中学受験

過去問の演習と第一志望校で点が取れない問題について

目次

今は第一志望校の過去問で点が取れないのが普通
過去問演習にどれくらい時間が使えるか把握しよう
過去問演習の「順番」について

6年生の受験生は、すでに過去問の演習を始めているお子さんも多いと思います。

出来はいかがでしょうか?

「 思ったより点が取れない」「こんな得点で合格できるのだろうか」「やり方が悪いのか」そんなご質問やご心配をお聞きすることが多い時期です。

ここでは、過去問の演習についてお話ししたいと思います。

今は第一志望校の過去問で点が取れないのが普通

まず、9月のこの時期、第一志望校の過去問演習で十分に点が取れるというお子さんは、あまりいないと思います。

理由は いくつかありますが、1つ目の理由は、多くのお子さんにとって第一志望校は受験校の中でも最も難易度が高い学校だということです。(そういうケースが多いと思います)

自分が受験する学校の中で最も難しい学校の問題を解いているわけですから、なかなか点が取れないのは当然といえば当然です。

もうひとつの理由は、学習の段階で言うと、今は「インプットの学習」の段階が終わり、「 アウトプットの学習」の時期に入ったばかりということです。

これから本格的に、これまでつけた学力を「得点力」に変えていく時期になるのです。

だから「第一志望校の過去問で点が取れない」というお悩みは一旦置いて、ここからのスケジュールと戦略を立てていきましょう。

過去問演習にどれくらい時間が使えるか把握しよう

まず、過去問演習にはかなりたくさんの時間が必要です。

受験する学校が第一志望校1つだけ、というお子さんは、今では少数派だと思います。

首都圏のお子さんの場合、5校から7校程度の学校を受験される方が多いと思います。

受験する学校の過去問を5年分ずつやると考えると、7校✕4科目✕5年ですから、140本ものテストを演習しなければなりません。

全ての学校を5年分演習する必要はないと思いますから、例えば 第一志望校と第ニ志望校は 5年分、それ以外は1〜3年分という風に配分すると、それでも 数十本のテストを解くことになるとわかります。

これらをカレンダー上にプロットしていく必要がありますね。

6年生の後期、日曜には志望校別特訓がありテストの本数も増えるため、土日や祝日も全てが使えるとは限りません。

なので、予定している過去問を全部やるだけの時間をどうやって捻出するかは非常に大事な問題になります。

過去問演習の「順番」について

過去問をどの順番で演習するかというご質問も多いので、ここでアドバイスをお伝えしておきます。

冒頭に「第一志望校は受験する学校の中で最も難しい学校であるケースが多い」「 だから 9月の段階で解いても点が取れない可能性が高い」とお伝えしました。

つまり 過去問をしていく順番は「難度が低いものから高いものへ」が違和感なく取り組めるスタイルになります。

「前受け校」 そして受験する学校などは、あまり難度の高くない学校を選ばれているケースもあると思います。

あるいは、いわゆる「滑り止め」として受験を考えている学校の問題も、第一志望校の過去問よりは易しいと思います。

こういった学校の問題から始めて、(志望校別特訓での練習で徐々についてくる得点力も生かして)だんだん難しい問題の学校に移行していく、という順でスケジュールを組んでおくのがいいでしょう。

受験まで4ヶ月と少し、まだまだお子さんの得点力は伸びます。

ぜひここからの時間を大切に、合格を目指していただきたいと思います。

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【サピックス・日能研・四谷大塚・早稲田アカデミー】学年別・秋の算数の学習ポイント

目次

高学年の算数の基盤となる4年生
比の学習でパラダイムが変わる5年生
志望校対策と過去問で得点力をつける6年生

夏休みが終わり、2学期が始まりました。

各学年、年度の後半は学習内容のレベルはぐっと上がってきます。

この記事では、学年別に年度の後半の算数の学習で気をつけたいことをお伝えします。

高学年の算数の基盤となる4年生

4年生の後半に、 四谷大塚、早稲田アカデミーでは速さの基本、割合の基本を学習します。
5年生で本格的に詳細に 学習をする分野ですが、4年生ではまず速さ、割合の基本的な意味、イメージを掴んでおくことが大切です。

また図形では、円とおうぎ形・多角形の性質など基本的な図形の性質を整理して覚えておく必要があります。
立体についても 立方体と直方体、円すいや角すいまで学習しますから、これらの図形も特徴をしっかりとおさえておきたいところですね。

比能研でも、4年生の後半に速さの基本を学習します。
また速さを表すグラフ(進行グラフ)も 学習しますので、グラフの傾きや縦軸・横軸が何を表しているかを理解する必要があります。

9月から10月にかけて、比能研だけでなく四谷大塚・早稲田アカデミーでも場合の数の基本を学習します。
基本的には樹形図を書いて確かめるところからのスタートですが、それらが 計算に結びついていくところを確実に理解しておく必要があります。

場合の数の問題については、入試問題でも「 手を動かしている間に規則性が見つかる」といったスタイルの問題が多いですから、この時期に手を動かして学習しておくことが大切になります。

学年の末には立体の体積や 表面積も学習します。
理解することはもちろんなのですが、実際に体積や表面積の複雑な計算を集中してこなし、 正しい答えを出すというところまでクリアしておきたいですね。

サピックスはあらゆる 塾の中でも最も進度が早い塾になりますが、約数と倍数については1学期に1回、そして夏期講習でも学習しています。
この考え方を使って分数の通分、たし算やひき算といった計算にもずいぶん習熟した状態で4年生を終えることになります。

逆に 割合に関しては、関連した事柄が出てくる回もあるのですが、本格的に学習するのは5年生になります。
速さに関する授業は4年生で1回、こちらも速さの基本的な考え方や意味を4年生でしっかり身につけて、使いこなすための詳細な学習は5年生になります。

