習い事

【中学受験】過去問についての3つの質問

目次

過去問についての3つの質問く4年生の2学期
5年生で過去問を解いてもいいの?
併願校の学問は何年分やればいい?

秋らしく高い空が心地よい季節になりました。

中秋の名月もまもなくですね。

10月に入り、6年生は過去問演習を始めたお子さんも多いと思います。

今日は、よくご質問いただく過去問演習についての疑問について、お話ししたいと思います。

過去問についての3つの質問

過去問演習について、よく下記のようなご質問をいただきます。

「過去問っていつからやればいいの?」
「まだ5年生だけど過去問を解いてもいい?」
「併願校の学問は何年分やればいい?」

というようなものです。

まず、過去問にいつから取り組めばいいかですが、過去問のスタート時期については、先生や塾によって方針が違います。

また、早ければ早いほど良いといったものではありません。

サピックスのように、早い塾では夏休み中から過去問を解き始めます。一方で過去問に取り組み始めるのが一番遅いと言われる日能研では、10月〜11月ぐらいから演習が始まります。

進路の早いサピックスのような塾では早い時期から過去問に取り組みますが、進度がゆっくりの日能研では、過去問への取り組み始めもやや遅い時期になるということですね。
早ければ良いというものではないと言いましたが、どうしても心配であれば(受験校の数によっては、「ちょっと急いだほうがいい」というケースもあります)自分の先生にもう取り組んでいいかを聞いてみてもいいと思います。

5年生で過去問を解いてもいいの?

まだ6年生でなくても過去問を解いてみたい、というご家庭があるかもしれません。
憧れの志望校の入試問題を一度経験しておきたい、そんなお声も聞くこともあります。

結論から言えば、5年生であっても6年生の早い時期であっても、一度第1志望校の過去問に触れておくことは悪いことではないと思っています。
(最新の年度のものは避けるようにしましょう)
ただ、意識しておいていただきたいのは、高い確率で点が取れないということです。

全範囲を勉強し終えた6年生でさえ、過去問を解き始めた時にはなかなか点が取れないということがよくあります。
つまり全範囲を学習し終えてない状態で過去問に取り組むと、やはり点数は伸びないことが多いです。

そのことをあらかじめお子さんに伝えてあげた上で、過去問に取り組むことをおすすめします。
早い時期に過去問に取り組む目的は「どれくらい難しい問題が出るのか」「それでは今の力で解ける問題はあるのか」などを体験できることだと考えるようにしましょう。

結果は様々だと思いますが、それでもチャレンジお子さんにとって、その挑戦が良いモチベーションに繋がるように取り組ませてあげたいですね。

併願校の学問は何年分やればいい??

一般には第一志望校の過去問は5年分、併願校の過去問は2〜3年分くらいをやればいいと言われています。
私もだいたいこの意見には賛成で、特殊な事情がなければ上記の年度ぐらいを演習しておけば良いと思います。

特殊な事情というのは、新設校などの場合です。
新設校はそもそも過去問が存在しなかったり、非常に少ないという事情があります。
また男子校や女子校から共学化した学校などでは、前身となる学校の過去問が全く参考にならないというケースがほとんどです。

科目別に考えると、社会科の問題の時事問題やデータは、数年で大きく変わることが多いのであまり過去に遡って問題をやると、そういった弊害が出てきます。
逆に麻布や灘の算数や理科などは、10年以上さかのぼってもいい練習になりますね。

複数回の入試を実施している学校では、お子さんが受ける可能性のある回の過去問を演習すれば良いと思います(もちろんその学校が第一志望で全ての回数を受験する、というのであればそれらを全て演習しておけばいいですね)

過去問の演習には、上記のように第一志望校を5年分、併願校を2〜3年分と考えると、思ったより時間と日数が必要になります。

最も避けたいのは、併願校であっても受験する学校の過去問を一度も解くことなく受験日を迎えることです。
これを避けるため、カレンダー上に「いつ、どの学校の何年度の過去問を演習するか」をプロットしていきましょう。

みなさんが過去問演習によって、入試の得点力を育んでいってくれることを祈っています。

【中学受験】秋、4年生のご家庭に意識していただきたいこと

目次

テキストもテストも難しくなっていく4年生の2学期
平常の勉強で気をつけていただきたいこと
「過去をふり返るテキスト」はありますか?

