休み期間はインプットとアウトプットのバランスが難しくなります。

塾では1週間に1つの単元を進むのが通常の進度ですが、夏期講習になると1週あたり2〜3 単元のスピードで進むことになります。

ふだんの2倍以上のスピードで 学習サイクルが回っていくので、まずは授業で最大限、先生の話を理解するように努めなければなりません。

新著でも授業の聞き方について詳しく書いたのですが、 実はこれは、名門指導会 副代表の辻義夫先生が話しておられるのをセミナーなどで聞き、私自身「 なるほど」と思ったからです。

辻義夫先生とはセミナーやインスタライブなどでよくご一緒するのですが(書籍の共著もあります)、私自身も学ぶことが多い時間となっています。今回は、そんな辻先生のお話から私自身が学んだことを、いくつかお話ししたいと思います。

先生の方を見て話を聞くのはなぜか

私もこれまでよく「先生の顔を見て聞くんだよ」「 先生が話し始めたら 手を止めて先生の方を見るんだよ」ということを お子さんたちに伝えてきたのですが、それがなぜなのかをあまり強く子どもたちに伝えたことがなかったように思います。

辻先生はその理由を、ご自身の経験をもとに丁寧に子どもたち、親御さんたちにお話ししていたのです。

先生の方を見て話を聞くとよくわかる理由。
それは、音声だけでなく視覚からの情報も活用して理解するためです。話している人(授業では先生)は、話だけでなく、目線や表情、ゼスチャー、身振り手振りを活用して伝えようとしているからですね。

お子さんたちには「先生の表情や仕草を見ながら聞くとわかりやすいよ」と伝えてあげるといいですね。

口元を見ると話がよく分かる!?

授業の聞き方のお話の中で辻先生が「先生の口元を見て話を聞くといいよ」とお話しされていたのも印象的でした。

彼はよく「寄席」を見に(聞きに)行くのだそうですが、登場する噺家の方の中にも新人の方がいたり、真打ちクラスの超ベテランもいます。

寄席では基本的に、経験の浅い方から順に最後の「トリ」は師匠クラスになるのですが、 前半を聞いているときには、彼自身が話者の方、特に口元を無意識に見よう見ようとしているのに気づくのだそうです。

それが真打ちクラスになると、 全く口元を見ずに目を閉じていても、ありありと情景が浮かんでくると言います。実は授業も「ライブ」です。先生によって話が流れるように頭に入ってくるようなケースもあれば、滑舌があまり良くなかったり聞き取りにくいこともあります。そんな時に口元をよく見ることで、相手が何を話しているかがよくわかると辻先生はいいます。

この話をぜひ、お子さんたちの夏期講習が始まる前にお伝えいただければと思います。

話を最後まで聞く理由は「話す方がその前提で話しているから」

「先生の話を最後まで聞きなさい」 ともよく言われますが、やはり 辻先生はその理由を子どもたちや親御さんたちに丁寧に伝えています。

辻先生によると、先生の話を最後まで聞く理由は「最後まで聞くとわかるように先生が話しているから」「 授業がわからなくなってしまう生徒は『わからない』と思った瞬間から先生の話の続きを聞くことができなくなって、ますますわからなくなってしまうから」とのこと。

こちらも「 なるほど」と思ったのですが、話している方は「最後まで聞いてもらう前提」で話している一方で、あるところで「わからない」と思った生徒はパニックになり、その後の話を聞くことができなくなってしまうというのは、話している側からすると盲点になる部分です。

だから辻先生は授業中、子どもたちに「先生は最後まで聞いてくれたらわかるように話しているので、もし途中で『わからない』と思っても、最後まで話を聞いてほしい」と話していたそうです。

これは子どもだけでなく、教える仕事に携わっている多くの方に参考にしていただける話ではないかと思います。

6年生の夏期講習は「アウトプット中心」だからこそ準備が重要

さて、6年生の夏休みは これまで以上に「アウトプット」が重要な学習スタイルになります。 つまり「 必要なことは これまでに全て習ってしまっている」という前提で、まず問題を解くところから授業が始まるのです。

問題を解いて解説を聞く中で、自分が忘れていたことや抜けていた知識を拾い出し、穴埋めすることで学力を完成させるというスタイルの授業になっています。

だから、基礎知識や基礎的な学力が大きく不足している状態で臨むと、せっかくの問題演習の時間が無駄になってしまいます。「ほぼ問題を解けない状態で解説だけを聞く」というような授業の受け方になってしまうと、多量の学習内容をしっかり 定着していくことがとても難しくなります。なぜなら6年生の夏期講習は長時間であり、家庭での定着に時間をかけることが難しいからです。

6年生のお子さんはこのことを念頭に、夏休みまでに基礎知識や基礎的な学力を底上げしておくことを意識して、ここからひと月の期間を過ごしていただければと思います。

梅雨入りし、じめじめした天候が続きますが、体調に気をつけつつ皆さんがしっかり夏に備えて準備されることをお祈りしています。

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【中学受験】漢字のオススメ学習方法 ~夏休み前の今、始めよう~

目次

夏に備えて準備しておくべきこと
効果がない漢字学習のやり方とは
効果がある漢字学習のポイントと注意点について
漢字は「急がば回れ」の学習法で
おすすめ教材の一例

梅雨入り前のジメジメした気候が続いていますね。

この先1か月は全国的に平年より気温が高くなる予測なので、梅雨と相まって湿度もいっそう高まりそうです。

この時期は身体がまだ暑さに慣れておらず、体温調節をする準備が不十分ですから、まだ夏本番ではないからと油断せず、水分や適度な休息をしっかり心掛けていきましょう。

夏に備えて準備しておくべきこと

先日、6月・7月は「受験の天王山」である夏休みを万全な状態で迎えるための重要な時期であることをお伝えしました。

特に大手中学受験塾に通っている場合、夏休みの過密スケジュールの中で自分が自由に使える時間は、案外少ないものです。

繰り返しになりますが、夏休みに過度な期待をして学習の先送りや積み残しをすることなく、むしろ、理科・社会の暗記や、国語の漢字・語句など、コツコツ知識をつけなければならないものは今からでも少しずつ手をつけ、できれば一巡しておきましょう。