講習会でもあまり同じことを繰り返さず、効率よく進んでいくカリキュラムになっているため「 積み残し」が多く出ていると自覚している場合は、比々の家庭学習で過去単元の復習を少しずつでも積み上げていくことが非常に大切になります。

比の学習でパラダイムが変わる5年生

5年生後半の算数で最も大切になるのは、比に関する学習です。
塾によって若干の進度の違いはありますが、たとえば 四谷大塚であれば夏期講習で学んだ比の概念をどんどん応用して学習を進めていくのが5年生の後半になります。

比の考え方を使って図形の問題、速さの問題、仕事算などの文章題、そして水槽の水位の問題なども解いていきます。

日能研は大手の4塾の中で最もカリキュラムの進度が緩やかな塾となっていますが、10月から比の学習が始まり、以降は 図形の問題や文章題、そして 速さや水位の問題など、多塾と同じように比の考え方を駆使する学習が続いていきます。

サピックスの5年生は、夏期講習までで比と割合の問題については、基本的な学習を一通り終えています。
2学期からは旅人算や 流水算・ 通過算・時計算などの速さに関する文章題、比を使って図形の面積を考える問題、倍数算や相当算など割合に関連した文章題など、こちらも比を使った学習のオンパレード です。

例えばこれまでは小数や分数を使って「◯◯倍」の計算をする必要があった問題を、比の考え方を使うと整数だけで解いてしまうことができます。

つまり比を使いこなせるかどうかで、作業の正確性や 速さ、そしてかかる労力など全てにおいて大きな差がつくようになります。

このことを心に留めて、比の学習に最大限の力を注いでいただければと思います。

志望校対策と過去問で得点力をつける6年生

6年生の秋は、どの塾に通っていても最も重要なのは志望校対策です。

学習の軸は3つ。

これまで通り平日に行われる 平常授業、そして日曜に行われる志望校対策の特訓授業、そして家庭で行う過去問演習です。

日曜特訓のコースにお子さんの第一志望のコースがあり、そのコース所属しているなら、日曜特訓の授業と宿題が最優先になります。
資格などの関係で第一志望校のコースに所属していない場合や、第一志望校のコースがそもそも設定されていない場合などは、最優先は家庭での過去問演習になります。

志望校への対策に直結するという意味で、上記の日曜特訓と過去問演習はどちらも大事なのですが、逆に平常授業はこれまでよりもぐっと優先順位が下がります。

平常授業に関しては、授業の中で最大限に理解を深め、家庭学習は日曜特訓の宿題や過去問演習を中心に行う、というスタイルで学習を進めていくといいでしょう。

ただし、理解社会などで基本的な知識が不足している場合は、平常授業での基本事項の復習を大切にしましょう。
「コアプラス」や「四科のまとめ」など、塾で指定されている暗記用教材を使って、平常授業の前に「一問一答」的な知識を一通り確認してから授業に臨むなど、基本知識を充実させることにも力を注いでいただきたいと思います。

苦手分野の克服や対策に関しては、できるだけ10月くらいまでにすませてしまいたいところです。
11月くらいからはむしろ点を取れる分野でしっかり入試問題での得点力をつけていく、というスタイルの学習に切り替えていきましょう。

以上、学年別に秋の算数の学習についてお伝えしてきました。

学校行事なども多く忙しい時期にはなりますが、しっかり算数の学力と得点力をつけていってください。

皆さんが秋の学習で大きく力をつけてくれることを祈っています。

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夏の終わりは、【時事問題】対策を準備しよう!

目次

夏の終わりは重大ニュースの振り返りに適した時期
新紙幣発行、都知事選、パリオリンピックなど今年も話題は多い
色々なニュースに触れ、自分なりの意見も持っておく

中学受験の社会科では対策が欠かせない時事問題。

近年はますます比重が大きくなり、ひと昔前のように最後に1問、というオマケ的な扱いではなく、大問ひとつ~ふたつ、あるいは全問を通してひとつの時事テーマをからめて問う、というスタイルも見かけるようになりました。

(2019年度麻布中学校の社会科では、全問を通して“東京オリンピック”をテーマにした内容が扱われました。)

夏の終わりは重大ニュースの振り返りに適した時期

作問の都合上、出題される時事ネタは毎年、前年の9月頃までのニュースがほとんどなので、秋の終わり~入試直前のニュースは基本的には扱われません。

ですから夏休み終盤は、時事問題の本格的な対策を行う準備段階として、それまでの重大ニュースを振り返っておくのにちょうどよい時期です。

今年は現時点までだけでも重要なニュースがたくさんあったので、全く知らない・分からない話題がないように、ぜひ今のうちに一通り確認しておいてくださいね。

新紙幣発行、都知事選、パリオリンピックなど今年も話題は多い

とくに、新紙幣発行、都知事選、ロシアのウクライナ侵攻、能登半島地震、南海トラフ地震臨時情報、出生率過去最低、歴史的な物価上昇と円安、日本の観測史上最も平均気温が高かった7月、マイナ保険証、パリ・オリンピックについては、中学受験の歴史や地理、公民にからめて出題しやすい話題なので気をつけましょう。

南海トラフ地震に関しては、火山の噴火や津波被害も懸念されているため、海や川の位置や地形などの地理的な知識、(海岸線の長さと津波被害の大きさの関連性など)データの読み取り・分析力が求められることも予想されます。

また、女子校では(二次性徴は女子の方がやや早く訪れるという理由もあり)性別に関するテーマが扱われやすいため、女子校志望の皆さんは、性別問題で関心を集めたオリンピック女子ボクシングの話題を特によく振り返っておくと良いでしょう。

(もちろん女子校だけでなく、この話題を引き合いに今年は多くの中学校で性に対する多様な考え方に関する出題があると思われます)

