2019入試分析理科

目次

開成中
麻布中
武蔵中
桜䕃中
女子学院
雙葉中
筑波大付属駒場中
駒場東邦中
渋谷教育学園渋谷中
豊島岡女子学園中
早稲田中
早稲田実業中
慶應義塾中等部
渋谷教育学園幕張中
聖光学院中
栄光学園中
浅野中

理科 総評

 今年度実施された理科の入試問題は、大まかには例年通りと言えます。知識と知識のつながりをテーマにする学校、現象と原因の関係を考えさせる学校、知識を多量に尋ねる学校など、その学校らしい問題でした。入試問題は、その学校の顔だと言われる理由は、その学校が欲している理想の生徒像が鮮明に見えてくるからです。入試問題が大きくは変化しなかったということは、それぞれの学校が求めている生徒像に変化はなかったと捉えることが出来ます。

 ただ、細かな変化としては、これまで頻繁に見受けられてきた単純な知識だけを聞く問題や、見たことのあるパターンで対応できる問題が少し減った感があります。それは、どうやら今年だけの変化ではないようです。それは、会話形式の問題が増えたり、受験生が見たことも聞いたこともないような題材を取り上げ、それについて誘導しながら考えさせるタイプの出題(解答も1つではなく、複数あるような問題)が散見されるようになってきたことがことです。「あなたは、この知識を持っていますか?」から、「あなたはこの現象とあの現象の関係を知っていますか?」に、さらに「あなたは、この現象の原因を考えることが出来ますか?」に、少しずつですが変化しています。

 このような変化は、各塾の合否判定模試に既に反映されつつあります。その結果、「塾の暗記教材をあんなに一生懸命やったのに、点数が全然上がらない」という例が激増しています。

理科は、暗記教科だから、いざとなれば小6からでも間に合うという捉え方は、明らかな間違いだと断言できる状況に達しました。理科は暗記教科ではなく、原因と結果の因果関係を探求する教科です。

今回、取り上げるような学校は、各校が求める知識レベル、思考レベルとも、それぞれに個性があり、違いがあります。これらの学校を目指す生徒は、まずしっかりとそれに沿った対策をとることが重要です。知識は機械的な丸暗記ではなく、名塾のテキストを精読して、文脈の中で覚える必要があります。そして、そこにプラスして、推測したり、想像したり、時には面白がったりする力も必要となる中学校があります。時代は、指導する側である理科講師の力量が厳しく問われる状況に変化しつつあります。

開成中

 昨年の分析において、「近年の入試で、開成の物理・化学・生物・地学の各問題作成担当者が、揃いも揃って高得点勝負になるような問題を作成すると言うことは、理科で差をつけるのではなく、入試では理科の素養を見るにとどめるということで、意思統一がはかられているのではないか」と書きましたが、今年もその流れは健在だったと言えるでしょう。
 今年度、開成が入試後に公表した理科の結果には「合格者平均が約95%、受験者平均が約90%の得点」という驚きの数値が示されていました。受験生にとってまずまずの出来と言えるのは、満点と1か所間違いのみ。2つミスると合格者平均を割り込み、3つ落とすと全受験生の平均をも下回ってしまうという、超過酷な入試であったことになります。こういう超ハイスコアでの争いは、難問ばかり出題されるよりも、力量がやや見劣る受験生にとって、はるかに厳しいものとなります。開成の理科は「とっつきやすいから楽」では決してないのです。満点かそれに準ずる得点が必要なる場合があることを示した今年の入試は、次年度以降の受験生にとって、強烈な重圧になるものと思われます。
 開成理科は、昭和の後期から平成のごく初期まで煩瑣な計算を要求したり、些末な知識を問うなど、ガッツリ差がつく出題でした。その後、受験者層から考えて妥当な入試レベルを出題していた時期を経て、平成後半からは8割9割といった高得点勝負入試という変遷を遂げています。その究極が平成最後の入試となったわけです。
 ただここで気をつけたいのは、問題が平易と言ってもそれは「開成受験者レベルにとっては」ということです。各塾の知識の総まとめ的なテキストだけでは、まったく太刀打ちできません。今年の入試を見ても、題材はいずれも目新しいもので、問題集に頻出する典型題ではありません。確かに模試などで正解率が80%以上となるような単純知識を問う場面も一部にありますが、多くの設問は、一般の模試なら正解率が半分程度と思われる、思考力を問うものになっています。ただいくら目新しくとも、導入がしっかりあり、思考するためのヒントがばらまかれているため、数多くのタイプの問題に当たり、その中で出題者の意図を見抜き、類推することを各受験塾でキッチリ鍛えあげられている開成受験層が相手だと、平均9割越えの問題になってしまうというだけです。この出題レベルでも、開成が意図するように、最低限の理科の素養は判断されていると捉えるべきでしょう。

今年

 今年の入試ですが、例年通り4分野から均等に出題されています。1番は浮力や溶解などの内容が含まれてはいますが、地学分野ということになるのでしょう。透明な氷を作るにはどうしたらよいか、という切り口から水の循環を考えさせています。2番はクロマトグラフィーによる実験考察、3番は昆虫の完全変態という単純知識を問うた後、アリの道標フェロモンに関する実験を考察させます。4番は金属棒の熱伝導に関する問題で、題材的にはもっとも馴染みやすかったことでしょう。前半は単純知識、後半はグラフやデータを読み取らせ、軽く計算をさせています。

対策

 このような開成の理科に対応するには、ヌケやムラのない緻密な学習が必要です。近年の入試では、実験考察型の出題が目立つようになっており、単純知識系のみならず、麻布型の思考力系の入試に目を慣らしておくことも大切となってきています。強いて言えば、長い記述、論述が問われることが少ないという程度で、全方位型の学習を心掛ける必要があります。テキストでやらなくてよい部分はない、試験で見直ししなくてよい部分はないと考え、それを着実にこなすしかありません。さらに、ハイスコア勝負に打ち勝つには、自分の答えを吟味する検証力、何事にも動じない強靭な精神力なども問われます。問題集や模擬試験にできるだけ多く当たって、その成果や結果を毎回揺るぎない自信に変換していくことが重要となってくると言えるでしょう。何が出ても、何が起こっても不思議じゃないのが開成入試です。今のところ、前記のような高得点勝負のトレンドがありますが、来年の新元号初年度入試で、一気に以前のように難化する可能性もまったくのゼロではありません。それでも慌てず騒がず対応できる力を身につけるのみです。

麻布中

 今年の理科の問題は何だろうと、入試会場でわくわくとしながら問題を開くような受験生であってほしい。そのようなメッセージが毎年詰まっています。このメッセージ性はだんだんと高度になり、時には“科学するものの良心”にまで踏み込むこともあります。それらのメッセージを読み取り、入試本番で感動体験をするような生徒に来てほしいという学校側の強い願望も感じることが出来ます。
 出題者が、受験勉強で学ぶ知識レベルを充分分かった上で、1問1答形式の問題に陥ることなく、持っている知識や思考方法を総動員すれば考えつくことが出来る問題に仕上げる力量は、他校の追随を許していません。