そこで今回は、よく寄せられるお悩みの一つである「漢字の学習方法」についてお話ししておきたいと思います。

特に多いのが、漢字が覚えられない・すぐ忘れてしまうというお悩みです。

このような場合、以下のような覚え方をしていないか確かめてみましょう。

効果がない漢字学習のやり方とは

×知らない漢字や熟語の意味を確認せず、ひたすら何度も書く。

×答えが隠れる赤シートが付いた問題集や単語帳を用いた暗記法(自分の手で書かない)。

×漢字問題集を解き終えたら、すぐまた別の問題集に取り掛かる、というやり方(問題集は1度解いたら終わり)。

×テスト直前に覚える&テストで間違えてもそのまま。

これらはどれもその場しのぎで、漢字を定着させる工程が踏まれていません。
よって漢字が上手く覚えられず、覚えたようでもすぐに忘れてしまうのです。

もしも上記のやり方に心当たりがあった皆さんは、今日からはぜひこちらに切り替えてみてください。

効果がある漢字学習のポイントと注意点について

〈漢字をしっかり定着させるために有効な方法〉

◯漢字、熟語の意味を理解して覚える。
◯間違えたものは必ず直しを行い、手を動かして(書いて)反復する。
◯自分だけの間違いノートを作り、テストや授業でミスが発生するごとに更新する。
◯(漢字学習は)なるべく毎日やる。

意味もわからず書きまくるだけでは記憶に残りません。

英文を覚える時に単語の意味や文法、和訳を理解している方が覚えやすいのと同じで、漢字・熟語も部首や成り立ち、意味を理解している方が覚えやすく、またきちんと定着させることができます。

答えが隠れる赤シートや単語帳を用いた「目」だけの学習は、やった気にはなるもののあまり効果はなく、特に、読みの暗記は出来るようになっても、なかなか書けるようになりません。

いざテストに出てもトメハネの記憶が曖昧であったり、送り仮名を間違えたりしがちなので、これらのやり方は通塾のスキマ時間などに補助的に用いるのは良いですが、基本的には漢字は書いて覚える=身体で覚える、ということを頭に入れておきましょう。

そして、漢字学習の際、次々と問題集を変えたり、1度解いただけで終わりにしたりするのでは、どんな素晴らしい問題集も効果が半減してしまいます。

漢字は完璧でなければ無意味ですから(記述と違い、トメハネや送り仮名など、ミスが一つでもあれば得点になりません)まずはこれと決めた1冊にとことん向き合い、その1冊が完璧に仕上がったら、さらに難度の高い問題集、という進め方のほうがずっと効果的です。

漢字は「急がば回れ」の学習法で

面倒で回り道のようでも、漢字や熟語の意味をきちんと調べ、よく理解し、「目」だけではなく、実際に「手」を動かす演習を繰り返してみてください。

毎週のテストでも、効果は抜群のはずです。

そして、それでもテストで間違ってしまったときには、必ず間違い直しをしましょう。

ミスしたものは漢字だけではなく、問題文や例文とともにきちんとノートに記録し、万が一再度その漢字を間違えた場合にはそこに印をつけていきます。

そうすることで、自分が間違えやすい漢字やそのタイプがだんだんわかってきます。
(例えば「保証・保障・補償」のような同音異義語であるとか、「秋刀魚」「心太」のような簡単だけれど間違えやすいものであるとか)

先日お伝えしたように、朝食前の5分間でも良いので、この時期から出来るだけ毎日取り組めると良いですね。

おすすめ教材の一例

6年生で漢字が苦手な場合は『漢字マスター1095題 6年』(日能研)、基礎が身についている場合は『中学入試 でる順過去問 漢字 合格への2606問』(旺文社)などが取り組みやすいです。

参考書としては、小学校で習うすべての漢字が学年別に収録されている『SAPIXの漢字学習字典 SAPI漢』(サピックス)も良いと思います。

イラスト付きで、漢字学習が楽しくなる知識も紹介されているので4年生でも使えますし、サピックスの校舎だけでなく書店などでも購入できますよ。

『小学漢字 1006字の正しい書き方』(旺文社)はポケットサイズで持ち歩きやすく、書き順が一画ずつ示されている上、熟語も豊富です。
すべての漢字に成り立ちに関するコラムもあり、こちらも大変重宝しますよ。

漢字学習は読み書きだけでなく、熟語・対義語・類義語などの知識や語彙力のアップ、ひいては国語力そのものの底上げに繋がるので、夏休みまでに終えておくと特にメリットが大きい学習の一つです。

受験生の皆さんが心身ともに余裕を持って夏休みを迎えられること、そして、各科目の知識を総ざらいすることを通じて、コツコツ取り組んだ暁には大きな結果がついてくることの楽しみ、喜びを体感してくれることを大いに期待しています。