色々なニュースに触れ、自分なりの意見も持っておく

問題をあれこれ解くのは、秋になって大手塾出版の問題集が出揃ってからで構わないので、今はこれらのニュースについて、とにかくよく知っておくことが大切です。

記事を読んだり様々な意見をチェックしたりするのはもちろん、できればその際に、ニュースに関連する歴史や地理、公民の知識も合わせて確認し、結び付けておくと、さらに理解が深まります。

そうすると、自分なりの考えや意見も出てくると思うので、それらを書き出してみたり、機会があればお家の方や家庭教師、塾の社会科の先生などと話してみたりしましょう。

これらの作業は手間がかかり効果も見えにくいですが、時事問題対策の下準備としては非常に有効であり、読解力や表現力・記述力を磨く国語の鍛錬にも直結します。

そしてなにより、社会をより深く知り、自分なりの明確な意見を持つことは、あなた自身を一回り大人にし、大きな自信を与えてくれるでしょう。

ぜひ夏休みの最後に【時事問題】対策の準備にトライして、夏前とは一味違う、一回り大人になったあなたで9月を迎えてくださいね。

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9月は『黄金の合格曲線』の入り口 〜11月から成績を上げるために必要なこと〜

目次

6年生の9月は学習量を減らす時期?
8月末のテストが悪かった人へ
不安を取り除くためには、苦手分野の克服を
「黄金の合格曲線」を描こう

暑さもようやく一段落かと思えば、台風の影響で不安定な天気が続いていますね。

今回の台風はいつもに増して進路やスピードが掴みにくいので、通過する可能性がある地域の皆さんは常に情報をチェックし、登下校や塾の行き帰りはくれぐれも気をつけてくださいね。

6年生の9月は学習量を減らす時期?

さて、気がつけば夏休みも終わり、いよいよ9月です。

夏の終わりは

「夏休み、あれもこれも出来なかった」
「必死にがんばったけれど、力がついている気がしない」

と、誰もが焦りがちな時期です。

しかし今は、何よりもまず体調を整えることを優先しましょう。

夏休みも学校がある時と同じように早寝早起きを過ごしていた人でも、やはり毎日の学校と、そこからの塾通いという二重生活が久しぶりに再開すると、夏の疲れがドッと出てくるものです。

また、学校によっては9月・10月に運動会や学芸会、その練習もありますよね。

ですから、後期が始まるこのタイミングは、焦っていきなり勉強量を増やすより、むしろ少し減らし、睡眠時間をしっかり確保したほうが良いのです。

学校行事や無理なペースアップで息切れしたり、冬を迎える前に力尽きてしまい、ラストスパートに全力で臨めなくなったりしては元も子もありません。

勉強のペースは体調を整えてから戻し、徐々に上げていくぞと割り切って、その後しっかりと成績を上げ、受験本番にピークをもっていきましょう。

8月末のテストが悪かった人へ

また、夏の終わりの模試で芳しい結果が出なかった場合も、

「夏の努力が実らなかった」
「やり方を間違った、無意味だった」

とすぐ決めつけるのは早計です。

夏に全く勉強をせずダラダラ過ごしたというなら話は別ですが、そうでないならば、その原因は

・生活の乱れ(朝型に戻せていないなど)
・アウトプットできるほどには、まだ夏に仕入れた知識や技術を整理・定着しきれていない

ということが考えられます。

知識や技術(解き方)を詰め込むだけ詰め込んでも、それを自分のものとしてテストで使えるまでに整理・定着できていなければ、結果としてはもちろん出てきません。

ですが、皆さんが積み重ねてきた夏休みの頑張りは、これらをきちんと整理整頓し、演習を重ねてしっかり定着させれば、必ず嬉しい結果として成績に現れ始めます。
どうかここで慌てふためき、メンタルもペースもガタガタに……とならないように気をつけてくださいね。

不安を取り除くためには、苦手分野の克服を

そして、前述したこの時期特有の不安を取り除くためには、苦手分野の克服が一番です。

先ほどお伝えした(夏に仕入れた)知識・技術の演習・定着とともに、各教科の不安が残るジャンルをきちんと洗い出し、対策しておきましょう。

実戦演習はこれからいくらでもやれます。

というか、ここから先は授業も模試も家庭学習も実戦演習一色になりますから、苦手に取り組めるのは、今が最後のタイミングなのです。

苦手分野の克服は地味な作業ですし、「苦手」なのですからもちろん苦しいです。

そして、それが直近の模試に必ず出るわけではないですから、すぐに飛躍的な成長を感じられることもありません。

けれど、ここから本番までの実践演習で毎回後悔しないためにも、ぜひ不安を残したまま秋を終えることがないように、遅くても11月までにはこの作業をやり切りましょう。

「黄金の合格曲線」を描こう

9月、10月と一時的に成績が停滞したり、あるいは下がってしまったりしても焦らないことです。

忍耐が必要なしんどい時期ですが、そこでふんばり、しっかり自分に必要な学習をやり切れたら、そこから成績は徐々に上がっていきます。そして、学力も体力も、本番にピークを持っていきましょう。

これを私は「黄金の合格曲線」と呼んでいます。

ぜひこの曲線を目指して、今の時期を必要な停滞期と受け止め、モチベーションを保ってください。
そして、最後の1カ月は、得意な分野をさらに伸ばし、得点力に磨きをかけると同時に、モチベーションもMAXに持っていきます。

大丈夫、あなたなら出来ます。

私はこれまで最後の数ヶ月や、直前1ヶ月でグングン伸びていく子を何人も見てきました。

「わたしなら、ぼくなら、出来る!」

皆さんが最後まで自分自身を信じてやり抜き、晴れ晴れと素晴らしい春を迎えられることを私も信じています。

一緒にがんばっていきましょう。

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25年度【新課程入試】開始、「探求心」はどう育む?