2学期になってひと月が過ぎようとしています。

今回は、4年生の学習についてお伝えしたいと思います。

テキストもテストも難しくなっていく4年生の2学期

算数に関しては、サピックスでは1学期に和差算やつるかめ算などを学習してきましたが、2学期も平均算や速さ・方陣算など、図形や小数・分数などを挟みながらさまざまな文章題についても学習していきます。

四谷大塚や日能研も、4年生後半はさまざまな文章題や速さの基本など受験算数の基本部分を学習していく内容になっています。

テストでも、前半の小問集合部分に正答率が低い問題が出されていたりと、これまでよりも失点を誘いやすい問題の作りになっていくのです。
この傾向は、学年が上がっていくにしたがって、より強くなっていきます。

国語に関しては、素材文の抽象度が上がってくるのが4年生後半の時期です。

例えば説明文では、これまでは読んで内容・事実が分かれば答えられる問題が多かったのに対し、事実と筆者の主張をしっかりと読み分けなければ答えられない問題などが多くなっていきます。

選択肢問題に関しても、これまでのように「本文の表現そのまま」から、微妙に言い回しを変えた表現の選択肢が多くなってくるなど、これまでよりもやや厳し目に消去法を使う必要に迫られます。

つまり、しっかり「授業で習った読解法」をテストで実践しなければ、高得点が取りにくい問題になってくるということです。

このように各科目、普段の授業、そしてテストの内容ともレベルが上がっていきます。

特に11月に行われるサピックスの実力診断サピックスオープンなどでは、点の取りにくさを意識させられることがあると思います。

平常の勉強で気をつけていただきたいこと

平常の学習で気をつけていただきたいことは、4年生の学習で手が回らない、やるべきことだと考えていることがやりきれないという状況に陥っているご家庭には、今一度「やるべきこととやらなくていいこと」を整理していただくことです。

例えば宿題を3回4回と繰り返させるご家庭があります。
4年生だと通塾も週に2回だけだし、なんとか回ると思います。

また「完璧にしたい」という気持ちはわからなくはないのですが、繰り返しは2回まででその範囲を理解するという方針にし、丁寧な学習を心がけた方が結果としてお子さんの頭に残っている知識の量は多くなるものです。

今の学年で忙殺されていては、5年生6年生になった時にさらに回らなくなることが目に見えています。

意識的に、今週やるべきことが終わったら「過去に習った単元の中で、復習したいものをやる時間」を確保する、というタイムスケジュールを組んでみることもおすすめです。

例えば週あたり塾以外に算数の学習をする時間が5時間あるとしたら、今週の範囲に費やす時間を4時間から4時間半程度として、その範囲内でできる学習を組み立ててみるのです。

週あたり30分から1時間、過去にやった内容を思い出す時間を作れば、実力テストの対策になります。
何をやるかは、過去のテストで気になった問題をストックしておくと、自ずと決まってくると思います。

正答率が高いにもかかわらず間違った、直しでは理解をしたけれども時間が経つと解けるかどうか不安がある、そういった問題に付箋をつけるなどしてストックしておけば、それらをコツコツやり直すだけですね。

「過去をふり返るテキスト」はありますか?

サピックスではこのような作業の代わりになる教材として「基礎力トレーニング」が与えられています。
過去に習ったことを思い出しながら、今週の内容とは違ったものを基礎からやり直す、という目的で毎日取り組む教材ですね。

このような教材がない塾にお通いの場合は、上記のテストを使った学習でもいいですし、市販の問題集の中から使いやすそうなものをピックアップしてもいいと思います。

問題集を選ぶ時の視点ですが「解説が充実しているもの」がいいと思います。
具体的には、問題と解説のボリュームが同じくらいあるものだと、ご家庭でも使いやすいと思います。