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【中学受験】夏休み前にやっておきたいこと

目次

学習の「積み残し」をつくらないためのポイント
夏は「受験の天王山」だからこそ備えが必要
うまく回っていないなら今のうちに相談を

6月半ばになり、梅雨入りが近づいていますね。

朝は晴れていたのに帰りは土砂降り、暑くなったかと思いきや急に肌寒い、というように、この時期は気候が不安定になります。

体温調節しやすい服装を心がけ、良質な食事と睡眠をたっぷり取って、元気に過ごしていきましょうね。

そして、梅雨が明ければ夏休みがやってきます。

体調も気力も万全で迎えられるように、今のうちにやれることはしっかりやっておきましょう。

学習の「積み残し」をつくらないためのポイント

まず大切なことは、日々の学習の積み残しをしない、ということです。

忙しい受験生の皆さんは「夏休みにまとめて復習するから」「夏休みにがんばって挽回するから」とつい考えてしまいがちですが、夏休みは夏休みで各塾の宿題がありますし、模試や毎日の講習もあります。

余計な課題を夏休みに先送りしないよう、今のうちに1週間の学習がしっかり回っているか、日々のルーティンに無理がないかを改めてチェックし、必要があれば改善しておきましょう。

塾のある日は、その日のうちに課題をこなせなくとも、「今日何を学習したか」をざっと思い出し、頭の中で整理しておくだけで大変効果的です。

整理をしないまま寝てしまうと、次の日には前日に得た知識が随分曖昧になってしまうものです。

宿題の進み方もかなり違ってくるので、塾から帰ったら、「今日何を学習したか」を親御さんと話す習慣をつけるのも良いですね。

夏は「受験の天王山」だからこそ備えが必要

大手塾の夏休みは前述の通り宿題や講習だけでもなかなかにハードです。

特に6年生は過去問演習もありますから、「夏休みが受験の天王山」とはいえ、その時期の自分(自分が自由に使える時間や、こなせる学習量)を過信しないことです。

理科や社会の暗記、国語の漢字や語句など、コツコツと知識をつけなければならないものは、今からでも少しずつ手をつけできれば一巡しておくと、心にも余裕を持って夏休みを迎えることができます。

完璧でなくてもよいのである程度それらの知識を夏休み前に完成させておくと、そのベースをもとに夏の講習や課題に取り組めるため、夏の学習効果も格段にアップしますよ。

また、日々のルーティンについてですが、夏休みまでの残り1か月で、もしも今習慣となっていないならすぐにでも、朝や就寝前に短い学習を取り入れるようにしましょう。

その時間には重たい内容ではなく、各教科の知識や国語の漢字、 算数の計算など、負担の軽い学習を充てるとより習慣化しやすく、続けやすいと思います。

うまく回っていないなら今のうちに相談を

あれこれ試しても日々のルーティンや一週間の学習スケジュールがなかなかうまく回らない人は、今のうちに塾や家庭教師の先生に助言を求めることも相談してみることをおすすめします。

その際、夏休みまでにどの科目のどんな知識の学習を済ませておきたいかも一緒に確認して計画を練ってもらうと、より具体的な夏までのスケジュールが組めますよ。

受験生の皆さんがここからの一カ月を上手に使い、学習はもちろん、心にも余裕を持って、元気に夏休みを迎えられることを祈っています。

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【中学受験】夏までに「書く習慣」をつけさせよう

目次

子どもはなぜ書かずに解こうとするのか
書く習慣をつけるには
親が言って聞かないことは誰かに言ってもらう

6月に入り、夏が近づいてきていることを感じさせる気候になってきました.

塾の新しい学年が始まって4ヶ月、お子さんたちは安定した学習サイクルを維持できているでしょうか。

「中だるみ」のようなものを感じている親御さんもいるかもしれません。

今回は日々の学習の中で親御さんが気になっているお子さんの学習傾向について考えてみたいと思います。

子どもはなぜ書かずに解こうとするのか

式を書くのは面倒がったり、図を書かずに頭の中だけで考えて解くお子さんがいます。

概ねそのようなお子さんはテストの点が伸び悩むものですが、親御さんがそのことを指摘してもなかなか 修正できないことが多いものです。

ではなぜそのようなお子さんが書かずに頭の中だけで解こうとしているのかというと、 そもそも 書くことの必要性を分かっていないというケースがあります。

新しいことを習う時、 塾の先生は 黒板に図や表を書いたり、様々な方法で 分かりやすく子どもたちを指導します。
その考え方や解き方を知っておくだけでなく、図や表を書くことなども必須の行動なのですが、それを見て「分かった」と感じた お子さんは「もう自分でできる」と判断します。

図や表があってこそ考えが整理できて理解が進んだことを忘れ、「この解き方を思い出せば 、同じ種類の問題は頭の中だけで解けるはずだ」と考えてしまうのです。

ですから、あらためて図を書くことの重要性を教えてあげる必要があるのです。

まだ今一つ 習慣になっていないというご家庭は、ぜひ夏までに習慣化することを目指してがんばってください。

書く習慣をつけるには

図や式、表などを書かずに問題を考える習慣がついたお子さんに、あらためて書く習慣をつけさせるにはどうすればよいでしょうか。

まずは小さな成功体験を積み上げていく必要があります。

そのチャンスの一つがテスト直しです。
テストで図や表を書かずに間違っていた問題の直しをする時に、あらためて図や表を書いてみたら正解できた、という成功体験を積み上げていくのです。

そのためには、親御さんの根気強い声かけが必要になります。

問題を考えているお子さんの手が止まってしまうような時に「何を書けば解けそうな気がする?」と声をかけるようにしてください。
「図を書きなさい」ではなく「 何を書けばいいと思う?」と声かけすることが ポイントです。