目次

探究学習は日々の生活の中で実践することができる
身の回りのことに「なぜ」と思える環境を
子どもが熱中している子は思う存分やらせる

立秋とは名ばかりの猛暑が続いていますが、中学受験生の皆さんは元気に過ごしていますか?

先日の記事では、中学受験にも影響を及ぼし始めた、高校の新科目「総合的な探究の時間」についてお話ししました。

自ら課題を設定し(問いを立て)、自らデータや資料を読み取り、調べ、分析し、自分なりの答えを探していく「探究学習」。

私も長年に渡り、「熱中力」「好奇心」などのテーマと共に、お子さんの探究力の大切さをお伝えして来ました。

今日は、2025年度から正式に採用される大学新課程入試を機に、あらためてその重要性や、探究力を育むためにご家庭でできることについてお話ししたいと思います。

探究学習は日々の生活の中で実践することができる

正式な科目にはなっていませんが、探究学習は、小学校でも「総合的な学習」の中で取り入れられています。

ただし、まだその歴史は浅く、指導する側の大人がそのメソッドを確立できていなかったり、教え方が手探り状態であったりするのが現状です。

そして巷では「探究学習」と名を冠した習い事や塾もあれこれ出始めてはいますが、実は探究学習を行うのに、必ずしも授業や専門の講師、塾は必要ではありません。

というのも探究学習は、日々の生活や、お手伝い、遊びの中でいくらでも実践することができるからです。

そもそも探究学習というのは前述の通り、「自分なりの答えを探す」ところにポイントがあります。

つまり、日頃から自分なりに疑問を持ち、自分の頭で考える、という習慣をつけることが、その力を伸ばすことにつながるわけです。

特に幼少期や低学年の頃はたくさん時間がありますので、ぜひこの頃から

「なぜこうなるの?」
「どうしたらできるかな?」

など、たくさんの「ハテナ」をお子さんの頭の中に作ってあげることを意識してほしいと思います。

「なぜ?」と聞かれ続けるのはお家の方もなかなか大変ですが、それに対して常に正解を答えたり、説明をしたりする必要はありません。

「良いことに気がついたね。お父さんにもわからないよ、一緒に考えてみよう」

でも良いですし、

「じゃあ、このことは頭の中に置いておこうね。何かわかったら教えてね」

でも構いません。

まずは、たくさんの「ハテナ」を生み出すことが、探究心のもとになるのです。

身の回りのことに「なぜ」と思える環境を

なぜ?どうして?と全く言わないお子さんの場合は、お母さんやお父さんが

「空って青いねぇ。なぜだろうね」

とつぶやいたり、

「月が追いかけてくるね。どうしてかな」

などと声をかけてみたりするのも良いと思います。

身の回りのことに疑問を感じていいんだ、ということを、お家の方のそのような態度で、お子さんに学習させてあげるのです。

探究心は自然には生まれません。

これも学習だと考えて、なかなか「はてな」が生まれない場合も、あせらずそんなやりとりを毎日続けてみてくださいね。

また、最近は幼い頃からスケジュールがガチガチのお子さんも多く、そのために、自分から何かに興味を持ち、それについて探究する機会・時間を得ることが難しいケースも増えています。

本人の意思も希望も尊重されず、指示されるままの日々を過ごしていると、お子さんの熱中する力、探究する力はどんどん失われていきます。

どうか小さい頃は(ご本人があまり興味を示していない)習い事や塾を詰め込み過ぎず、お子さんが何に熱中しているか、普段のようすをよく見てあげたり、興味のありそうなことを一緒に楽しんだり、それについて話したりすることを大切にしてあげてほしいなと思います。

子どもが熱中している子は思う存分やらせる

そして、もう一つ大切にしていただきたいことが、お子さんが興味を持って何かに熱中しているときには、その対象がたとえお家の方から見てあまり有意義ではないと思えるものごとであるにせよ(図鑑や、砂遊びや、パズルなど)、温かい目で見守り、ぜひ思う存分やらせてあげてほしいということです。

そのようなとき、お子さんの頭の中では、自然と「思考訓練」が行われています。

自分たちが眺めている光景や音などに脳は反応し、

「このお魚と前に見たあのお魚は形が似ているな」
「でも違う名前だから、違う魚なんだな。じゃあ、どこが違うのかな」
「この砂山は、ここに穴をほったら崩れてしまうな」
「僕がここから、あの子があそこからほるとトンネルが繋がりそうだな」
「あれ?崩れちゃった。お水が少ないと崩れやすくなるのかな」

というように、物の類似性や相違点を確かめたり、原因を探り因果関係を発見したりと、無意識のうちにフル回転しているのです。

このような体験は、お子さんがねばり強く最後まで考え抜く力や、自分で考え解決策を見つける力や楽しみを大いに育んでくれるでしょう。

さらに、プラモデルや砂遊び、野菜を切るお手伝いなどが自然と立体図形の感覚を養ってくれるように、図鑑、パズル、おつかいなど、子どもが夢中になりやすい遊びやお手伝いには、探究力を育んでくれるだけでなく、受験に必須であるさまざまな感覚を養ってくれる場面もたくさんあります。

探究力は、将来どんな時も自分で人生を切り開いていく力や楽しめる力を養ってくれるのはもちろん、直近の目標である中学受験にかかわるさまざまな感覚を養い、学びを「自分ごと」「楽しいこと」と感じさせてくれます。
だからこそ、探究力のあるお子さんは、勉強量が少なくても、どんどん勉強ができるようにもなっていくのです。

ぜひ、時間のある幼児〜低学年の頃には特に、お子さんのやりたいこと、熱中していることを大らかな気持ちで一緒に楽しみながら、探究心を存分に育んであげてくださいね。

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【中学受験】25年度「新課程入試」で、中学受験はどう変わる?

