【中学受験】学年別 成果の出る夏後半の過ごし方

西村則康近影

西村則康 名門指導会代表

40年以上、難関中学・高校受験指導一筋のカリスマ家庭教師。
「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーションをアドバイス、コーチング手法も取り入れ、親子が心底やる気になる付加価値の高い指導を行う。

目次

【4年生】中学受験の助走期——「学習習慣」と「思考の因果関係」を育てる夏後半
【5年生】中学受験の天王山——「積み残しの解消」と秋のギアチェンジへの備え
【6年生】入試天王山の最終盤——「△をつぶす」作業とオプション講座の取捨選択

夏休みの後半戦は「アタフタ学習」から抜け出し、秋からの再スタートに向けた基盤を整える極めて重要な時期です。

私はこれまで、夏休みに力を出し尽くして疲弊し、秋調子を崩す子をたくさん見てきました。8月後半は宿題や講習の消化に追われる状態を脱し、自分の弱点を丁寧につぶす期間にすべきだと考えています。

今回は、4年生・5年生・6年生それぞれの「お盆休みの過ごし方」「お盆休み以降(8月後半)の過ごし方」、そして「8月末〜9月初頭のテスト結果の受け止め方」について考えてみたいと思います。

【4年生】中学受験の助走期——「学習習慣」と「思考の因果関係」を育てる夏後半

4年生の夏休みは、本格的な中学受験勉強における「助走期間」だと前回もお話ししました。
この時期に知識を詰め込みすぎて勉強嫌いにさせてしまっては、元も子もありません。
無理のないペース配分と「考える楽しさ」を実感してもらうことを第一目標にしましょう。

4年生のお盆休みの過ごし方

お盆休みは家族旅行や帰省、アウトドアなど、机の上では得られない実体験を積み重ねる絶好のチャンスです。
川遊びをしたり、星空を眺めたり、、博物館巡りといった体験は、将来の理科や社会の学力の土台となります。たっぷり経験させてあげてください。

とはいえ一方で、学習習慣をゼロにしないルーティンづくりも大切ですね。
完全に勉強を休んでしまうと、休み明けに塾のペースに戻すのが難しくなります。
朝の15〜30分程度で終わる「計算問題」「漢字」「一行問題」などの日課だけは、講習会のない日も継続させましょう。

4年生のお盆休み以降(8月後半)の過ごし方

「なぜそうなるのか」という因果関係や仕組みを理解する学習を心がけましょう。
夏期講習の復習をする際、答えや公式の丸暗記で終わらせてはいけません。
4年生の時期から「なぜこの式になるのか」「どうしてこの結論になるのか」といった因果関係や解法の仕組みを自分の言葉で説明する練習を重ねることが、高学年での思考力の伸びにつながります。

また新学期が始まる直前に慌てないよう、学校の宿題はお盆明けくらいには終わらせるスケジュールで動きましょう。
自由研究は「提出は必須ではない」という学校も多くなっているようですが、時間のある4年生はぜひ取り組んでみてください。

8月末テストの結果の受け止め方

どうしても親としては「夏のがんばりの結果を出してほしい」と思うものですが、偏差値や点数に振り回されないことが大切です。

4年生のうちから「テストは結果だけを見て一喜一憂するものではなく、今の自分に何ができていて、何ができていないのかを判断するためのもの」ということをお子さんに教えてあげてください。
そのために親はプロセスを見て褒め、間違え方の原因を分析する視点でお子さんのテストを見るようにしてください。

「最後まで解ききったこと」「夏期講習に通い切ったこと」をまずはしっかり評価してあげましょう。
その上で、間違えた問題が「単なる計算ミス」なのか「問題文の読み飛ばし」なのか「概念の理解不足」なのかなどを親子で一緒に整理するといいですね。

【5年生】中学受験の天王山——「積み残しの解消」と秋のギアチェンジへの備え

5年生の夏期講習は通塾日数も宿題の量も4年生にくらべると多くなり、1年で最も消化不良を起こしやすい時期です。
ここで発生した「穴(弱点)」をそのままにして秋を迎えると、成績低下の原因となります。

5年生のお盆休みの過ごし方

夏期講習前半で消化しきれなかった課題や、テストで間違えた問題のうち、前回お伝えした「△」(「△:難しいがわかった」)に絞って復習することがポイントです。
5年生とはいえ、終日勉強漬けでは集中力が持ちません。
家族で美味しいものを食べに行ったり、数日間の旅行やレジャーを挟むことで、後半戦へのモチベーションを再充電しましょう。

5年生のお盆休み以降(8月後半)の過ごし方

秋からの「カリキュラム激変」に備える必要があります。
各大手塾とも、9月以降はカリキュラムのレベルが一段上がります。

たとえばサピックスでは旅人算・通過算・流水算・時計算などの速さに関する特殊算や、比の絡んだ複雑な平面図形などが怒涛の勢いで押し寄せます。
日能研・四谷大塚・早稲田アカデミーでもやはり「比」を使った実戦的な問題がたくさん出てきます。