普段の学習から、この「何を書けば書けそうな気がする?」は意識、実行いただければと思います。

親が言って聞かないことは誰かに言ってもらう

子どもが高学年になってくると自立心が芽生え、親の言うことに素直に従わなくなってきます。
反抗期ですね。

これはお子さんが順調に成長している証でもありますので、親のアドバイスを素直に受け入れられない場合は、無理せずにどなたかに代わりに言ってもらうとよいと思います。

通っている塾でお子さんが信頼している先生がいるなら、その先生から言ってもらうのも一つの方法です。
個別指導に通っていたり家庭教師をつけているご家庭では、担当の先生が適任というケースも多いでしょう。

普段からお子さんの指導に当たっている プロですから、その必要性をうまくお子さんに伝えてくれると期待できますね。

夏休みまで 2ヶ月足らず、ぜひこの期間にあらためて「書く習慣」について見直してみていただければと思います。

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【中学受験】受験に強い子に育てる親の接し方とは

目次

受験に強いお子さんの3つの特徴
子どもを冷静に観察しよう
子どもを冷静に観察するようになったら起こること

5月も下旬に入り、夏を思わせるような天気の日も多くなってきましたね。

まだ梅雨は経る必要はありますが、夏に向けて学習環境を整えていきたいところです。

今回は受験に強いお子さんを育てるための、親の関わりについて考えてみたいと思います。

受験に強いお子さんの3つの特徴

私はこれまで40年以上、数多くの受験生を見てきました。

そんな中で「受験に強い子」は確かにいると考えています。

そのようなお子さんに共通する特徴として、以下の3つが挙げられます。

1. 基礎学力がある
2. 学習習慣が身についている
3. 自分に自信がある

中学受験を目指す多くのお子さんが 4年生から塾通いを始めますが、4年生の受験勉強スタートの時点から、基礎学力と学習習慣を早い段階で身につけていくことが大切です。

基礎学力と学習習慣がうまくついていくサイクルができているなら、自分への自信は自然についていくでしょう。
逆に 学習習慣がつかないと努力しても結果が出ず、なかなか自信が得られない状況になってしまいます。

まずは1日1時間など、塾の復習や宿題にあてられる時間をしっかり確保することから始めましょう。
はじめからうまくいくとは限りませんが、まずは「毎日勉強できたかどうか」に注目して お子さんを評価してあげましょう。

朝学習などに関しても同じ考え方で「今日も朝勉強できた」という事実を褒めてあげるといいと思います。
このような試みで学習習慣がついていくのに、少なくとも3ヶ月程度はかかります。
入塾から毎日、学習の習慣を積み上げてきた お子さんは、5月下旬の今そろそろ習慣化してきたと実感できるのではないでしょうか。

まだ今一つ 習慣になっていないというご家庭は、ぜひ夏までに習慣化することを目指してがんばってください。

子どもを冷静に観察しよう

親御さんがいくらがんばっても、実際に受験をするのはお子さんです。
そのお子さんはまだ小学生ですから、大人に比べると気分のムラなどが大きいのも仕方がないことです。

そんなときはどうしても「勉強しなさい!」と叱咤激励してしまいがちなのですが、これは多くの場合悪手となってしまいます。

「自走できる子の育て方」の共著者としてご一緒した名門指導会副代表の辻義夫先生は、セミナーなどの中でよく「『勉強しなさい』という声かけをすればするほど、『勉強は大変で嫌なものだ』とお子さんに刷り込んでしまうことになる」というお話をされるのですが、私もなるほどそのとおりだと思います。

親子さんとしては「どんな時にやる気になってどんな時に勉強を嫌がるのか」をしっかり観察し、どうしたら我が子が気持ちよく勉強に向かえるかという視点で接するのが良いでしょう。

「受験生はこうあるべき」という理想像をたてて、お子さんをその通りに行動させようとしても、なかなかうまくいかないのが現実です。

子どもをよく観察する習慣がついてくると、理想像と今の状態を比べてお子さんにダメ出しをすることが少なくなってくると思います。
すると お子さんへの「勉強しなさい」といった声かけが少なくなってきたことに気づくでしょう。

子どもを冷静に観察するようになったら起こること

冷静に子どもを観察できるようになってくると、子どもの悪い面だけでなく できたことにも目が向くようになります。
「 少し時間がかかったけど、ゲームをやめて勉強できたね。 我慢できて偉かったね」といった 声かけをされて悪い気がする お子さんはいないはずです。

小学校5年生ぐらいになると反抗期にも入り、素直に感情を表に出さないケースもあります。
でもやっぱり子どもですから、心の中の「親に喜んでほしい」「親に褒められたい」という思いは大きいんです。

この気持ちが、勉強へのモチベーションになることは間違いありませんね。

受験に強い子はただ単に大量演習を繰り返してきた子ではなく、このように親から前向きな言葉を毎日渡されてきて自信をつけてきたお子さんということになります。

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【中学受験】転塾するならいつまで?気をつけるべきことは

目次

塾との相性を見直すのにちょうどいい4・5年生の夏期講習前
転塾のリミットは5年生の終わり、できれば 夏期講習 前くらいに
転塾を考える際に気をつけておきたいこと

5月も中旬、4年生から塾通いを始めたお子さんは、ずいぶん塾通いにも慣れてきたのではないでしょうか。

新しい学年の勉強が始まって3ヶ月が経ち、一度落ち着いて学習の状況を振り返ってみるのにちょうどいい時期だと思います。

今回は、転塾について考えてみたいと思います。

塾との相性を見直すのにちょうどいい4・5年生の夏期講習前

親御さんが転塾を考えるときその一番の理由は、やはり成績が上がらないということではないでしょうか。
塾を変えたからと言って成績が上がるとは限らないのですが、現状の学習サイクルがうまく回っていないということであれば、その原因を突き止めなければなりません。