目次

「生きる力」を育むことを目指す探究学習の時間
中学受験にも「探究学習」の場面を想定した出題が
重要性を増す「探究学習」

夏休みが始まり1週間が経ちました。

中学受験生の皆さんは夏期講習で忙しい毎日かと思いますが、少しずつ日々のリズムは掴めてきたでしょうか。

先日、東大入試に関するニュースをお伝えしましたが、今日も中学受験生の皆さんにとっては少し先のことである、高校の新課程についてお話したいと思います。

というのも、学習指導要領の改訂により、2022年度から始まった旧科目「総合的な学習の時間」に代わる新科目「総合的な探究の時間」の影響が、すでに皆さんの目指す「中学受験」の現場にも生じ始めているからです。

「生きる力」を育むことを目指す探究学習の時間

まずこの新課程ですが、これまで同様、課題発見から解決までの能力や主体的な学びを育む、という点は変わりません。

ポイントは、それに加え「資質・能力」の育成も行い、思考力・コミュニケーション能力などの能力育成、進路等に関する学習、自己理解や将来の在り方・生き方を考えるなどの学習も行うというところです。

そもそも、文部科学省がこの「総合的な探究の時間」導入を決めた理由は、生徒たちの「生きる力」=社会に求められる力を育成するためです。

現代社会はVUCAの時代※と言われ、AI化や情報技術の進展により社会の変化が激しく、社会の課題も複雑化しており、また人の価値観も多様化しています。

※VUCAとは、Volatility(変動)、Uncertainty(不確実)、Complexity(複雑)、Ambiguity(曖昧)の頭文字をあわせたもので、現代社会が多様で複雑で、未来予測不可能な時代に直面していることを表すための造語です。

現代のように正解が一つではない時代においては知識を備えているだけでは不十分であり、それ以上に、自ら課題を見つけ、自ら解決方法を考え、選択し、実践していけるような力、周りの人たちと関わる中で新たな視点や課題を見出せる力、つまりは生きる力、社会に求められる力を育成することが非常に大切である、という考えから探究学習が注目されるようになり、この新課程導入にもつながりました。

(小学校でも「総合学習」としては2002年度から導入され、「探究的な学習に主体的・協働的に取り組むとともに、互いのよさを生かしながら、積極的に社会に参画する態度を養う」ものとされています。)

中学受験にも「探究学習」の場面を想定した出題が

導入当初は大人たち指導者側も手探りでしたが、2年が経過し、独自の充実した試みを行う高校も増え、いよいよ2025年度からは、大学入試も本格的に新学習指導要領(新課程)に合わせたものになります。

もちろん大学入学共通テストも大きく変わる予定で、たとえば、大学入試センターが公表している大学入学共通テストの試作問題では、単に知識を問うものではなく、「探究学習」の場面を想定したもの、たとえば会話文を用いた設問や、資料から情報を正確に読み取り、知識に基づきそれを分析・判断し、そこから導き出されるものをまとめあげる能力や表現力を問うような類のものが大きな割合を占めています。

このような動きを受け、満を持して中学入試の選抜方式を変更する学校も一気に増えてきたわけですが、たとえば、千葉県の光英VERITAS中は今年、SDGs(持続可能な開発目標)に関する探究入試を実施しました。

課題は、3つの資料(①松戸市の交通事情、②輸送と二酸化炭素排出量の関係、③近年新たに発明されたクルマ)をもとに、「地球環境をよくする、未来のクルマ社会を実現するためのクルマやしくみを考えよう」というもの。

現状や解決策をまとめて記述したうえで、それを一人ずつ発表し、質疑応答も行いました。(この枠の入試ではこの課題のみが合否判定の対象であり、学科試験はなし。受験者25名中8名が合格しました。)

また、6月には山脇学園中学校でも2025年度の中学入試における「理科探究入試」枠の新設が発表されました。

※これに伴い2020年から導入していた「探究サイエンス入試」は廃止(変更)、これまでの「国・算1科」入試の定員は10名減らし50名に変わるので、志望校に定めている人は注意しましょう。詳しくは公式HPでお確かめください。
https://www.yamawaki.ed.jp /

さらに、推薦入試枠に探究学習を取り入れる学校も現れ始めています。

重要性を増す「探究学習」

自分で課題を設定し(問いを立て)、自分でデータや資料を読み取り、調べ、分析し、自分なりの答えを探していく「探究学習」。

私も長年に渡り、「探究心」「熱中力」「好奇心」等のキーワードと共に、お子さんのそのような力を育む探究的学習(若しくは遊びやお手伝い)の大切さをお伝えして来ましたが、2025年度の本格的な新課程(大学)入試スタートを機に、この夏はその重要性や、それらをどのように育むことができるのかなど、またあらためて皆さんにお話ししていきたいと思います。

中学受験を目指す皆さんが、来年度の新課程入試開始に伴う変化に惑わされることなく、正しい情報を獲得・活用しながら、充実した受験生活を送れるよう願っています。

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【中学受験】東大入試、25年度より共通テスト「足切り」ライン引き上げ

目次

東大の「足切り」基準が厳しくなる?
足切り基準の厳格化は「2次試験を丁寧に行う」ため?
そもそも東大合格者は共通テストで「ギリギリの点」はとらない/a>
「逆算」で大学受験に備えよう

受験勉強にいそしむ皆さんの中には、志望する中学校合格の先に東京大学への進学を見据えている人もいると思います。

そこで今日は、東京大学が12日に公表した2025年度入試の選抜要項についてお伝えします。

東大の「足切り」基準が厳しくなる?