 丁寧なリード文で、難解なテーマを一気に身近な問題と捉えさせ、受験勉強を通じて学んできたであろう「12歳なりの知性や教養」を問う形式は、何十年も変化していません。今や麻布以上に難解なテーマを出題する学校はたくさんあります。中には、高校物理や高校化学のテーマを扱うことすらあります。それらの問題の中には、「相手は12歳の小学生である」という視点が欠けているものがあり、難しすぎて差が付かなかったり、過去問指導で捨て問にされたりしています。そのような風潮の中でも、「12歳なりの知性と教養」を利用して、丁寧な問題文で導きながら1つ1つのプロセスを上らせる作問方針は不変です。

今年

 2019年度の、問題文に書かれた問いと関係のないメッセージは、3つ。

  1. (様々な動物たちが)私たち人とはことなる自然環境や他の生物との関わりの中で、それぞれが最良の選択をしているということなのかもしれません。
  2. コーヒーは好みに合わせた楽しみ方がまだまだあるので、皆さんも大人の味覚が分かるようになったら、楽しんでみてください。
  3. 平成が終わろうとする今ですが、地図やカレンダーを通して江戸時代に思いをはせてみるのも良いでしょう。

 前回は、“科学するものの良心”でしたが、今回は、科学するものの日常を彷彿とさせるものでした。

 設問は、特殊な知識を一切必要としないものでした。言葉を答えさせる問題の解答は、「卵」「精子」「球根」「種子」「酸化」など、受験生ならば誰でも知っているものばかりです。題意を捉えるシンプルな論理的読解力が問われています。計算を必要とする問題では、受験問題集にある定番型は全くなく、2の16乗の概算から答を求めるもの(大問1の問5)や、(18年11日)÷(29日12時間)をただひたすら計算すれば良いもの(大問4の問6)など、特殊なテクニックを要するものは皆無でした。ここでも、シンプルな論理的読解力が問われていることになります。

大問3のコーヒーの焙煎や抽出の問題は、説明を正確に読むことだけで正解が出来ました。前半は、「苦み→カフェイン、他の苦み成分→焙煎で増える、糖類→有機酸→加熱で分解」これらの語句のつながりを、落ち着いて理解出来出来れば正解可能でした。後半は、「コーヒーの粉1gあたりに残っている「粒」の数と、触れていた熱湯1gあたりに溶けた「粒」の数の比は9:1」という前提条件の意味を捉えることが出来ないと、連続2問失点することになりました。

 今年度も、「類題がどんな問題集にもない」「解きながらわくわくする」問題でした。そして、4問とも「シンプルだけれど正確な読解力」が問われています。

対策

 「12歳なりの自然科学への強い好奇心」が最大の武器になる問題です。そして、好奇心に導かれながらも、先走りせず一ステップ事に納得を積み重ねていく学習姿勢が得点力を安定させます。

 塾の先生の話を、身を乗り出すように集中して聞くこと。聞きながら、「なぜだろう」や「だったらどうなるんだろう」と考えること。また、塾テキストの説明を読みながらも、「なぜだろう」「だったらどうなるんだろう」と感じられる気持ちの余裕が大切になります。

武蔵中

 例年、物理・化学・生物・地学の4分野から大問1題ずつの出題です。どちらかといえば知識よりも思考力、処理力を求める難問揃いの出題です。特に化学、物理の計算問題は、塾の平常授業内容では補いきれないレベルまで出題されます。難問対策をじゅうぶんに行っておくことが大切です。

今年

  1. 光合成と呼吸に関する問題です。実験に登場するニラは、光合成を行う緑色植物として、エノキは光合成しない植物として登場します。図が一切ないので、条件を読んで自分なりに表や図に整理できたかどうかで正答率、かかる時間が左右されます。
    問5では実験の結果が自然界のどのような部分を表しているかを選ぶ必要があり、実験の意義を正しく理解しているかどうかが問われます。
  2. 月の満ち欠けと潮の満ち引き、そして浅瀬で暮らす生物の生活環境について全般的に問う問題。問題に「月の影響により1日2回」と説明されていますが、潮の干満を体験的に知らない受験生は勘違いする可能性があります。問4以降は、干潟や浅瀬に多様な生物が(困難があるにもかかわらず)生活する理由を考えさせられます。日常的な「理科的アンテナ」の感度を問われる問題です。
  3. 紙テープを折ってできた栞を観察し、気づいたことを説明させます。(1)では指示通りに作業し、それによって気づいたことを(2)で説明するのですが、(2)で説明する際には「図をかいてはいけない」という指示があるため、折り目のでき方を言葉だけで説明する必要があります。

対策

 複雑な計算問題などはないのですが、大問3のお土産問題も含め、文章で説明させる問題が多く、「なんとなく」「パターン通りに」に逃げられない、本質的な理解を問うものになっています。ふだんの学習から、わかったこと、問題を解く上でのポイントなどを誰かに説明するなどの習慣をつけておくとよいでしょう。

桜蔭中

 桜蔭の理科は、受験生レベルを考えるとだいぶ易しめの出題が続いています。30分という試験時間で、ある程度の解答数があり、所々に計算をさせる設問が含まれるので、スピードや処理能力は求められますが、突出した応用力や思考力は必要としません。かつては算数と理科で合わせて55分という形式の出題で、「理科はおまけ」のような感じでした。さすがに4教科独立した出題形式になってからは、おまけ的要素は薄れていますが、まだ若干ですがその名残がある感じです。桜蔭が理数系に対して最強の女子校であることは間違いないのですが、化学や力学などの物理分野で、男子顔負けのゴリゴリの理科計算が出されたり、見たこともない問題で受験生の度肝をぬくことはありません。毎年物理、化学、生物、地学の4分野がバランスよく配列される、オーソドックスな出題です。開成と同様に、トップレベルとしての力量、資質は算数、国語の入試で見て、理科では最低限の素養を見る出題にとどめていることがうかがえます。