授業のテンポが早すぎてついていけない、宿題が多すぎて手が回らない、あるいは担当の先生と合わず授業がよく理解できていないというケースもあると思います。

いずれにせよ原因がわかれば、それを解決する方法を考えれば良いですね。
その方法の一つが転塾だと考えればいいと思います。

夏休みになると各塾では夏期講習が行われますが、講習会は外部からの入塾生を受け入れる 機会として捉えている塾が多いと思います。
転塾する側のご家庭から考えれば、塾が外部性を受け入れる体制を整えている夏期講習は、転塾するには絶好の機会だといえます。

成績不振の原因を探ってみて、塾と合わない、塾の授業スタイルや テンポと合わない、ということであれば、ひとまず外部性として他塾の夏期講習を受講し、転塾の可能性を探ってみるのも一つの方法です。

転塾のリミットは5年生の終わり、できれば 夏期講習 前くらいに

どうしても今お通いの塾で成績が伸びない 、学習サイクルがうまく回らないということであれば、いつでも転塾は検討すべきだと思います。

ただし 6年生になってしまうと、もう外部性は受け入れないという塾も出てきます。

ですから転職するのであれば 5年生のうちに、できれば5年生の夏期講習くらいまでを目処にするのがいいでしょう。

また、お通いの校舎の先生と合わない、 塾のスタイルはいいのだが 環境を変えたい、というようなケースでは、同じ塾の別の校舎に移る「 転校」という方法もあります。

いずれにせよ 現状で感じている問題点を明らかにして、必要であれば 塾の先生にも相談して決める必要があります。

塾の先生に相談すると引き止められそうで相談しにくいという場合は、外部の専門家やプロ家庭教師にセカンドオピニオンを求めてみることもいいと思います。

転塾を考える際に気をつけておきたいこと

転塾を検討する時に気をつけていただきたいこととして、転塾先でうまくいく イメージをしっかり持てているかということがあります。

例えば サピックスに通っていて、カリキュラムの進行が早すぎてついていけない、という問題点を抱えているとします。
この場合、転塾先としてサピックスと同じような進度のグノーブルのような塾を選んでしまうと、 根本的に問題が解決しないということになります。

サピックスよりも進度が緩やかな、日能研などの塾が転塾先の候補になるでしょう。

また、そもそも多人数の中で切磋琢磨し合う一斉塾の環境が合わないということであれば、 少人数の塾や個別指導などを検討することになります。

転塾はある意味、勇気や思い切りのいることですが、現状で学習がうまく回っていない状態が続いているといった場合には、積極的に検討してみるべきだと私は考えています。

もちろん私達名門指導会にもオンライン相談などの窓口がありますから、ご相談いただいても結構です。

お子さんの学習サイクルが、良好に回っていくことを願っています。

中学受験】朝学習を始めよう ~朝学習はなぜ良いの?~

目次

朝学習のメリット1 朝は頭がスッキリ
朝学習のメリット2 朝学習で自分の「調子」を知る
朝学習のメリット3 学習を習慣化するコツが分かる
朝学習の具体的な進め方
GWを朝学習のスタートに

「朝学習が良い」とはよく言われることですが、中学受験生の皆さんは朝学習をやっていますか?

実は朝学習や早起きは、GWや夏休み等の連休が習慣づくりの良いチャンスです。

そこで今日は、朝学習がなぜ良いか、どんな学習がおすすめかをお話しします。

朝学習のメリット1 朝は頭がスッキリ

朝学習のメリットはたくさんありますが、まず1番目の大きなポイントは、寝ている間に記憶が整理されるため、学習に取り組みやすいということです。

脳はその日に起こったことを睡眠中に整理すると言われています。

よって朝は昨夜学習したことが眠っている間に整理されているので、頭がスッキリした状態で学習に取り組むことが出来ます。

また、眠ることで体力的にも回復しているので身体もリフレッシュした状態であり、電話やメールなどの連絡も少ないため、集中しやすい時間と言えます。

塾や学校へ行くまでの限られた時間であり、タイムリミットがあるという意識も、集中力を更にアップしてくれるでしょう。

朝学習のメリット2 朝学習で自分の「調子」を知る

2つ目の大きなポイントは、朝学習が心身の状態を確認するバロメーターになるということです。

朝の学習習慣がついていると、その時の調子から、体調や睡眠の質をチェックすることができます。

朝学習が毎朝きつくなってきた(起きられなくなってきた)・集中できない、といった状況があれば、そのときは就寝時間や学習サイクル(体力的に無理はないか等)を見直すようにしましょう。

朝学習のメリット3 学習を習慣化するコツが分かる

3つ目のポイントは、朝学習を習慣化出来ると、他の学習も習慣化しやすくなるということです。

実は、朝学習をルーティン化出来た子は、その成功体験を他の学習にも活かせた、というケースが多いです。

学習を習慣化するコツは、「その時間に何をするか」具体的に決め、それをきちんと認識出来ていることです。

まずは朝学習で、計算や漢字、語句の学習など、具体的に何をするか決めて、それを続ける習慣を身につけてみましょう。

朝は朝食や洗顔・歯磨き・着替えなど、毎日のルーティンになっていることが多い時間帯ですので、新たな習慣を加えやすく、習慣化の練習に最適な時間帯でもあります。

朝学習の具体的な進め方

時間について:

朝学習は30分程度出来るとまとまったことに取り組みやすいですが、まずは15分程度からでも構いません。

低学年~中学年で、一人で行うのが難しい場合は、まずは親御さんと一緒にスタートしても良いでしょう。

内容について:

夜は暗記物、朝は頭の体操になるものが良いと言われています。

漢字や計算、語句などのドリル的なものはもちろん、前夜の学習内容の復習も最適です。

低学年~中学年で、いきなりそのような内容では難しい場合は、「昨日の夜に覚えた社会の◯◯について覚えられているか一緒に確かめてみようか?」というような無理のない会話からでも良いでしょう。