とはいえ、新しい応用問題集に手を出したり、無理に難しい問題を解く必要はありません。
夏期講習後半で扱ったテキストの中の「△」をもう一度解き直し、秋からの高度な単元に耐えうる基礎体力を完成させるイメージで取り組みましょう。

8月末テストの結果の受け止め方

4年生同様、期待した結果出なかったとしても「夏の成果は秋〜冬に出る」と心得て、むやみに親が焦らないことが大切です。
「あんなに夏期講習で頑張ったのに成績が上がっていない」とショックを受ける保護者の方は非常に多いのですが、夏に蓄えた知識や思考力がテストの得点として表れるには、2〜3ヶ月タイムラグがあるケースも珍しくありません。

テストが返却されたら、まずは偏差値よりも「正答率50%以上の問題で落としていないか」を確認しましょう。
みんなが解けている基本問題での失点を発見できたこと自体をプラスに捉え、そこを重点的に解き直しましょう。
もちろん「△」を重点的に直しておくことも重要です。

【6年生】入試天王山の最終盤——「△をつぶす」作業とオプション講座の取捨選択

6年生の夏休み後半は、入試本番に向けた実戦力を磨く絶好の機会ですが、ここで親も子も焦ってキャパシティ以上の負荷をかけると、秋以降の不調や失速を招きます。

6年生のお盆休みの過ごし方

「睡眠時間の確保」と体調管理を最優先にしましょう。
6年生の夏休みで最も避けるべきは「睡眠時間を削って勉強すること」です。寝不足で頭が働かない状態で勉強しても効果は薄く、秋以降にバテてしまいます。
毎日7〜8時間の睡眠をしっかり確保しましょう。

講習前半の「△(あやふやな問題)」をピンポイントに補修しましょう。
お盆休みの数日間は、夏期講習前半で「△(解法は理解できるけれど一人では解けない問題)」や苦手な単元をピンポイントで潰す時間に当てることも検討してください。
お盆の時期にある特訓系の授業に参加すべきかどうかが見えてくるかと思います。

6年生のお盆休み以降(8月後半)の過ごし方

お盆や夏休み後半には大手塾で「上位校特訓」や「志望校別オプション講座」などが設定されることが多いですが、まだ基礎が定着していない子や消化不良を起こしている子が安易にオプション講座を受けると、自信をなくして逆効果になるケースが多いです。

下記を参考に、受講すべきかどうかを考えていただければと思います。

受けるべき子:夏期講習の基本・標準内容をすでに8割以上消化しており、余力がある子。
回避・キャンセルを検討すべき子:夏期講習の宿題や復習が終わっておらず、アタフタした状態で受講している子。

オプション講座をパスし、その時間を「夏期講習テキストの△の解き直し」に充てる決断が、9月からのSS特訓(サピックス)や日特(日能研)、志望校別コース(四谷・早アカ)で成果を出す鍵となるケースも多いです。

8月末〜9月初頭テスト(サピックスオープン・合不合判定テストなど)の受け止め方

合格判定のパーセンテージに、パニックを起こさないことが重要です。

8月末から9月初頭にかけて行われる大手塾の模試(サピックスオープン、四谷大塚「合不合判定テスト」、日能研「全国公開模試」など)では、もちろん本格的な志望校合格判定(多くは20%〜80%)が出されます。

ここで想定より低い数字が出た場合に、親がパニックになって「このままじゃどこも受からない!」と子どもを責めたり、大量の復習や「苦手のしらみ潰し」に走ってしまうと、かえって調子を崩してしまいかねません。

親御さんはぜひ、お子さんのメンタルサポーターになってあげてください。

やはり「20%」といった数字を突きつけられると、親以上にお子さんもショックを受けているものです。
親が冷徹に「正答率が高いのに間違えた問題(弱点)」をあぶり出し、9月からの過去問演習や弱点補強のタスクリストに落とし込む姿勢を見せてあげましょう。

親がドッシリと構えることで、子どもは安心して秋からのラストスパートに向かうことができます。

中学受験の夏休み後半は、知識の量をただ増やす時期ではなく、これまで学んできた知識の「質を高め、穴を塞ぐ時期」です。
周りの進度や塾の過密スケジュールに流されて「ただ講習を消化するだけのアタフタ学習」になっていないか、一度立ち止まってお子さんの表情とノートを確認してみてください。

塾の課題をすべて完璧にこなす必要はありません。
我が子の現在の学力水準に合わせて「やるべきこと」と「捨ててもよいこと」をしっかり見極める「課題の取捨選択」を今一度意識していただきつつ、8月に臨んでいただければと思います。

成果の出る夏になることを祈っています。

       

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