今回

 今年の出題は、1番が溶解について。砂糖が水や濃度の違う砂糖水に溶ける様子を問うもので、溶解の本質が分かっていれば難しくありません。計算も1か所ありましたが、溶解度の計算ではなく、実験のために準備する水と砂糖の量を問うものでした。9回の実験の段取りを考えれば、自ずと計算できるのですが、今年はこの問いが最も正解率が低かったかもしれません。
 2番は電流と電圧、モーターと発電からの出題。データを与えて考えさせる問題で、一般の電流に関する数値計算は一切ありません。直列回路では電流が一定、並列回路では電圧が一定であることなど、桜蔭受験生なら常識ともいえる内容をていねいに解説した上で考えさせます。唯一ある計算は、ひもの長さをモーターの軸の円周で割るという、電流とは関係のないものでしたから、電流計算が苦手な子はホッとしたことでしょう。
 3番は人体からの出題。心臓のつくりや肝臓の働きなど、基本的な知識を問う問題と、血流や尿に関しての計算問題からなっています。計算に関しては、必要な数値や考え方は問題文に明記されているので、それにそって行えばよいのですが、人体での計算問題は馴染みが薄いので、答えの数値の妥当性が検証できずに不安を残した受験生がいたかもしれません。
 4番は天体で、黄道12宮の出題でした。これも別に12個の星座を知らなくとも解けますし、ましてや何月生まれは何座という知識はいりません。実際、現在の星占いだと、太陽と星座の位置が暦の関係でずれているのですが、わざわざ注釈を入れて、本来の意味での黄道と星座の関係のみで考えさせています。最初が地球の公転の向き、最後が夏の大三角を作る星座名を答えさせるなど超基本で、中盤は典型題ながらやや考えさせる問題が並びました。
 今年の問題は総じて見ると、例年通り受験生レベルを考えるとだいぶ易しいという流れは不変でしたが、やや難しめであったと思います。合格に必要な点数は昨年より若干下がったのではないでしょうか。例年より計算させる設問が多く見られたことがその要因だと思われます。中和計算とか、ばね、てこ、浮力といった定番の計算ではなく、問題の途中のちょっと意表をつく部分で、計算を要求されていました。

対策

 桜蔭受験生の理科の学習は、4分野から満遍なく出題されるため、開成受験生と同じように、とにかく隙無く、学習ムラを作らないことを心掛けることが重要になります。開成のように9割以上取らねばならないというプレッシャーはありませんが、8割程度は必要なハイレベルな争いになることが多いため、精度を意識した取り組みが必要になります。基本知識は当然のことで、それらを駆使して思考させる内容がメインです。思考の奥行はそれほど求められませんが、派生する内容を知識を使って類推する力が、ある程度は必要となりますので、知識の暗記のみに頼った学習ではなく、各塾のテキストの後半部分までしっかり考える癖はつけておくことです。計算系に関しては、男子トップレベルはもとより、併願者の多い豊島岡と比べてもおとなしめです。定番問題での複雑で面倒な計算演習は特に必要ありません。ただ、今年のように普段させられないような部分で、計算を要求されることが多いので、与えられたデータ、設問の文章にちりばめられた手順、ヒントを使いこなせるように練習する必要があります。昨今の塾の教材やテストには、まだまだ少ないですがそういう問題、設問が部分部分に収録されています。こういう問題群に対して、頻出テーマではないからと言って、切り捨てたりそこから逃避したりせず、正面から取り組むようにしたいものです。

女子学院中

 例年と同様に、小問30の中に、解答しなければならない箇所が60ヶ所あります。4教科とも40分でいずれも100点満点というのが女子学院入試の特徴ですが、40分の試験時間でその全てを埋めて、さらにしっかり見直しまでするには相当の訓練や練習が必要となります。

 記述問題やグラフの読み取り、計算問題も毎年出題されます。どの分野においても、知識+計算+読解力が求められ、苦手を作ることが許されません。

 見慣れた出題も多いですが、問題の導入部分に、「資源ごみ」や「大気の状態が不安定」などど、現在の話題を入れ、読みやすくする工夫がされています。普段の知識と、日常のニュースや時事問題への関心を持つことで、疑問に思ったことをいかに解決しているか、問われる問題ともいえます。このような処理能力が求められる中で、60か所の解答欄があるため、スピードも求められていることは明白です。また、算数や国語と配点が同じであることから、理科での得点はとても大きな位置づけとなります。

今年

 今年は「1」が『資源ごみ』として、「ペットボトル」が取り上げられています(化学分野)。「2」が『天気予報』として、「大気の状態が不安定なため」とは(地学分野)、「3」が『生き物』として、「メダカとメナダ」(生物分野)、「4」が『おもりとバランス』から、「てこ」と「さおばかり」(物理分野)となっていました。
 今年度の主な特徴は2つです。

  • 最近の出来事に興味を持ったり、聞いたりして、関心を持ち、調べたりする人が有利となる問題が多かったことです。

    大問1の「資源ごみとしてのペットボトル」を問う問題。大問2の「大気の状態が不安定とは」を問う問題。

    これらは、受験問題集や塾のテキストには記載されていませんが、2018年の特定の時期に新聞やニュースで盛んに取り上げられました。その場でどのようなことなのかを確認したり、原因や理由を話し合ったり、ネット検索したりする児童、それを促す家庭環境が求められるように思います。
  • 同じ分野から、別の対象の問題が出されました。

    大問3の「メダカ」と「メナダ」を問う問題。大問4の「てことおもり」「さおばかり」を問う問題。

    この分野のことをいかに理解しているかを質問しているような内容です。入学前に、この問題は知っておいて欲しいという内容、学校からのメッセージだと考えることが出来ます。参考書や塾テキストに書かれているような内容を念頭に、条件によって、計算や解答を導き出すことが求められています。

対策

 女子学院志望者は、4教科均等配点の意味をしっかり理解し、理社の対策を怠らないようにすることが大切です。特に過去問演習では解答スピードに留意しつつ、しっかり考えて記号を選択していく、普段から記述問題もしっかり解いておくことなどの練習が必要になります。算数、国語以上に理科や社会で点数をとることが合格の秘訣かもしれません。理科を得意科目とするべく、その楽しさを見つけることが重要となります。
 また、教材を通し、基本を理解し、最新のニュースに関心を持って、常に疑問を持って、もっと知りたいというような生徒さんが求めているように感じます。このためには、今どんなことが起きているのか知りたいと思う欲求や、それはなぜおきているのかを探求する気持ちや姿勢があるかどうかという点です。そのような思考欲求や知的好奇心を得るためには、家族の理解や協力、理科の指導者と出会えることが必要かもしれません。

雙葉中

 雙葉の理科は、生物、地学、物理、化学の4分野から満遍なく出題されますが、問題集やテキストなどで見慣れた内容を素材としない場合が多いことが特徴です。ただ、受験生がまったく知らないような話題ではなく、前年にニュースになったもの、テキストのはみだしコラムに載っているようなものなどを扱う場合が多いので、普段からそのようなものに興味を持ってアンテナをはっている受験生には、違和感なく受け入れられる仕上げとなっています。今年も火星大接近、オゾン、カイコガのフェロモンなどが出題されていますが、そこから一般的な受験知識を問う設問へと誘導することが多く、難易度は見かけほど高くありません。
 ただ、毎年のことですがグラフを読ませて思考させる、グラフや図を書かせるという設問がふくまれます。また、大問丸々計算という形ではなく、問題文の途中において、与えられたデータをもとに随所に数値を計算させる設問をはさむことが多いのも特徴です。この計算も小数第三位を四捨五入しなさいといった感じで、算数同様に面倒な数値計算を厭わない資質が問われていると言えるでしょう。