前述のように夜の間に頭は整理されるので、夜の学習と朝の学習はセットと考え、夜眠る前にその日に学んだことを整理しておくことができれば、さらに朝学習は充実したものになるのでおすすめですよ。

GWを朝学習のスタートに

今回まとめたメリットの他にも、朝学習には、中学受験の本番(8時半頃~試験開始)で朝から集中し、実力を発揮しやすくなる利点もあります。

また、「今日も朝から勉強出来たぞ!」という日々の自己肯定感のアップや、1日のスタートを気持ちよく切れる心地良さにも繋がりますので、ぜひトライしてみてくださいね。

学校がある日は「やる気が出ない」「朝起きたくない」けれど、休みの日なら「早起きしてみたい!」という気持ちになる生徒さんも一定数いるようですので、そんな皆さんには特に、GWや、7月後半からの夏休みなどの連休を朝学習開始のきっかけにするのがオススメです。

睡眠はしっかり取りつつ、早寝早起きでメリハリのある元気な日々を過ごしてくださいね。

【中学受験】無気力・憂鬱 『5月病』を防ぐには?

目次

GW空けに一気に緊張の糸が切れる
近年増えている「新五月病」とは
五月病、新五月病にならないためのポイント①
五月病、新五月病にならないためのポイント②

『穀雨』の名の通り、百穀をはぐくむ春雨が続く日々ですね。

張り切って新学年のスタートを切った受験生の皆さんかと思いますが、その一方で、そろそろ疲れが出てボーッとしてしまったり、よく眠れなかったりはしていませんか?

GW空けに一気に緊張の糸が切れる

主に社会人がGWの大型連休明けに気持ちが晴れず憂鬱になったり、体調を崩したりすることで有名な「5月病」ですが、中学受験生にとっても、塾の新年度が始まり3ヶ月・小学校の新学年が始まり1か月のこの時期は、非常に疲れが出てきやすい頃です。

せっかく掴んだ日常のリズムが大型連休で崩れてしまい、GW明けに一気に緊張の糸が切れ、「なんだか憂鬱で調子が出ない」「体調が優れない」「やたら眠い」「小さなことにイライラする」「学校や塾に行きたくない」「不安や焦りで落ち着かない」……等、いわゆる五月病の症状が出てしまうことは小学生にもよくあることです。

五月病は主に疲労やストレスが原因で、軽い「適応障害」や「起立性調節障害」に近いものだと言われていますが、放置すればうつ病に移行することもあるので気をつけたいですよね。

意欲的に学習に取り組めていることは素晴らしいことですが、この時期は年度始めで気持ちが張っていて自分の心や身体の変化にうとくなりがちです。

「何だか気持ちが落ち着かないな」「調子が出ないな」など、いつもと違う状況に気がついたら、一息入れるように心がけましょう。

そして、今月(4月)はこれまでと環境が大きく変化している、つまり、「今の時期、自分は心身共にストレスの負荷がいつもより高くなっている」ということを常に認識しておくことがとても大切です。

そのうえで、普段から自分の心身の状態をこまめに確認し、定期的に息抜きやストレス発散を挟むことがポイントです。

近年増えている「新五月病」とは

また、近年ではゴールデンウィーク明けではなく、六月に入ってから調子を崩してしまう「新五月病」も増えています。

新五月病というのは、連休明けは本人も保護者の方も五月病を意識し、注意深く過ごすことでなんとか不調を避けられたものの、梅雨時の気候が不安定になってきた頃に、同様の症状が現れてしまうことを指します。

特に中学受験生の皆さんは、5月から一気に増える模試の影響で休日が減ってしまい、課題や宿題も増える上に梅雨のジメジメした気候や日照不足も重なって、6月は心と身体のバランスを崩しやすい時期です。

ぜひ注意深く自分の心や身体に耳を傾けてあげてくださいね。

五月病、新五月病にならないためのポイント①

五月病や新五月病にならないもうひとつのポイントとしては、普段からストレスを溜め込まないことも大切です。

たとえば新学期が始まり、大きく生活環境やリズムが変わってうまく課題や宿題をこなせていない人は、具体的にどのようなスケジュールを組んだら解決出来そうなのか、この機会に見直してみましょう。

うまく回っていない学習スケジュールを組み直す際には、第三者の視点を取り入れることが効果的です。

ぜひ、塾や家庭教師の先生にも助言を求めてみてくださいね。

五月病、新五月病にならないためのポイント②

また、心や身体に不調を感じている場合には、学習面だけでなく、新年度が始まってからの人間関係や生活リズムにも支障や課題がないかどうか振り返ってみましょう。

問題が見つかった場合は具体的に解決策を考え、改善のために行動を起こしてみるのが一番ですが、ノートに書き出してみたり、友達や保護者の方に話してみたりするだけで気持ちが楽になる場合もありますよ。

その他効果的なのは、いわゆる“幸せホルモン“である「セロトニン」の脳内分泌が活発になるよう散歩をしたり、日光を浴びたり、乳製品・バナナ・白米などを積極的にとることです。

連休中は就寝時間が後退することで体内時計が狂い、心身の不調が生じ始めるケースも多いので、連休中も早寝早起きを心がけ、夜更かしの悪習慣を作らないことも良いと思います。

皆さんが大型連休中も上手にメリハリのある日々を送り、“五月病“とは無縁の元気な5月・6月を過ごせるよう願っています。

【中学受験】 たまってきたプリント・テキストを整理しよう!