書店でお子さんと一緒に問題集を広げてみて、お子さんが「これなら分かりそう」と感じるものを選んでもいいでしょう。

もちろん塾のテキストをさかのぼってもいいのですが、塾のテキストの解答は先生が解説することを前提として作られているため、自学自習で使うにはちょっと物足りないものになっていることが多いのです。

あまりテキストばかりを増やしてしまうのも考えものですが、時には塾以外の問題集などで活用できるものがないか、検討してみるのも特に4年生のご家庭にとっては役立つことがあるのではないかと思います。

もちろん名門指導会では、そのあたりのご相談にもお答えしておりますので、外部の手を借りたいという場合はお声かけいただければと思います。

【中学受験】最重要単元を学習する5年生の秋

目次

比を具体的に使いこなす訓練をするサピックスの5年生
これから比と割合の理解を深める日能研の5年生
比を使わなければ不利になるのが5年生の後半以降

9月も下旬に差しかかりました。

6年生はいよいよ志望校別の特訓授業も始まり、本格的な志望校対策の時期に入っていきますね。

比を具体的に使いこなす訓練をするサピックスの5年生

他の学年も年度の後半に入ると、各教科の学習単元が佳境に入っていきます。

たとえばサピックスの5年生が9月〜12月に習う算数の単元は、下記のようになっています。

510-20 総合(16~19)
510-21 図形の移動
510-22 旅人算(3)
510-23 時計算
510-24 仕事算
510-25 総合(21~24)
510-26 比と図形(1)
510-27 比と図形(2)
510-28 流水算
510-29 通過算
510-30 総合(26~29)
510-31 和と差に関する問題
510-32 倍数算
510-33 相当算
510-34 立体図形(3)

おおまかな内容としては、文章題と図形を中心としたカリキュラムですね。

夏に習った「比」の考え方を、さまざまな文章題や図形の問題で具体的に活用していくという内容です。

「比と図形」という単元が10月に2回ありますね。
そして旅人算や仕事算、そしてもちろん倍数算や相当算などの文章題にも、どんどん割合と比の考え方を使います。

つまり、夏休みに算数で「割合と比」を正しく身につけたかどうかが、9月〜12月の勉強に大きく影響を与えるのです。

これから比と割合の理解を深める日能研の5年生

一方、やや進度がゆっくりと言われる日能研はどうでしょう。

順列・組み合わせ
場合分けと調査
周期と余り・等差数列
比例・反比例
比の意味と操作①
比の意味と操作②
文章題と比
濃度
底辺比と面積比
相似比と面積比
速さと単位
進行グラフに整理する
旅人算
通過算・時計算
図形上の点の移動
立体図形の性質と体積・表面積
立体図形の切断

サピックスよりやや遅れていますが、大まかには「割合と比の考え方を身につける」「速さの概念を理解する」ということが大きなテーマであることがわかります。

比を使わなければ不利になるのが5年生の後半以降

同じ文章題でも、比の考え方を使う、使わないでは大きく考え方、解き方が変わります。

同じ文章題などでも、これまでは小数や分数の計算を多用して答えを出す必要がありました(それが当たり前でしたね)。
しかし比を使うと、これまで「和」や「差」で考えていた問題がぐんとシンプルになり、計算も整数でできるようになります。

計算の正確性の面でも、解くのにかかる時間の面でも、あらゆる面でアドバンテージになります。
逆に使えないと、大きく不利になるのは明らかですね。

つまり算数において、比の考え方を使いこなすことは「マスト」です。

だからサピックスでも日能研でも(もちろん四谷大塚や早稲田アカデミーでも)5〜6回もの授業回数を費やして、比の学習をするのです。

5年生はそのことをしっかり意識して、2学期を乗り切りたいですね。

【中学受験】6年生が9月からやるべきこと

目次

6年生は模試+問題演習の毎日
模試は結果を見るだけのものではない
算数・理科 そして模試の結果分析について

新学期が始まり、二週間がたとうとしています。

夏期講習が終わり、学校と塾のある生活に慣れてきたでしょうか。

各学年、年の後半は学習内容やテストの難度も若干レベルアップしたものになっていきます。

特に6年生の皆さんは、9月以降「四谷大塚/合不合判定テスト」「SAPIX/合格力判定サピックスオープン」「日能研/合格判定テスト」「首都圏模試/合判模試」「早稲田アカデミー/NN合格判定模試」などなど、一気に志望校判定模試が目白押しになりますね。

6年生は模試+問題演習の毎日?