今年

 今年の入試は、1番が地学で、火星大接近の話題から、一般的な流水の働きへと落とし込んでいます。2番は化学で、硫化水素、二酸化炭素、二酸化硫黄などの気体に関して、身の回りの化学的な要素を問うた後、やや面倒な数値計算をはさみ、気圧、オゾンの話題へ進みました。3番の生物は、逆に前半は一般的な昆虫の変態の問題から入って、後半のカイコガのフェロモン、ウジの昆虫ホルモンといった目新しい内容につなげました。グラフ等のデータを分析させる出題で、結果を予想させてグラフに表す作業もあります。4番は物理で凸レンズに関する出題となっています。今年に関しては、この凸レンズ、望遠鏡の問題に手を焼いた受験生が多かったものと思われます。レンズに関する問題は、昔は盛んに出題されていましたが、指導要領で中学に棚上げされたこともあり、中学入試での出題頻度が下がっています。光に関する学習は、鏡や色を扱ったものにその主役の座を奪われて、各塾のテキストでも、レンズによる像の作図などは脇役になることが多く、あまり練習していなかった受験生もいたことでしょう。今回の出題では、光の進み方は問題文に図示されていたので、像の作図がメインではありませんでしたが、普段から自らの手で書いていないと、光の進み方、虚像の認識のしかたなどの本質が理解できず、手こずったものと思われます。

対策

 雙葉の理科は、前述のように見慣れない問題が多く、手ごわそうな印象を受けます。そのため、見かけほど難度は高くないにも関わらず、「理科って苦手だな」と腰が引けている女子には、ハードルが高く見えてしまいがちです。柳が幽霊に見えているだけなので、与えられた題材にすんなりと入り込めるだけの素地を作っておく必要があります。普段からテストに関係ないから、とテキストのはみ出しコラム等に興味を示さない女の子は多いと思います。まずはそこから変えていきましょう。塾で担当の先生がベテランであれば、必ず面白おかしく話題にしてくれると思いますが、そうでない先生なら、親御さんがちょっと取り上げてみるようにしてほしいと思います。ニュース、新聞で流される理科的な時事ネタも同様です。どんな小さなことでも既習の内容にからむ要素があれば、深く掘り下げることができないまでも、ほんのちょっとで構いませんので、食卓などで話題に乗せてみてください。それだけでも、高かった敷居が少し低く感じるようになると思います。その上で本人が理科的な読み物、図鑑などに興味を示せれば、さらによいのですが、受験生だとなかなかそういう本に手をのばす時間はありません。意識的に問題集や模試の問題から、見慣れない問題をピックアップして解くようにしたり、麻布などの思考系の入試、雙葉の過去問などで、良質な問題に目をならし、与えられたデータを分析・思考し、計算するという訓練をすることが有効となります。それらに対して難しそう、興味がないと敬遠することなく、取り敢えず自分なりに考えてみよう、できるだけ数値処理をしてみよう、図やグラフを書いて考えてみようといった「前向きな姿勢」が出てくれば、合格ラインはすぐそこです。

筑波大付属駒場中

 試験時間40分で問題用紙は8枚。計算を含め、思考力を問う問題もあり、時間内に終えるには厳しい問題量と質の高さです。前半に時間を取られた受験生は、思考力の問題で、時間が足りなくなる可能性があります。今年も、理科の出来具合により、差がついたかもしれません。知識を問うだけでなく、しっかり思考させる問題が出されており、問題に厚みがあり、受験生は注意を払う必要があります。
 生物、地学、化学、物理の各分野広範囲に渡り、広い知識が問われ、考えさせられる出題形式も多く、解答するにも、細心の注意が必要となっています。そういう意味で、過去問で知識系の理解を進め、早めに解いて、思考力が問われる問題への対応が求められます。

今年

 今年度は過去に見られたように、知識を問われる問題でミスをせず、かつスピーディに処理を終え、思考力が試される問題へいかに時間を割くことが出来るかが勝負の分かれ目となっています。
 主な特徴は2つです。

  • 知識が問われる問題が出題されています。

    大問1にツバメとカラス、大問2にイネの計算問題が入っています。大問3は地学関連の問題として、日時計、北極星を見つける簡単な方法、川の曲がりくねる様子、百葉箱の設置条件、軽石の特徴など、知識問題が出ています。
  • 思考力が問われている問題が出題されています。

    大問4は海水から塩を作る方法と計算問題が含まれています。大問5は化学問題と実験中に観察出来ることなど、考察力が求められる問題が出題されています。大問6は積み木の問題が出され、思考力が問われています。大問7は鏡と光の角度が出題されています。図を見て、考えさせる問題が出ています。

対策

 筑駒の問題は、受験問題集や塾のテキストには記載されていないかもしれませんが、過去問を解くことにより、考え方や解答方法を知ることが出来ます。また、自ら探求心を持って、辞書や参考書を調べたり、ネット検索をすることにより、解答や解説を知ることが出来ます。その準備をどこまでするかが、受験生に求められています。それを促す家庭環境が求められているといえます。また、この問題の解き方を知っておいて欲しいという内容、学校からのメッセージだと考えることが出来ます。
 筑駒のように、思考力に重点を置く試験は、志望者がどのように学習しているのか、つまりは学習の質が問われています。中学受験は、短期間に沢山の知識を吸収しなくてはならないために、学習の量が重要視され、きちんと内容を理解しているのかどうかは二の次となりがちです。ある段階(6年生の夏頃)から、思考力を鍛えるような演習を中心に据えて、学習の質を高めていくことが必要です。
 そのような場面で、学力の状況をきめ細やかに見ることが求められます。子どもがきちんと法則や公式を理解出来ているか、どのような物事や状況にその法則が活用出来るか、思考力が伸びているか、どのような教材を中心に演習したらよいか、演習問題への取り組み、過去問の活用法など、適切な判断を親(あるいは家庭教師)がすることが大切です。

駒場東邦中

 知識そのものは一般的なものです。決してマニアックなものは求めていません。ところが単純に当てはめれば正解になるような問題は減少傾向にあります。近年は小問数で3~5問程度です。それ以外の知識問題では、理由や原因を理解した知識が必要になっています。なぜそうなるのかを理解できている知識があれば正解で来ますが、結果だけの知識では太刀打ちできません。