目次

すべての整理は「その日のうちに」
テキストの整理
プリントの整理

大手中学受験塾では、早くも新年度が始まり2ヶ月が経ちました。

小学校でも新学年がスタートし、中学受験生の皆さんはようやく新しい生活リズムが把握でき始めた頃でしょうか。

中にはまだ日々の課題に精一杯で、塾で配られるプリントやテキストが机の上に山積み……という人もたくさんいると思います。

せっかくの教材も、必要な時にパッと取り出せないのでは宝の持ち腐れですし、何より山積みの教材が目に入る机では、気持ちよく勉強ができませんよね。

そこで今日は、ドンドン増えていく塾のテキストやプリントを整理するおすすめの方法をお伝えしようと思います。

すべての整理は「その日のうちに」

まず整理のペースですが、授業があった「その日のうちに」やるのがおすすめです。

忙しい皆さんが毎週末、整理整頓のための時間を取ることは難しいと思いますし、特に高学年は配布物が多いので、たとえ1週間でもそれらを放ったらかしてしまうと、どれがいつのものだか分からなくなったり、答えと問題が揃わなくなったりと、整理に余計な手間と時間がかかってしまうことになるからです。

それでは早速、テキスト・プリントごとにおすすめの方法を紹介していきましょう。

テキストの整理

塾でもらってきたテキストは、帰宅したらすぐに処理しましょう。

「処理」と言ったのは、それらをファイルなどに仕分けする前に、ある手順を踏んでほしいからです。

たとえばSAPIXのように授業毎に配布されるタイプの場合は、その都度プリンターでスキャンします。

3・4年生のうちは保護者の方にお願いしても良いですが、5・6年生になったら一緒に、もしくは一人でやれると良いですね。

この作業は慣れるまでちょっと面倒ではありますが、たとえ復習する時間や体力が残っていない日もスキャンだけは欠かさず行う習慣ができれば、少なくとも毎回、その日習ったことにざっとでも一通り目を通せることになります。

その日に習った内容を都度自覚すること、これは小さなことのようで、意外と効果的なことですよ。

また、前年度のテキストというのは基本的に見返すことはありませんが、ある単元において基礎からまるで判っていないことが発覚した(ゼロからやり直しをすることになった)場合、それを見返したくなることがあるかもしれません。

もちろん皆さんがそのような残念な事態に陥ることは無いように願っていますが、こうしてデータで残しておくことで、次の学年に上がった時になんの躊躇(ちゅうちょ)もなく原本をドサッと捨てられるメリットもあります。

過去1年分のプリントやテキストがごっそりなくなると、部屋が見違えるほど清々しますよ。

自宅にあるプリンターにデータ名の記録やファイリング機能も備わっている場合は、ぜひスキャンの際に単元名やテキストナンバーを入力して保存しておきましょう。

出来ればこのときデイリーチェックテストのみ、基礎問題のみなど、分類ごとに仕分けておくと、復習の際に必要な教材を簡単に探したり、過去問演習で発覚した苦手なジャンルの類題のみをチョイスして一気にプリントアウトできたりと、とても重宝しますよ。

日能研のようにテキストが学年や学期などの初めに配布される場合は(あまりの分厚さから通称「電話帳」と呼ばれています)科目ごとに裁断しておき、講習が終わったらスキャンしておけばよいでしょう。

このときカラーのデータが乏しいと感じる場合はスキャンの際にネットや参考書からテーマごとに重要な写真やデータを選んで加えておくと、自分だけの充実した復習教材を作ることもできます。

プリントの整理

次にプリント類ですが、これらの内容はテキストと連動・重複していることがほとんどなので、科目・種類ごとにファイルやボックスを作り、授業の度にきちんと仕分け保存するとよいでしょう。

ボックスの背に科目や種類の名前を書き(もしくはシールなどを貼り)、復習しやすいように、時系列にきちんと並べてしまっておきましょう。

塾で配布されるテキストやプリント類は、各塾の講師陣による、長年の入試研究結果が凝縮された、頼もしい受験のパートナーです。

皆さんが整理整頓された心地良い環境でこれらを最大限に活用し、志望校合格に向けて充実した受験生活を送れるよう願っています。

SAPIXはどんな塾?2023 ~⑧SAPIX生 6年後期の一週間(2)【SS特訓】~

目次

1. 『SS特訓』とは何か
2. SS特訓「単科講座」にはどんな講座がある?
3. SS特訓「単科講座」それぞれの内容は?
4. SS特訓 単科講座選びのポイントは?

御三家や難関中学受験で突出した合格実績を誇るSAPIX(サピックス)。

前回の紹介記事⑦では、中学受験界で知らない人はいない大手進学塾SAPIXに通う6年生の週間スケジュールに関して、後期に焦点を当ててお伝えしました。

シリーズ8回目の今回は、SAPIX 6年後期から始まる『SS特訓』の講座内容と単科講座選択のポイントをお話していきます。

初めに、6年後期におけるSAPIXの最重要カリキュラム『SS特訓』について見ていきましょう。

1. 『SS特訓』とは何か

最終学年の後期からスタートする『SS特訓』(サンデー・サピックス)はSAPIXの名物講座であり、生徒一人一人の実力のピークが入試当日に来るようにカリキュラムが組まれた5か月間の集中特訓です。

学力面だけでなく精神面の準備も整えていくことも目的の一つとなっており、SAPIXが長年かけて出題傾向・対策を研究し尽くしたテキストを用いて行われる「志望校別講座」と、苦手科目・分野を徹底的に克服するための「単科講座」の2つが用意されています。

「志望校別講座」と「単科講座」のうち、より重要度が高いのはもちろん各自の志望校に特化した授業が行われる「志望校別講座」ですが、「どのコースを選択すべきかよく分からない」と毎年多くのご相談を受けるのが、後者の「単科講座」です。