ポイントは、大学共通テストの成績によって一般選抜の二次(個別)試験に進む受験者を絞る、いわゆる〝足切り”の基準をこれまでより厳しくする、ということです。

たとえば2025年度入試に前回と同じ人数の志願があった場合、単純計算で、2次試験を受けられる志願者は1000人以上減ることになります。

第一段階選抜通過者の募集人数に対する具体的な倍率は次の通りです。

※ 第一段階選抜の基準変更は理科三類以外の5科類で行います。人数は募集人数、カッコ内は24年度入試までの倍率。それぞれ、カッコの無い倍率に達した場合、第一段階選抜を行います。

文科一類=401人 約2.5倍(約3.0倍)
文科二類=353人 約2.5倍(約3.0倍)
文科三類=469人 約2.5倍(約3.0倍)
理科一類=1108人 約2.3倍(約2.5倍)
理科二類=532人 約3.0倍(約3.5倍)
理科三類=95人(97に変更予定) 約3.0倍(約3.0倍)
※2024年度入試では第一段階選抜で約900人が不合格。

足切り基準の厳格化は「2次試験を丁寧に行う」ため?

足切り基準引き上げについて東大側は、
「大学入学共通テストによる基礎学力の選抜をより厳格に行い」、「2次試験をより丁寧に行う」
ためであり、
「より深く答案に向き合い、より一層丁寧に採点を行える」
と記者会見で説明しました。

試験への人員確保の必要性も理由のひとつとしています。

また、2025年度入試では、科類に関わらず全受験生に共通テストの「情報I」を新たに課しています。

※配点は100点。旧教育課程履修者は「旧情報」を選択可。

これは来年度から高校の新教育課程で学んだ受験者が志願することを受けての変更ですが、2次(個別)試験では科目変更は行わず、出題内容は旧課程を履修した既卒者への配慮を行うと発表しています。

そもそも東大合格者は共通テストで「ギリギリの点」はとらない

「情報I」については昨年12月6日に公表されていたものの、〝足切り”基準引き上げについては2025年度の大学入学共通テストまで190日を切ったこのタイミングでの公表であり、寝耳に水と焦っている大学受験生も少なくないようです。

特に東大は二次試験の配点が大きいので、大学入試共通テスト対策にはなるべく時間をかけず、その分二次試験対策をしっかりと、という作戦でここまでやってきた人もある程度いるためでしょう。

しかし、東京大学の二次試験で合格ラインを叩き出せる受験生は、そもそも一次試験である共通テストの足切り基準点は余裕を持って上回っているケースが多く、ギリギリセーフのラインから二次試験で挽回し、最終的に合格を掴むというケースは元よりあまりないそうです。

ですから、実際に東京大学に合格する実力を備えて受験に臨む受験生にとっては、この変更は特段恐れることではないということですね。

(最終的な合格までは望んでおらず、二次試験までの「記念受験」が目的だった人たちには残念なニュースになるかもしれませんが)

「逆算」で大学受験に備えよう

東大進学を見据えている中学受験生にとって、大学受験は確かにまだまだ先の話ですし、皆さんが入試を受ける頃には2次試験の科目追加などさらなる条件変更がある可能性が高く、今回の変更に併せて慌てて何かをする必要はもちろんありません。

けれども受験勉強における目標(志望校合格)には「逆算」に基づいた学習計画や実践が大変有効です。

入学を志望する中学校にしろ、その先に見据えた高校・大学にしろ、気になる学校から発信されるニュースや方針変更の動向は常にチェックし、少しでも早いタイミングから対応出来るように備えておきましょう。

大手中学受験塾に通う皆さんは、受験情報や中学校の入試要項(出題内容や配点、募集定員など)の最新情報を授業内でいち早くつかみやすいですが、塾なしで中学受験を目指す皆さんは特にその点に気をつけ、SNSで気になる学校の公式アカウントをフォローしたり、こまめに公式ホームページを確認したりするようにしてくださいね。

皆さんが受験情報の獲得に遅れを取ったり、(ときに意図的に流布される)「うわさ」に惑わされたりすることなく、常に最新の正確な情報を獲得・活用しながら、充実した受験生活を送れるよう願っています。

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【中学受験】 受験に勝つ夏休みの過ごし方

目次

大きく変わった四谷大塚のカリキュラムの考え方
講習会中のカリキュラム進度の速さは要注意
6年生は自習中の質問に過度に期待しない

夏休み目前ですね。

先日、名門指導会 副代表の辻義夫先生と行った、夏の過ごし方に関する対談動画を、中学受験情報局YouTubeチャンネルにアップしていただきました。

大きく変わった四谷大塚のカリキュラムの考え方

対談でもお話ししたのですが、各塾の夏期講習が近年、サピックスに似通ってきているのです。

どういうことかというと、これまで習ったことを復習する機会が夏期講習なのではなく、夏期講習も含めて1年間でひと続きのカリキュラムを消化していく、といったスタイルに近づいているのです。

サピックスでは昔からこのスタイルなのですが、最上位クラスのお子さんたちにとっては非常に効率が良いカリキュラムです。
足踏みをしないために詳しいところまで習える、より難しい問題まで教えてもらえるということで、成績上位者にとっては非常に効率よく感じられるものだと思います。

ただそれ以外のお子さんにとっては、非常に過酷なカリキュラムと言えるでしょう。

日能研では講習会はそれまで習ったことの復習だけをするカリキュラムですし、四谷大塚や早稲田アカデミーも復習が中心、それに加えて少し2学期の予習をする程度のカリキュラムでした。

それが徐々に変わってきているのです。

今では四谷大塚のカリキュラムも夏休みに予習内容を扱う部分が増え、純粋に総復習をやってくれる大手塾は日能研と浜学園ぐらいになっています。
(浜学園は講習会は総復習なのですが、講習会中も平常授業が続くという、また別の過酷さはあります)