 駒東の理科の特色は、実験や観察と言う問題形態を取りながら、データー(グラフや表)の正確な読み取りを要求し、設問にある一言二言のキーワードに注視する注意力を要求されることにあります。実験に関する問題では、通常の受験参考書や塾のテキストにあるような単純モデルではなく、2つ3つの要素を加えてより実際の現象に近づけています。そのレベルは、実際に駒棟に入学した後の中学授業で展開される理科の実験授業を彷彿とさせるものです。決して高校で扱う内容を、無理矢理小学生に解けるように改変したものではありません。ですから、表やグラフをしっかりと読み取る練習をし、問題文を精読する練習をすることで、「アレ、この結果はテキストとちょっと違ってるぞ!」「アレ、こんな余分な条件が入っているぞ」と気付く練習を、落ち着いて行うことで充分太刀打ちできるものです。

  1. 小学生の知識と判断力では手に余ると思える選択問題が、小問数で1~2問あること。中学・高校の理科知識を持って、出題者の意図をくみ取ることが出来なければ正解出来ないレベルの問題です。このような問題では、消去法を使い、正しそうな残り2つに絞って正解の確率を高める方法をとることをおすすめします。
  2. 理由や現象を尋ねる記述問題の中には、何を答えれば良いのか分かりにくいものがあります。でもそのような問題の文章に限って、何らかの余分な言葉が入っています。それがヒントです。作問者の、こういう答を書いてほしいという思いが、文章の中にノイズとして紛れ込んでいます。

今年

 今年度の特徴は、2つです。

  • 近年の科学的な出来事やイベントに興味を持っていないと答えることが出来ない問題が多かったことです。

    大問1の(2):2018年に噴火した火山を問う問題。

    大問2の(5):2018年の台風13号の変則的な進路を問う問題。

    大問4の(6):絶滅危惧種を選ぶ問題。

    大問4の(7):特定外来生物を選ばせる問題。

    これら4問は、受験問題集や塾のテキストには記載されていませんが、2018年の特定の時期に新聞やニュースで盛んに取り上げられた事柄です。ニュース番組を漫然と見ているような家庭ではなく、その場で場所を確認したり、原因や理由を話し合うような科学的な興味にあふれた家庭で育った子を想定しているように感じます。
  • 「なぜそうなる」「だったらどうなる」を問う問題が相変わらず4~5問出題されたことです。「入学後、理科の授業で子供達に発せられる問いはこのようなレベルだよ」というメッセージだと考えることが出来ます。参考書や塾テキストに書かれているような現象と原因の関係を頭に置きながら、条件が異なる場合をその場で考えることが要求されています。

対策

 暗記教材を完璧にこなしても、点数がとれない典型的な問題です。必要とされている学習マインドは、原因を知りたいという欲求と、今どんなことが起きているのかを知りたいと思う欲求です。そのような思考欲求や知的好奇心を得るための特効薬は、現象や原因を子供達が納得できる例に置き換えて面白おかしく説明してくれる理科の指導者に巡り会うことです。でもそのような環境に巡り会うことが出来るのは、ほんのわずかの子供達です。そのような指導者が身近にいない場合は、参考書や塾のテキストの説明箇所を隅から隅まで読み込む学習習慣をまず身につけてください。

渋谷教育学園渋谷中

 麻布の理科をリスペクトしている学校群の1つだと考えています。設立当時の他校からの教師の移動を考えても、麻布の理科の流れは注ぎ込んでいるはずです。そして入試問題は、麻布のように長いリード文から始まり、通常の受験問題集や塾テキストには見当たらない問題が多く並んでいます。形式を見る限りでは麻布と変わりません。でも問題を解き進めていくと、麻布とは味わいが異なるのです。
 麻布は、シンプルな論理を使いこれしかないという答を導き出すことが出来ます。設問の文章自体が、正解を導き出す誘導路となっているのです。ところが、渋々の問題のいくつかは、どこまでの知識や思考を要求しているのかが見えないのです。深読みをしなさいと言っているのか、それともシンプルな理由を答えなさいと言っているのかが判然としないのです。そのような問題は、全体で小問数3~4問しかありません。でもそれが味わいを変化させているように感じるのです。
 長いリード文を丁寧に読みながら、現象とその原因を理解する必要があります。受験勉強を通じて覚えた知識を使って即答するわけにはいかない問題ばかりです。そして設問の読み方も注意深さが必要です。「その理由を本文の内容に沿って考え、説明しなさい」や「、本文と新聞記事を参考にして、説明しなさい」という、答え方や答を導き出す頭の使い方のヒントが書かれています。これは、「本文の内容からはみ出してはいけません」や、「新聞記事に書いてある因果関係と同じように考えなさい」という指示だと捉える必要があります。
 受験直前期の答案作成訓練においては、国語の長文記述練習と同じく添削指導が必要となります。

今年

  1. 「ヒアリ」の話から始まり、農薬使用の影響に話は移り、最後に天敵を利用した害虫駆除の説明がリード文です。小問5つの内、問3と問4が上記のように答にくい問題でした。
  2. ガラスに付いたくもりから、水の表面張力に話題が移ります。そしてこの2つに関係があることの説明が続きます。設問は全般的に易しいものでした。問4は「表面張力」という言葉を使わなければ説明しきれないものでしたが、リード文の中にその言葉が表記されています。合格者の多くの問題用紙には、下線が引かれたことと予想しています。
  3. 活火山(富士山)の噴火と、その社会生活への影響のリード文から始まっています。小問4つの内、3問は答えやすい問題でした。問3は、作問者が期待している答えが予想しづらい問題だったと思います。

 面倒な計算問題は全く出題されていません。また、マニアックな知識を聞く問題も皆無でした。

対策

 今年の問題だけで傾向を判断するのは危険です。年によっては、高校生物や化学・物理の先取りのような問題も出されたことがあります。そのような場合、驚くことなく、誘導に沿って丁寧に考えていくか、解きやすい前半の小問を正解し、ほとんどの受験生が正解できない後半の小問は後回しにすることが得策です。その練習は、過去問演習を通して充分に練習を重ねてください。また、どこまでの思考を要求しているのかが判然としない問題は、公立6年一貫校の理数問題と似ています。それらの過去問をピックアップして数問を練習し、添削指導を受けるようにしてください。
 麻布の理科の流れを汲む問題ですから、麻布の過去問を解くことも非常に有効です。長いリード文の中にあるヒントをつかむ練習として利用してください。

豊島岡女子学園中

 試験の配点は50点、時間は社会と合わせて50分で問題用紙は14枚です。計算問題を含め、思考力を問う問題が多く、スピードが求められます。豊島岡の考察問題の場合、与えられた情報から答えを1問ごとに解く問題が多く、問題を知っていることが大切なポイントとなり、過去問に取り組むことが重要です。また、計算問題に関しては、数多く解くことにより、どのような問題がきても、迅速に対応出来ることが不可欠となります。
 知識問題に関しては、細かい部分まで求められることがあります。「ヒトの体内のつくりやはたらきについて」の問題など、「知識」の確認が必要です。4,5年生のテキストから読み返し、基本情報の整理が大切になります。生物や地学は高度な思考・考察問題が含まれていないので、あまり時間がかからないと思いますが、物理分野でいかに早く的確な推論が導けるかが鍵となります。

