【中学受験】【小5・2学期】算数「比」の学習攻略ガイド — 9月〜10月に押さえるべき重要ポイント②

西村則康近影

西村則康 名門指導会代表

40年以上、難関中学・高校受験指導一筋のカリスマ家庭教師。
「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーションをアドバイス、コーチング手法も取り入れ、親子が心底やる気になる付加価値の高い指導を行う。

目次

「相似」と「底辺比(高さを共有する図形)」の決定的な違いを理解する
図形問題でのつまずきを克服する「手元の工夫」
比を使う多種多様な文章題と「適切な図」の組み合わせ
比例式中の未知数の計算と指導時の注意点

9月・10月以降の平面図形・立体図形問題は、そのほとんどが「比」を活用して解く問題へと進化します。

図形の中に比の数値を正確に書き込み、整理する力が求められます。

今回も前回に引き続き、5年生の算数の最大のポイントである、比の学習についてお伝えしていきます。

「相似」と「底辺比(高さを共有する図形)」の決定的な違いを理解する

図形と比の学習で子どもたちが最も混乱しやすいのが、「相似な図形の面積比」と「底辺の比が面積比になる図形(高さが共通な三角形)」の区別です。

相似な図形:

形が同じで大きさが異なる図形。まず本当に相似かどうかを確認するため、同じ角度に「○」「△」「×」などの記号を書き込んで確かめる癖をつけます。
相似比が「2 : 3」であれば、面積比は「2 ✕ 2 : 3 ✕ 3 = 4 : 9(2乗の比)」になります。

高さを共有する三角形(底辺比=面積比):

高さが等しいため、底辺の長さの比がそのまま面積の比になります(底辺比が「2 : 3」なら面積比も 「2 : 3」)。

この2つに関して「底辺が2倍になったから面積は4倍」と、両者をごちゃ混ぜにして間違えるケースが多発します。
解法パターンを単に反復練習させるのではなく、「なぜ相似のときは2乗になるのか」「なぜ高さを共有するときは底辺のままの比になるのか」という「理由」に立ち返って根本から納得させることが不可欠です。

また、立体図形の相似では、相似比が2倍になれば体積比は 2 ✕ 2 ✕ 2 = 8倍 、相似比が3倍になれば 3 ✕ 3 ✕ 3 = 27倍 と、3乗に比例して急激に大きくなります。

「月の直径は地球の約4分の1だけれど、体積に換算すると「1/4 ✕ 1/4 ✕ 1/4 = 1/64」になる」といった具体例や身近な話題を交えて伝えると、体積比の変化に対する感覚的なイメージが湧きやすくなります。

図形問題でのつまずきを克服する「手元の工夫」

1つの角が90度を超える「鈍角三角形」は、底辺と高さの関係を見落としがちです。

困っている場合は、「ノートやテキストをくるくる回して、底辺を下に持ってきてごらん」とアドバイスするのが効果的です。
2〜3回自力で見つけられれば、回さなくても頭の中で視点を切り替えられるようになります。

テキストに印刷された小さな図に直接数字を書き込んで解くのではなく、自分のノートに大きめの図を書き直す(書き起こす)練習をさせましょう。
図を正しく書き起こすプロセス自体が、頭の中での条件整理となり、解法への気付きを生み出します。

比を使う多種多様な文章題と「適切な図」の組み合わせ

2学期の算数では、ありとあらゆる文章題に「比」が絡んできます。それぞれの問題タイプに適した図を描き、その中に「丸数字(①、②)」などの比の値を整理して書き込むことが解法の鍵です。

流水算

静水時の速さ・上りの速さ・下りの速さを整理する「3本の線分図」を描く。

通過算

電車とトンネルの位置関係を描き、「先頭から先頭まで」または「お尻からお尻まで」の移動距離を矢印で表す。

時計算

まず対象となる時刻(例:「2時と3時の間」という問題なら2時ぴったり)の時計の針の絵を描いてから考え始める。

相当算・倍数算

線分図を描き、全体や部分の比を丸数字で書き込む。

速さ・旅人算

状況図やダイヤグラムを活用する。
「同じ距離を進む場合、速さと時間は逆比になる(速さが 3 : 4 なら時間は 4 : 3 )」という逆比の考え方が頻出します。
時間の流れや出会い・追い越しが複雑な問題は、ダイヤグラムを描き、そこにできる三角形の相似を利用して解き進めると効果的なケースがあります。

比を使う多種多様な文章題と「適切な図」の組み合わせ

家庭で算数の復習をするとき、時間がかかって苦労している場合は、いきなり宿題の演習問題に取りかかるのをやめましょう。

最も効率的なアプローチは、授業で扱った例題の解き直しからスタートすることです。
授業で一度解説を聞いた基本例題に戻ることで、解法のプロセスをスムーズに思い出すことができます。

そして、例題を自力で解けた瞬間に、親御さんから「この問題って、どういうタイプ(種類)の問題かな?」と問いかけてみてください。

子ども自身に「これは図の外側に線を延長して大きい三角形を作るタイプ」「これは図の中で区切って解くタイプ」などと自分の言葉で分類(カテゴリー分け)させることが重要です。

頭の中に問題のタイプ分けができると、初見の応用問題を見たときにも「あ、あのタイプだ」と素早く解放の手がかりを見つけられるようになります。

5年生の9月・10月で習う「比」は、単なる1つの単元ではなく、6年生の受験本番まで使い続ける算数最大の武器です。

1. 割合から比(整数)へのシフトを受け入れる
2. 相似と底辺比の違いなど「なぜそうなるのか」の理由を理解する
3. 図や表を自分の手で描き、比の数字を正確に書き込んで解く

この3点を意識して毎日の学習を進めることで、秋以降の模試や6年生になってからの実力テスト・入試過去問での得点力は飛躍的に高まります。

お子様が「比を使うとこんなに楽に解けるんだ!」という実感を持てるよう、例題の振り返りや図の描き起こしからサポートしていきましょう。

       

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