このあたりを踏まえて、学習サイクルを考える必要があります。

講習会中のカリキュラム進度の速さは要注意

日能研のように講習会のカリキュラムが総復習だとしても、普段と学習のサイクルが大きく変わることは意識しておく必要があります。

普段は1週間で1つの単元を学習していきますが、講習期間中は毎日のように授業があります。
つまり普段1週間で進む学習サイクルが数日、あるいは毎日というサイクルになるわけです。

このサイクルを意識せず夏期講習に臨んでしまうと、日々の復習に忙殺されてしまうことになります。
「夏はなんだか 忙しかったけれど、収穫はあったのか?」という結果にならないように気をつけたいですね。

各塾の夏期講習の日程を見比べてみると、特に四谷大塚は6年生以外でも日数・時間ともにかなり負担の大きなものになっていますから「どこで手を抜くか」といった視点でカリキュラムを眺めてみてもいいかもしれません。

6年生は自習中の質問に過度に期待しない

6年生は「受験の天王山」と言われる通り、毎日多忙な日程となっていますね。

「朝のうちは塾で自習し、昼から夕方まで夏期講習の毎日」といった塾も多いと思います。
自習時間に質問ができるという塾もありますが、実際には1人の先生をたくさんの生徒が取り合うという状況になることも多く、「1問、2問 質問できれば上出来」くらいの状況も普通にあります。

個別の教室に通っているとか家庭教師にお願いしているというように、塾の自習とは別のソリューションがあるご家庭は、塾の自習時間にあまり期待せず、そちらを個別の学習サービスに充てるといった選択も考えておいていいでしょう。

まだまだいろんな話題が出たのですが、良ければ動画も見ていただければと思います。

長い夏休み、ぜひ多くの成果が出る期間にしていただければと願っています。

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【中学受験】 夏期講習前の模試を活用しよう!

目次

6月の模試を分析しよう
なおしは「あと少しで解けそうだった問題」に絞って
復習する際のポイントは

いよいよ7月になりましたね。

今年は梅雨入りがずいぶん遅くなりましたが、梅雨明けのタイミングは平年並みの見込みだそうです。

しばらくはジメジメした日が続きますが、良い睡眠・食事と規則正しい生活で元気に乗り切っていきましょうね。

6月の模試を分析しよう

6月最終週は、各大手塾でこぞって模試がありました。

四谷大塚では第2回合不合判定、日能研では志望校判定、サピックス・早稲アカでは最後の組分けテストがそれぞれ実施されましたが、皆さんの手応えはいかがでしたか?

これまでもお話していますが、模試で重要なのは結果に一喜一憂することではなく、徹底した復習と分析です。

受けたままほったらかしでは、当日削られた貴重な勉強時間も無意味なものになってしまいます。

テストはなるべく当日中や翌日のうちに自己採点・解き直しを行い、結果が出た後はしっかり振り返り、学習状況の分析も行いましょう。

冷静に自分の現状を受け止め、得意科目・ジャンル、苦手科目・ジャンルをよく分析することが大切です。

今回の結果は夏休みに行う復習ジャンルの取捨選択における貴重な参考データにもなりますから、普段自分の勉強をよく見てもらっている塾や家庭教師の先生にもぜひ内容を共有し、そこから、志望校に向けて何が足りないか、どこを伸ばすべきかよく考え、本番までの時間を逆算し、この夏の学習計画に大いに役立ててくださいね。

なおしは「あと少しで解けそうだった問題」に絞って

模試の復習内容としては、間違ったものをすべて解き直せれば良いですが、まるで歯が立たず難しそうな場合や、時間が非常に限られている場合などは、計算ミスや問題文の読み飛ばしなどがあり、「あと少しで解けそうだった問題」に絞って行っても良いでしょう。

あと少しで解けそう、ということは、今すぐ得点アップにつながる、ということでもあります。

「やっちゃった」「惜しかった」で終わるのではなく、「次は絶対にミスしないぞ」という気持ちで振り返りましょう。

そして、まるで歯が立たなかったジャンル・問題においても、正答率が高かった(60%や70%以上だった)ものに関しては、解けるようにしておく必要があります。

「皆が解ける」部分で失点してしまうと入試では命取りになりますから、最低限、そのようなジャンル・問題は夏休み前につぶしておきましょうね。

逆に時間的に余裕のある人は、「今回はたまたま正解できたけれど、本当に理解(もしくは記憶)できているかあやしい」というような問題にまでしっかり取り組けると、復習の効果も、模試を受けた意義も、格段にアップしますよ。

復習する際のポイントは

復習の際は決して、解答解説を読んだり書き写したりして終わりにするようなやり方ではなく、なぜ間違えたのか・どこでつまずいたのかをよく分析して、同じことを繰り返さないよう根本から納得・理解し、完璧になるまで演習することを心がけましょう。

「納得したうえでの理解」まで到達していないと、次に同じものが出題されても確実に点を取ることができません。

しっかり身についたかどうかは、「(なぜそうなるか)人に説明できるかどうか」や、「(別の問題集などでも)類題がスラスラ解けるかどうか」で確認できるので、ぜひやってみてくださいね。

復習をしっかり行った後は、1〜3か月経った頃に再び解き直すのも効果的です。

しっかり学習が積み重なっていれば、その際の解きやすさや完成度に自分の成長ぶりがはっきり感じられ、たしかな自信にもつながりますよ。

テストの復習・分析〜志望校に向けたこの夏の対策・学習計画までをすべて自分1人の力で行うことは非常に難しいので、お家の方に協力してもらうのはもちろん、中学受験の経験が豊富な家庭教師の先生や、塾の先生にもアドバイスを求めてみるのがおすすめですよ。