今年

 今年度の主な特徴は2つです。

  • 知識が問われている問題が出題されています。大問1に鉄球と転がり(速さ、時間、距離)を問う問題。大問2の塩酸と水酸化ナトリウムの実験の問題。これらは、基本の法則を身につけることで、解ける問題、あるいは解答に近づく問題と考えます。必要の応じて、解答や解説を知る機会を増やし、その準備をどこまでするかが、受験生に求められています。それを促す家庭環境も求められています。
  • 2. 思考力が問われている問題が出題されています。大問3は、生物分野:ヒトの体内のつくりとはたらき、大問4は、地学分野:気象について出題され、考察力が問われています。 計算、グラフ、図をみて、解く問題も出題され、考察力が求められる問題が出題されています。

対策

 

 社会と合わせて50分という時間的制約があるため、迅速に問題を理解し、計算処理するためには、相応の力が必要となります。重要なのは、確実に解ける問題を確実に解くことです。
 昨年の合格者平均点は50点中34.8点であり、問題数が多く、配点が各2点とすると、合格者が間違えられるのは7-8問となります。解けそうな問題を選び、集中的に時間を配分することも、合格に向けた大切な要素です。また、問題を取捨選択する際のポイントや時間配分は、過去問対策を進める際の重要なテーマです。

 特に、豊島岡の場合、設問を通し、基本知識を身につけるとともに、思考力を問う問題を通して、どのような生徒にきて欲しいかを暗示しているように思えます。このためには、これまでの過去問研究を行い、その対策を練るとともに、日頃から、問題を探求する積極的な気持ちや姿勢が必要になります。

早稲田中

 例年、物理・化学・生物・地学の4分野から大問1題ずつの出題です。どちらかといえば知識よりも思考力、処理力を求める難問揃いの出題です。特に化学、物理の計算問題は、塾の平常授業内容では補いきれないレベルまで出題されます。難問対策をじゅうぶんに行っておくことが大切です。

今年

  1. 食物連鎖に関する問題。問2はppmへの単位換算を求めますが、換算に必要な情報は与えられているので落ち着いて計算すれば大丈夫です。
  2. 星座の知識と見え方に関する問題です。問3では「南半球では北半球の逆さに見える」ということはわかっていても、実際の作業でミスする受験生がいると思われます。問5の外惑星の知識はやや難問。
  3. 中和に関する問題。中和によってできる食塩の重さと発生する熱の両方が問われているところが難しい問題です。問2はグラフを完成させることで答えられますが、ここでミスすると芋づる式に以降が不正解になってしまいます。
  4. てこと滑車に関する問題です。問2までが易しく、問3も本質的には難しくないのですが、問題設定が難解に見え、聞かれていることが理解できないと前に進めません。

対策

 計算や思考系、試行系の問題難度はそう高くはなく、むしろ知識問題や選択式回答でのミスや記憶のあやふやさで失点することのほうが、合否を左右しそうです。
自然災害などのニュースも「その出来事があった」だけでなく「どうして、どのような仕組みでそれが起こったか」を知っておくことが合格に近づく1つの方法です。

早稲田実業中

 大問数が3問、化学、地学、生物分野からの出題です。計算問題はわずかで、難関中を目指して学習してきた受験生であれば、どこかで遭遇している可能性が高い種類の問題でした。知識問題では、決して塾のテキストやテストには出てこないものが出題されており、日常から身の回りの科学的なできごとや自然現象にアンテナを張っているかを試される出題です。

今年

  1. 酸素の発生と性質に関する問題です。使用する過酸化水素(水)と二酸化マンガンのうち、二酸化マンガンは変化しないということを知らない受験生はほぼいないと思われますが、問題によっては選択肢が微妙で迷わせるものもあります。
  2. 台風に関する問題。一般的な台風に関する知識で解ける問題と、昨年の台風12合のニュースをきちんと見ていなければ答えられない問題が混在しています。台風の動きと風向きの問題は、緻密な作業が求められる難問です。
  3. こん虫の性質に関する問題です。これも問3以降はやや答えづらい問題。こん虫が完全変態によって体を変化させることによって得たものを文章で答えさせます。また問5のように正解の個数を聞く問題も複数あり、受験生を迷わせる内容になっています。

対策

 計算や思考系、試行系の問題難度はそう高くはなく、むしろ知識問題や選択式回答でのミスや記憶のあやふやさで失点することのほうが、合否を左右しそうです。
自然災害などのニュースも「その出来事があった」だけでなく「どうして、どのような仕組みでそれが起こったか」を知っておくことが合格に近づく1つの方法です。

慶應中等部

全般

 例年通り、今年も中等部の理科は極めて平易なものでした。典型題が多いため、パッと見も取つき易く、実際に解いてみるとさらに簡単と実感できる出題内容です。一般に上位校の場合、いくら出題が平易であっても「そのレベルの受験生にとって」ということが多いのですが、中等部の場合、中堅校の受験生でも確実に易しいと言えるレベルです。毎年ほぼ全てが記号(番号)選択問題のみなので、試験時間を持て余す受験生が続出していることでしょう。
 中等部が何年もこのスタイルで出題しているのは、御三家等の進学校との差別化を図っているからと思われます。小学生のこの段階で、将来的に東大はじめ難関大入試に対応できるかを見るような、思考力、応用力、数値処理力を求める必要はないのですから、それも当然と言えるでしょう。進学校の滑り止めではなく、生粋の慶應ファンに来てほしいのです。慶應の一員になるにあたり、小学生として身に着けておきたい基礎的な理科の知識に抜けがないか、そして身の回りの理科的な現象にどれだけ興味をもっているか、幅広い教養を身に着けていればさらになおよし、というスタンスだと考えるべきです。