そこで今回はまず、6つの講座から2つを自由に選択出来る「単科講座」6講座の各内容と、選び方のポイントをお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

2. SS特訓「単科講座」にはどんな講座がある?

・算数 思考力講座
・ 〃  解法力講座
・国語 記述表現力講座
・ 〃  読解力講座
・理科 知識論理力講座
・社会 知識論理力講座

「単科講座」は9月〜1月までの5ヶ月間で苦手分野を集中的に学習し、弱点克服することを目的とした教科別特訓講座です。

毎年上記6講座が用意されており、この中から一人一人が自分の志望校や現在の学習状況に応じて希望する講座を2つまで選択受講できます。

3. SS特訓「単科講座」それぞれの内容は?

★算数思考力講座

灘・開成・筑波大学付属駒場中などのいわゆる算数の超難関校を志望している生徒さんで無い限りは、こちらを選択する必要はないでしょう。
算数の基礎力が既に十分であり穴が全くない状態であり、難問攻略だけが残りの課題である、というようなレベルの生徒さんに向けられた講座です。

★算数解法力講座

6年生の夏期講習までに身につけた学習内容を補完する講座です。
基礎の定着を徹底し、あらゆる過去問に対処出来る確かなベース作りをしたい生徒さんにおすすめです。

また、偏差値的には難関校ですが、渋幕・聖光学院を志望する生徒さんも内容的にこちらの講座が良いでしょう。

6年生の後期平常授業は実践演習中心です。
基礎的な知識や復習は基本行いませんので、灘・開成・筑波大学付属駒場中などのいわゆる算数の超難関校を志望しているけれどもまだまだ基礎に不安があるという場合も、SS特訓ではひとまずこちらを受講するのがおすすめです。

超難関校に十分対応できるだけの内容はこの講座では扱いませんが、基礎が身についていない状態でこの講座に飛び込むことは無意味です。
また、こちらの講座内容は併願校対策にも大いに役立つでしょう。

★国語記述表現力講座

長文記述問題に対応する講座であり、基本的な読解力がすでに身についている生徒向けの、記述力養成に特化した内容です。
開成・麻布・桜蔭・武蔵・筑駒・聖光・渋幕・渋渋、女子学院・鴎友など、高い記述力を求める出題傾向のある国語難関校を志望する生徒さんはぜひ受講しましょう。

★国語読解力講座

実戦的な読み方や論理的な解法を身につけることにより、確実に得点力を向上させていく講座です。
設問を通して知識力・記述力も強化することができるように工夫が凝らされているため、メインの内容ではありませんが、多少の知識対策や短い記述の演習にもなります。

麻布や開成、桜蔭のように、出題傾向がほぼ記述(しかもボリュームがあるもの)というわけでなければこちらの講座で十分です。

★理科知識論理力講座

知識をベースとして理科の基礎力を固め、演習を通して情報処理能力の向上と応用力の完成を図る講座です。
テストでいつも時間がなくなり得点できない、というケースの生徒さんにも、スピード(=情報処理能力)アップの良い演習になるでしょう。

★社会知識論理力講座

「理科知識論理力講座」と同様、知識をベースとして社会の基礎力を固め、演習を通して情報処理能力の向上と応用力の完成を図る講座です。
こちらも理科同様、社会の問題を解くスピードに課題のある生徒さんにとって良い演習になるでしょう。

4. SS特訓 単科講座選びのポイントは?

単科講座の受講(2講座)においては毎年ほとんどの生徒さんが、入試で配点割合が高い国語と算数のコースを1つずつ選択しています。

特に理社に問題がなく、迷わずそうしたいという場合は、上記の国語・算数欄も参考に、それぞれどちらのコースが最適か検討してみてください。

しかし中学入試で一般的に国語・算数における配点が高いからと言って、必ずしも国語と算数を1講座ずつ選択しなければならないということはありません。

たしかに理科・社会の配点が国語・算数の半分であったり、7割程度であったりする学校は多いですが、4科目の配点がほぼ同等という学校もありますし、ここまで国語と算数にばかり力を入れてきてしまい理科と社会でかなり足を引っ張ってしまっている状況の場合などは、ぜひ理科・社会の講座受講を視野に入れてみましょう。

自分の志望校における四科目(もしくは二科目)の配点バランス・模試や過去問での現在の得点バランスをよく見直した上で、どの科目を選択するか考えることが大切です。

まずは科目を定めた上で、必要に応じてコースを検討していくと良いでしょう。
たとえば科目は国語と理科、と決めたら、次に、国語をどちらのコース(技術表現力or読解力)にするのか検討していきます。

『SS特訓』はSAPIXの突出した合格率の秘密とも言われる、SAPIXのいわばウリであり、非常に効果の期待できる講座です。

入試の配点が高いからと安易に国語と算数1コースずつ、と決めてしまわず、今の状況や自分の志望校のニーズに合う、最適な講座を選択してくださいね。

ご自身やご家庭で判断が難しい場合には、校舎の先生や、中学受験の経験豊富な家庭教師などにも意見を仰いでみましょう。

以上、今回はSAPIX6年後期から始まる『SS特訓』の講座内容と、単科講座を選択する際のポイントをお伝えしました。

次回以降は、『SS特訓』等を踏まえた後期のスケジューリングで重視するポイントや具体例、復習におすすめの教材など、みなさんが気になる点について、さらにくわしくお話していきます。

SAPIXに転塾・入塾を考えている皆さんや、サピックスに在籍しているものの違和感を覚えている受験生の皆さんに向けたこの記事が、少しでも力になれることを祈っています。