【中学受験】夏までにできる苦手克服勉強法とは

西村則康近影

西村則康 名門指導会代表

40年以上、難関中学・高校受験指導一筋のカリスマ家庭教師。
「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーションをアドバイス、コーチング手法も取り入れ、親子が心底やる気になる付加価値の高い指導を行う。

目次

欲張らず、基本問題だけに絞り込む勇気
15分の接触を積み上げる〜ハードルを下げて身につける習慣術
「管理者の顔」を徹底する〜教えないことが合格への近道

新学年がスタートして数ヶ月、いよいよ4月から夏休み前までの「少し長い距離のランニングのスタート位置」に立っていますね。
この時期、特にお父様・お母様を悩ませるのが、学習スタイルが固まっていない科目や、これまで後回しにしてきた、未消化部分が多い、つまり苦手科目の学習ではないでしょうか。

「周りの子はもうあんなに解けているのに」
「夏休みまでに追いつかないと手遅れになる」

そんな焦りを感じる方も多いかもしれませんが、ここではひとつ視点を変えてみましょう。

今回は、私が提言する、夏休み前までの苦手科目の学習ポイントを、3つの柱でお話ししたいと思います。

新学年への助走としての春休み〜基礎の土台を徹底的に固め直す

まず心得ていただきたいのは、「全部やろうとすると、何もやらないのとあまり変わらない結果になることが多い」ということです。

苦手科目に着手するとき、真面目な親御さんほど、塾のテキストを1ページ目から完璧にこなそうとします。しかし、塾のテキストというのは、御三家を狙う子、中堅校などを目指す子など、あらゆる層をカバーするように作られています。中には、今の段階では誰も解く必要のない「捨て問」も混ざっているのです。

「基礎の骨組み」だけを作る

苦手科目において、この時期に目指すべきは、偏差値を上げることではありません。その科目(単元)の全体像、つまり骨組みを理解すること」です。

例えば、理科の電流が苦手なら、まずは複雑な回路図ではなく「直列と並列で何が違うのか」という根本原理だけを、徹底的に叩き込む。社会なら、細かい年号の暗記ではなく、「なぜこの時代にこの事件が起きたのか」という歴史の因果関係だけを追う。

親の仕事は「テキストにバツをつけること」

私はよく「親は教えなくていい、選別してください」と言います。
塾の課題の中で、テストで正答率が50%を超えるような基本問題だけに絞ってください。
応用問題には、思い切って大きく×印をつけて「今はやらなくていい」と宣言してあげる。

苦手な子に適切なレベルの問題に絞って掲載されている、市販のテキストを使用するのもよい方法です。

15分の接触を積み上げる〜ハードルを下げて身につける習慣術

苦手科目というのは、お子さんにとっては「知らない言語」を学んでいるようなものです。
一度に2時間勉強しても、翌日には8割忘れています。大切なのは「長さ」ではなく頻度です。

脳に「これは大事な情報なんだな」と思わせる戦略が必要です。

「スキマ時間」が最強の武器になる

苦手科目を乗り越える学習法として「15分1ユニット」の学習法はどうでしょう。
机に向かって「さあ、理科をやるぞ!」と気合を入れる必要はありません。

朝、学校に行く前の15分で用語を10個見る。
塾に行く前の15分で、前日解いた基本問題を1問だけ解き直す。
寝る前の15分で、知識の確認をする。

この合計45分は、週末にまとめて行う3時間の猛勉強よりも、ときには記憶に定着します。
特に苦手科目に対してはは、心理的な拒否反応が出やすいものです。

「15分だけがんばろう」という魔法の言葉で、学習のハードルを下げてあげましょう。

「解き直し」こそが学習の本質

新しい知識を入れることばかりに意識がいきがちですが、苦手科目こそ「一度やったことを完璧にする」のが近道です。

15分のスキマ時間を使って、これまでのテストで間違った問題(もちろん正答率が高いもの)をもう一度じっくり考え、解き直してみる。
4月から夏休み前までに、この「繰り返しのリズム」を作ることができた子が、夏休みの膨大な演習量に耐えられる「合格する体質」になれるのです。

「管理者の顔」を徹底する〜教えないことが合格への近道

最後にお伝えしたいのは、お父様・お母様の立ち位置です。

苦手科目を前にして親が教えようとすると、十中八九、喧嘩になります。
「なんでこんなこともわからないの!」「さっき教えたでしょ!」……この言葉が出たら、その日の学習は終了だと思ってください。
お子さんの脳はシャットダウンし、学習効果はゼロになります。

親御さんがやるべきことは、勉強を教えることではありません。
お子さんが、迷わず勉強に取り掛かれる環境を作ることです。

丸つけを代行する

苦手科目は自分で丸つけをすると時間がかかるし、間違えた問題の数が多いと嫌になります。
親御さんがサッと丸つけをし、「ここはできているね」「これは寝る前の15分でもう一回やってみようか。解説を読んでおいて」と交通整理をしてあげるだけで、お子さんのスピードは上がります。

スケジュールの見える化

たとえば、今日やるべきことを付箋に書き出し、終わったら剥がしていく。
この「達成感の演出」こそが、親御さんの腕の見せどころです。

「できた」という実感を少しずつでも与える

苦手科目は、お子さんにとって自信を失いやすい場所です。
だからこそ、親御さんは「小さな成長」を見逃さないでください。

「昨日より5分長く机に座れたね」
「計算のミスが1つ減ったね」

そんな些細なことでいいのです。4月から6月にかけて、お子さんに「自分はこの科目もやればできるんだ」という小さな経験をたくさんさせてあげてください。
そのポジティブな経験が、夏休みのを乗り越える最大の原動力になります。

ぜひ、4月から6月までの間に基礎という土台と、学習の習慣を完成させてあげてください。

苦手な食材も毎日食べ続けると、いつのまにか「おいしい」と思いながら食べている自分に気づくことがあるように、苦手科目も毎日コツコツ短時間ずつ続けていくと、抵抗なく取り組めるようになっていきます。

ぜひお子さんに、そんな経験をさせてあげてください。

もしもご家庭だけでうまくいかないなどありましたら、ご相談いただければと思います。

       

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