今年

 今年の入試においては、若干いつもと違うパターンが見られました。まずは単語を書かせる出題が2か所あったことです。記号ばかりの解答欄とは別枠にして、答えを記入させる形になっていました。理科の単語、用語を問うのは、普通の学校では当たり前の出題ですが、それが中等部では珍しいのです。ただ、塩酸と水酸化ナトリウムの反応でできる物質の名前を漢字2字で書きなさいと、植物が光エネルギーを使ってでんぷんを作る働きを漢字3字で答えなさいというもので、漢字2字という段階で「食塩」以外答えようがありませんし、「光合成」を書けない受験生がいるはずもなく、まったく差がつかない出題となっています。
 もう一つは毎年のように出題される、植物、昆虫、動物の雑知識、常識チェックが1つも出題されなかったことです。野山を走り回った経験の乏しい最近の子供にとって、実はこれが一番厄介で、もっとも差がつく部分でした。昨年出題されたケラやマツモムシなどの昆虫、一昨年出題されたネコや牛などの哺乳類の乳首の数、頻繁に出題される旬の食材など、普段から図鑑を見たり、身の回りの動植物にどれだけ興味を持っているかが問われます。それが今年はまったく出題されず、光合成の典型題に置き換わっていたため、中等部対策をしてきた受験生は、肩透かしだったことでしょう。そして、さらに高得点勝負に拍車がかかったことが予想されます。今年は計算系の出題も全くなく(これは中等部の場合、時々あることですが)、選択肢に関しても紛らわしいものが見当たらないため、確信をもって答えられた受験生が多かったと思います。

対策

 単純な知識を問う問題が多く、思考力が試されるとしたら、選択肢が紛らわしい場合だけと言える入試です。例年、男子で8割、定員が少なく難度が高い女子では9割はほしいと書いていますが、今年に関しては、男子でも9割近くは必須だったものと思われます。このようなハイスコアでの勝負の場合、とにかく要求されるのが隙の無い、ムラをつぶす学習です。知識系の出題が多いので、各塾のそれらをまとめるテキストを反復して、全分野を固めておくことは必須となります。また、各種模試や試験でにおいては、正解率に留意した見直しを徹底することです。半分以上の受験生が正解するような問題に関しては、しっかりと頭の中に叩き込むつもりで確実に復習してください。また、例年もっとも差がつく生物系の雑学的な知識に関しては、普段から図鑑に慣れ親しんでおくことが重要になります。小学校の教科書や、塾の教材などのはみ出しマメ知識なども、生物系に関してのものは要チェックです。
 とにかく上位進学校と求める生徒像がまるで違うという事を、過去問の演習を通じて体感してほしいと思います。その上で慶應が求めるスマートさで、サラッと高得点が取れるようになることを目指しましょう。

渋谷教育学園幕張中

 近年、大問3題の年度が多かった同校ですが、2019年は大問4題、物理・化学・生物・地学の4分野から大問1題ずつの出題でした。
どの大問も素材文をよく読み、与えられた条件や数値から考えるというもので、予備知識はそう多く必要ありません。

今年

  1. 金属の伸びを実験によって調べる問題ですが、大問の大半はその時に使われる「コロ」の仕組みに関して。ここがクリアできないと、正しい計算をすることができません。
  2. 大問2 人の耳の仕組みと音の聞こえ方に関する問題。「標準純音聴力検査」という言葉を初めて聞いたという受験生が大半だと思われますが、問題文からその内容をしっかり読み取れるかどうかがポイントです。
  3. 水溶液の性質と中和に関する問題。「pH(ピーエイチ)」は聞いたことがあるという受験生も多いと思います。ここでもその仕組を文章から読み取り計算する必要があり、差がつくところです。
  4. 地層のかたむきに関する問題。A地点とB地点で与えられた条件から、問3のグラフを完成させることができれば、問4の答えも出ます。

対策

 どの大問も「知っていればできる」「覚えた知識でなんとかなる」が通じない、読解力と整理力を必要とする問題です。大問4題のうち最低2題は本文の完全理解ができないと、合格点に達しないと思われます。対策としては、ふだんの学習から「なぜそうなるのか」「根本的な仕組みはどうなっているのか」といったことを考えたり調べる習慣をつけること、過去問演習では渋谷教育学園の他に麻布中、武蔵中、栄光学園中といった「思考系」と呼ばれる学校の問題を解きこんでおくことが大切です。

聖光学園中

 入試問題を数十年にわたって眺めていると、どのような資質の子供達を欲しているかが見えてくる学校があります。そのような学校は、ポリシーが一貫していること、そしてそのポリシーに基づいての作問が出来る教師陣がそろっています。
 このような観点から聖光学園中学の入試問題を眺めてみると、「真面目に努力を続けられる子供」を欲していることが見えてきます。塾のテキストに載っている少しばかり難しい問題がそろっています。また、他の学校の近年の入試問題の中で、塾の直前対策に採用されるテーマが選ばれています。
 聖光学園の入学試験を受けている子供達は、どこかで習った問題だと感じながら解いているはずです。そのような問題で合格点を超える点数を取るために必要なことは、塾の授業を集中して聴きながら、大切な現象を覚えるだけではなくて、その原因や理由を含めて理解することです。このような「現象と原因」や「結果と理由」をパッケージとして記憶していく学習態度が大切だということになります。
 聖光学園の知識問題は、プロセスと一段一段積み上げながら高みに達するようなものではありません。知識を覚え、その現象が起こる原因をシンプルに論理的に理解しておくことで充分に正解できるものです。気をつけておきたい点は、塾のテキストや参考書の主立った説明部分だけではなくて、隅の囲みの中に書いてある小ネタにも注意を払っておくことと、小学校の教科書の「考えてみよう」の正解を知っておくことです。また、図鑑に親しんでおくことは大きなアドバンテージになります。
 一方、計算単元は、プロセスを一段一段積み上げて、最後の小問はかなりの難問になるように作られています。高校の化学や物理の先取り的な問題ではありませんから、小問の順に丁寧に解き進めることで対処できます。処理の途中をショートカットするような裏技の利用がやりにくい問題であることを知っておいてください。

今回

大問1は、牛などの反芻をする動物の消化器官。大問2は浅間山の麓の鬼押出の話。大問3は個体・液体・気体の状態変化を聞く問題。大問4は2つのはかりに渡された棒やおもりの釣り合いでした。大問1と2は、子供用の科学的な読み物や、学習図鑑に書かれているような内容でした。図鑑を読むのが大好きな子供は、苦もなく解けたと思います。でも、塾の教材でしか理科を勉強してこなかった子供は難問と感じたと思われます。
大問3は、文章を丁寧に読み、グラフの縦軸と横軸の意味を理解さえすれば、決して難問というわけではありません。要求されている知識は基本的なものです。
大問4が計算で解く問題でした。(1)の易しい問題から始まり、(9)の高度な問題までを順を追って考えるように作られています。ミスを防ぐために、与えられた図の中に棒の重さをおもりとして書き込んだり、支点からの長さを読みやすい数字で書き込んでいくような習慣が大切な問題だったと言えます。