ムシムシした梅雨から真夏にかけては体力的にも厳しいときですが、その分、成績の伸びにも大きな差がつくときです。

夏休みが充実した日々になるように、しっかり休憩しつつ、有意義な7月を過ごしていきましょう。

毎日がんばっている皆さんの努力が報われるよう、いつも応援しています。

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【中学受験】夏に意識したい効果的な授業の受け方〜辻義夫先生から学んだこと〜

目次

先生の方を見て話を聞くのはなぜか
口元を見ると話がよく分かる!?
話を最後まで聞く理由は「話す方がその前提で話しているから」
6年生の夏期講習は「アウトプット中心」だからこそ準備が重要

夏休みが近づいています。あと1月足らずで、夏期講習が始まりますね。

新著「『受験で勝てる子』の育て方」の中で「6年生の1学期までインプット期間」と書いたのですが、4年生、5年生も、夏休み期間はインプットとアウトプットのバランスが難しくなります。

塾では1週間に1つの単元を進むのが通常の進度ですが、夏期講習になると1週あたり2〜3 単元のスピードで進むことになります。

ふだんの2倍以上のスピードで 学習サイクルが回っていくので、まずは授業で最大限、先生の話を理解するように努めなければなりません。

新著でも授業の聞き方について詳しく書いたのですが、 実はこれは、名門指導会 副代表の辻義夫先生が話しておられるのをセミナーなどで聞き、私自身「 なるほど」と思ったからです。

辻義夫先生とはセミナーやインスタライブなどでよくご一緒するのですが(書籍の共著もあります)、私自身も学ぶことが多い時間となっています。今回は、そんな辻先生のお話から私自身が学んだことを、いくつかお話ししたいと思います。

先生の方を見て話を聞くのはなぜか

私もこれまでよく「先生の顔を見て聞くんだよ」「 先生が話し始めたら 手を止めて先生の方を見るんだよ」ということを お子さんたちに伝えてきたのですが、それがなぜなのかをあまり強く子どもたちに伝えたことがなかったように思います。

辻先生はその理由を、ご自身の経験をもとに丁寧に子どもたち、親御さんたちにお話ししていたのです。

先生の方を見て話を聞くとよくわかる理由。
それは、音声だけでなく視覚からの情報も活用して理解するためです。話している人(授業では先生)は、話だけでなく、目線や表情、ゼスチャー、身振り手振りを活用して伝えようとしているからですね。

お子さんたちには「先生の表情や仕草を見ながら聞くとわかりやすいよ」と伝えてあげるといいですね。

口元を見ると話がよく分かる!?

授業の聞き方のお話の中で辻先生が「先生の口元を見て話を聞くといいよ」とお話しされていたのも印象的でした。

彼はよく「寄席」を見に(聞きに)行くのだそうですが、登場する噺家の方の中にも新人の方がいたり、真打ちクラスの超ベテランもいます。

寄席では基本的に、経験の浅い方から順に最後の「トリ」は師匠クラスになるのですが、 前半を聞いているときには、彼自身が話者の方、特に口元を無意識に見よう見ようとしているのに気づくのだそうです。

それが真打ちクラスになると、 全く口元を見ずに目を閉じていても、ありありと情景が浮かんでくると言います。実は授業も「ライブ」です。先生によって話が流れるように頭に入ってくるようなケースもあれば、滑舌があまり良くなかったり聞き取りにくいこともあります。そんな時に口元をよく見ることで、相手が何を話しているかがよくわかると辻先生はいいます。

この話をぜひ、お子さんたちの夏期講習が始まる前にお伝えいただければと思います。

話を最後まで聞く理由は「話す方がその前提で話しているから」

「先生の話を最後まで聞きなさい」 ともよく言われますが、やはり 辻先生はその理由を子どもたちや親御さんたちに丁寧に伝えています。

辻先生によると、先生の話を最後まで聞く理由は「最後まで聞くとわかるように先生が話しているから」「 授業がわからなくなってしまう生徒は『わからない』と思った瞬間から先生の話の続きを聞くことができなくなって、ますますわからなくなってしまうから」とのこと。

こちらも「 なるほど」と思ったのですが、話している方は「最後まで聞いてもらう前提」で話している一方で、あるところで「わからない」と思った生徒はパニックになり、その後の話を聞くことができなくなってしまうというのは、話している側からすると盲点になる部分です。

だから辻先生は授業中、子どもたちに「先生は最後まで聞いてくれたらわかるように話しているので、もし途中で『わからない』と思っても、最後まで話を聞いてほしい」と話していたそうです。

これは子どもだけでなく、教える仕事に携わっている多くの方に参考にしていただける話ではないかと思います。

6年生の夏期講習は「アウトプット中心」だからこそ準備が重要

さて、6年生の夏休みは これまで以上に「アウトプット」が重要な学習スタイルになります。 つまり「 必要なことは これまでに全て習ってしまっている」という前提で、まず問題を解くところから授業が始まるのです。

問題を解いて解説を聞く中で、自分が忘れていたことや抜けていた知識を拾い出し、穴埋めすることで学力を完成させるというスタイルの授業になっています。

だから、基礎知識や基礎的な学力が大きく不足している状態で臨むと、せっかくの問題演習の時間が無駄になってしまいます。「ほぼ問題を解けない状態で解説だけを聞く」というような授業の受け方になってしまうと、多量の学習内容をしっかり 定着していくことがとても難しくなります。なぜなら6年生の夏期講習は長時間であり、家庭での定着に時間をかけることが難しいからです。

6年生のお子さんはこのことを念頭に、夏休みまでに基礎知識や基礎的な学力を底上げしておくことを意識して、ここからひと月の期間を過ごしていただければと思います。

梅雨入りし、じめじめした天候が続きますが、体調に気をつけつつ皆さんがしっかり夏に備えて準備されることをお祈りしています。

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