目次
習いごとは何が良い?
習いごとのペース、量は?
「時間と心の余裕」の有無をどう判断するか
習いごと代わりに早期教育はあり?
お家の方に気をつけてほしいこと
なぜプロセスが大切なのか
しとしとと雨が続き体調を崩しやすい季節ですが、中学受験生の皆さんは元気に過ごしていますか?
先日、AI時代にこそ大切にしてほしい身体感覚、知性、創造力についてお話ししました。
特別な勉強や訓練の必要はなく、例えば外遊びやお買い物、兄弟のお世話や台所などのお手伝い、入浴など、中学受験生の皆さんの日々の暮らしの中でそれらは育むことが出来るものであり、低〜中学年の多くの皆さんがよく取り組んでいる「習いごと」の中にも、その一助になる要素がたくさん含まれています。
今の時代はさまざまな理由で外遊びがしにくくなりました。
昔だったら家のお手伝いと外遊びだけでも十分、様々な体験や学びが得られたり、体力がついたりしたものですが、それができないために、習いごとやお稽古ごとがそのあたりを補っている部分もあるのが現状です。
そこで今日は、皆さんが習いごとをするとしたら、その際に意識してほしいこと、お家の方に気をつけていただきたいことをお話しします。
習いごとは何が良い?
習いごとの内容は、自分がやりたいと思ったもので良いと思います。
将来のためになりそうとか、ならなさそうとか、受験が近づくとやめなくてはならなさそう等、あれこれ悩まず、まずはやってみるのがおすすめです。
もしかしたら一生涯の趣味になるかもしれませんし、どうせ習うならずっと続けられるものを!と意気込んで始めても、すぐ飽きてしまうかもしれません。
中学受験を控えている皆さんではありますが、特に低~中学年の時期はまだ余裕があります。
これは勉強に役立つ、役立たない等と先入観で決めつけることなく、スポーツでも、ピアノでも、剣道や書道でも、プログラミングでも、気になる世界に飛び込んでみましょう。
たとえば野球チームで良いコーチについている子は人の話を素直に聞けますし、習字をやっている子の字は読みやすく、見間違いによる計算ミスをあまりしません。
右脳と左脳を使うと言われるそろばんをやっている子は計算力だけでなく判断力やひらめきも育つと感じますし、剣道をやっている子は姿勢が良く、型を学ぶことから、ある種の学習も身につきやすいように思います。
ピアノを本格的にやっている子は、音感や落ち着きがあるだけでなく、集中力があり、勉強もできる印象があります。
このように、それぞれに、勉学にも良い影響を与えていると感じています。
習いごとのペース、量は?
小学校3年生までは、学校の宿題がちゃんとできて、家のお手伝いや遊ぶ時間もちゃんとできる時間と心の余裕を残しておくことが大切です。
1週間にあらゆる習いごとをギチギチに詰め込んでしまい、気力も体力も奪われて日中はいつも眠くてたまらない……という事態は本末転倒です。
例えばスポーツ選手など、家の方針としてその道のプロを目指そうと考えている場合は週5、週6で習いごとに通いたいケースもあると思いますが、それと中学受験との両立は基本的に、物理的にも体力的にも非常に厳しいものだと言えるでしょう。
「時間と心の余裕」の有無をどう判断するか
どんな習いごとでも、様々な壁にぶつかったり、体力的にきつかったりする場面が訪れるものです。
そのように辛く苦しいとき、その負荷が本人の「まだがんばれる」一線を超えているかどうかは個人差の大きいところであり、習いごとの数や拘束時間、日数で判断することはできません。
そんなときは、中学受験生の皆さん自身が、今その習いごとを「楽しく」続けられているかどうかを落ち着いて考えてみてください。
辛いけど、楽しいですか?
その曜日が来ると嬉しいですか?
そう思えるのなら、多少スケジュールや難度、体面、精神面でキツく感じられることがあっても、その習いごとの負荷はあなたにとって、なんとか継続が可能なレベルだと言えるでしょう。
習いごと代わりに早期教育はあり?
英語や早期教育を中学受験生の皆さんが望む場合、つまり、楽しいとか、やってみたいと思える場合にそれらをやることはもちろん構いません。
ただし、習いごととそれらで得られるものは全く別物でしょう。
個人的には、小学校3年生までは早期教育よりも習い事をしつつ、家庭学習の習慣をつけたほうがいいと感じています。
お家の方に気をつけてほしいこと
このように、習いごとには現代では得られにくくなってしまった部分の学びを補ってくれる側面があり、身体感覚、知性、想像力を育みつつ、勉学にも良い影響を与え得るものです。
しかしながら、今回お話のメインとした低学年〜中学年よりもさらに幼い時代(未就学~低学年初期)には、習いごとよりも、親子の信頼関係、絆を育むことを大切にしていただけたらと思います。
また、習い事をさせるにしても、陥っていただきたくないのは、結果次第でお子さんを認めたり認めなかったりすることや、結果のみを褒めることです。
お子さんががんばったときには、結果はともあれ、ぜひともお子さんのがんばりそのものを認めてほしいのです。
そして、良い結果が出たときには、その結果とともに、そこに至るプロセスについても認め、褒めてあげていただけたらと思います。
なぜプロセスが大切なのか
お母さんやお父さんに結果しか誉めてもらえない状況が続くと、子どもはやがて、結果に至るがんばりや、プロセスを大切にしなくなります。
そうなると、たとえば、夏休みの宿題で、問題集一冊分答えを丸写しして満点ばかりのページで埋め尽くそうとしたり、誰よりも早く終わらせようとしたり、答え直しの際に間違っていた部分を見つけるとコソコソ書き直して丸をつけたり……というような無意味な行動を取ってしまうようになる子もいるのです。
こうなってしまってからそのような癖を直すのはなかなか難しいので、お子さんの習いごとの中ではぜひ、結果に至るまでのがんばりやプロセスを大切にし、温かく見守ってあげることを心がけていただければと思います。
中学受験生の皆さんがそれぞれの習いごとから、学ぶ楽しみや、出来そうにないと思えたことが出来るようになっていく感動、さまざまな発見や驚きをたくさん味わえること、そして、それらを通じて身体感覚、知性、創造力を大いに育めることを願っています。