対策

 各塾の暗記教材をそのまま覚えていくだけでは効果が見込めません。一問一答形式の問題を逆に使う方法が効果的です。例えば、「(問)双子葉なのに胚乳がある植物は?(答)カキ・オシロイバナ」は、「(問)カキやオシロイバナは、どんな特徴がある植物?(答)双子葉なのに胚乳がある植物」というように問題を言い換えてあげると効果的です。また、普段から塾のテキストや参考書を隅から隅まで見ておく(文字は読んでおく。絵や写真はコメントとともにしっかりと見ておく)必要があります。また、「スーパー理科事典(受験研究社)」のような、少し専門的ですが子供にも読めるように工夫されている学習辞典を、興味のある部分だけでも読んでおくことをおすすめします。
 物理や化学の計算単元で、超難問が出題されることはありません。塾テキストの応用レベルまでに限定されています。計算単元では、応用問題の半分以上は解いておくてください。そして仕上げとして、「中学受験 すらすら解ける魔法ワザ 理科・計算問題 辻義夫 (著), 西村則康 (監修)(実務教育出版)」をおすすめします。

栄光学園中

 1本のテストを通して、1テーマについてさまざまな角度から考えさせます。2019年度は石垣に関してです。実際の写真も掲載されている通り、何の変哲もない石垣ですが、こういった身の回りの何気ないものにも、その仕組には合理的な理由があり、その環境に適した生物が住み着く、といったことに思いを巡らせる生徒でいてほしいという学校の思いが伝わってくるようなテストです。

今年

 まず、石垣に生息する植物についてです。問1では石垣に生息している植物の「種類」についてのデータ読み取りです。個体数ではなく「種類」というところがポイント。問2・3ではすすきを題材に、その種子の数の概算、また石垣のような環境で生息する上での条件について考えます。

 問題中盤では石垣の石の種類による長所と短所、そして後半ではでこぼこの石となめらかな石をグラフをかくことによって比較させます。最後は、規則的に積み上げられた石垣にあけられた排水口がどのくらいの割合で設けられているかの計算です。

対策

 1テーマをとことん深く掘り下げて考えさせる、栄光学園の入試問題と類似の問題は、他校では見つけることができません。ですから対策は栄光学園の過去問演習が最も有効だといえます。グラフをかくなどの作業は、本質的な理解がなくても指示通りに行うことができるものもありますが「なぜこの作業をしたのか」を理解しながらでないと先には進めず、そのように進まないと問題に入り込めず、ミスも出やすくなります。ふだんの学習、日常目にするものを「なぜ」という視点で見る習慣をつけておくことが、長い目で見た入試対策、理系科目の学習の基本的素養になっていきます。

浅野中

 配点80点、試験時間40分、大問数4題。頻出分野は4分野から出題されています。浅野中の理科は、難度の高い試験です。しかも、浅野中学校の入試問題は、毎年、高得点勝負である上、栄光や聖光を受ける受験生も受験することを考えると、合格ラインを超えるのは簡単ではありません。
 生物分野では「動物、植物、人体」などの問題が多く、地学分野では「天体とその動き」からの出題が比較的多くなっています。また、理科の特徴の1つは、図やグラフに関連した問題が多く出題されるということです。入試問題を見ると、大半の問題に図やグラフ、絵や写真が添えられています。
 この点から、受験生に必要とされるのは、速度と精度です。これらの能力は知識とは違い、何度も練習することにより、身につくものです。ですので、志望者は早くから浅野受験を意識し、本番を想定した学習に取り組む必要があります。特に、浅野の場合、知識を回答するだけでなく、知識を活用し、思考力を発揮し、演習問題(文章や計算問題を含む)に向き合うことが求められます。早くから、演習問題に取り組むことが受験成功への鍵となります。
 同時に、多くの資料が出され、受験生はそれを解析し、理解し、回答する力が試されています。資料を読むには、読解力や知識を活用し、思考力を発揮し、処理する総合的な力が必要になります。限られた試験の中で、これを完了するには、日ごろからの学習や訓練が大切です。これを継続した受験生は短い時間で読み取り、回答まで出すことが可能となります。

今年

試験時間は40分で、得点は80点満点です。大問数は4問で、4つの分野から出題されています。設問数は44問で、1問当たり1分の割合で回答する必要があります。受験者は、これに加えて、幅広い知識、深い思考力、理解力が求められています。

  1. メダカ、種子植物、特に、モモ、イネの受精、栽培方法や種類など、それぞれのの特徴や名称が問われ、幅広い生物の理解を問う内容となっています。日ごろから、図鑑を見たり、ネット検索をして、写真や解剖図をみて、イメージが浮かべられるようにする必要があります。
  2. 鉄と砂鉄の違い、マグネシウムと銅の違い、マグネシウムに塩酸を加えたり、マグネシウムの加熱後の重さを調べたり、銅を加熱し、重さの変化を比較し、グラフで見せています。グラフをしっかり読み取り、迅速に計算に取り組み、回答することが求められています。
  3. 太陽系の惑星とそれを観察する望遠鏡や探査機に関する問題です。最古の生命の化石などの基礎知識、望遠鏡による実像の大きさ、つつの長さとの関係、対物レンズと接眼レンズの組み合わせ、星座、太陽―地球―火星の距離など、幅広い知識が問われています。出題を想定し、日ごろから、関連する写真や望遠鏡の仕組みを理解して置くことが大切です。
  4. レール状の斜面をいろいろな重さの球をはなす高さを変えて転がし、水平面で早さも計測する問題です。表とグラフを読み取り、速さや高さを回答する問題です。実験や体験を通して、イメージがしやすくしておくことが回答をしやすくすることにつながります。

 浅野中の答案作成においては、計算処理能力と資料分析能力を鍛えておく必要があります。例えば、計算能力であれば、大問2(6)~(10)、大問4(1)~(6)が正確に計算できるかが、到達すべき基準になります。同様に、資料分析能力であれば、【大問3】が迅速に回答出来るよう学習しておく必要があります。

対策

 浅野中の理科で点数をとるためには、図やグラフを使った問題に慣れておくことが必要です。また、大問4、小問44問に対し、試験時間が40分と、時間に余裕がないため、素早く正確に情報を読み取る力が重要です。時間を計って、過去問を解き、素早く情報を読み取る力を養っておきましょう。
 そのためには、基礎的な知識を早いうちに身に着け、演習問題を繰り返し解いて、確実に点数がとれるようになることが大切です。浅野中を志望する場合は、中学入試の理科でよく見られる問題を確実にしておくことを前提に、煩雑な計算を必要とする問題やひねった応用レベルの問題まで解けるようにしておくことが不可欠です。
 また、実験や観察の結果をもとに考えさせる問題がよく出題されるので、そうした問題を数多く解いて得点力を高めるための練習をしておくことが重要です。化学分野や物理分野の計算問題では、問題に与えられた理論や計算式をもとに計算させる問題がよく出題されるので、そのパターンの問題に充分に慣れておく必要があります。 暗記していれば解ける知識問題から解いていき、その後、思考問題や計算問題に手をつけ、解ける問題から速やかに解答してゆくことが重要です。

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