ここからは毎月のように模試を受け、自分の実力と志望校の位置を照らし合わせながら、本番へ向けて様々な調整を行っていくことになります。

そして、模試だけではなく、9月からは授業でもSS(サンデーサピックス)特訓や、後期日特、本格的な過去問演習が始まり、学習サイクルも8月までとはガラリと変わります。

簡単に言えば、8月いっぱいまでの

学習→演習→定期的なテストで現状確認

というサイクルから、

9月以降は

定期的なテスト(模試)で現状確認→弱点を把握し学習し直す→演習

という順序に変わるのです。

模試は結果を見るだけのものではない

模試はいうまでもなく点数や偏差値に一喜一憂するためのものではありません。

模試は「まだ抜けている部分·弱い部分」をあぶりだし、その不足を補い、強化するための重要な情報源です。

結果に喜んだり落ち込んだり騒いだりするだけでは意味がありませんし、

「国語がまだいまいちだなぁ。もう少しがんばらないと」

などと適当な感想を持つだけでは何も変わりません。

大切なのは、各科目でどの分野がまだ抜けているのか、弱いのか、細かく丁寧に分析することです。

たとえば

「物語文は毎回8割を超えているけれど、論説文は平均点に届いていない。特に要旨をまとめるタイプの問題が弱いな」

となれば、

論説文の読み方·解き方がそもそも身についているか確認しましょう。

読む際は何に注目し、どこに線を引いたりチェックを入れたりしながら読むのか。

解く際、特に要旨をまとめる問題では、本文のどういう部分を重視して、どのようにまとめるのか。

「自分の言葉で」「文中の言葉を使って」などの指示は守れているのか。

「60字程度で」と言われたら何字から何字程度が許容範囲か。

などなど······。

読み方·解法·ルール·表記の知識などがしっかり身についているか確かめ、抜けがあれば補い、次回は確実にアウトプットできるよう演習しておきます。

算数・理科 そして模試の結果分析について

理系科目についても同様です。

算数では、間違った問題については「何がわからなかったから(忘れていたから)この問題ができなかったのか」を常に考えるようにしましょう。
また正解した問題についても同様に「何が分かっていたからこの問題の正しい答えを出すことができたのか」を考えることが大切です。

理科では「一問一答」の質問には答えられても、模試で結果を出せないというお子さんが一定数います。一問一答の質問に答えられるだけでなく、答えを見てそれが何かを説明できるかなど、いろいろな視点で知識をチェックしておくことが重要です。

模試の結果を分析する際はなるべく、そのデータを客観的に読み取り、的確に分析することが出来る第三者の力を借りましょう。

できれば長年中学受験指導にあたっている塾の先生や家庭教師、中学受験の専門家に見てもらい、残された時間の中で、あなたの場合はどの部分を、どのレベルから、どのように学習·演習し直すべきかアドバイスを受けてください。

ここから本番までの5ヶ月間は、残された時間の使い方も重要になってきます。

今月から始まる志望校模試を十分活用した上で必要な部分にスポットを当て、最も効率的と思える学習を選択・実行していきましょう。

【中学受験】9月は『黄金の合格曲線』の入り口 〜11月から成績を上げるために〜

目次

6年生の9月は学習量を減らす時期?
8月末のテストが悪かった人へ
不安を取り除くためには、苦手分野の克服を!
「黄金の合格曲線」を描こう

夏休みもいよいよ終盤ですね。

暑さもようやく一段落、とまではいきませんが、朝夕は少ししのぎやすくなってきました。

夏バテや夏風邪に気をつけながら、夏休みを最後まで無事に乗り切りましょうね。

6年生の9月は学習量を減らす時期?

さて、夏の終わりは、誰もが焦りがちな時期です。

「夏休み、あれもこれも出来なかった」
「友達の◯◯さんは1日△時間勉強したらしい」
「必死にがんばったけれど、力がついている気がしない」

などと気持ちが落ち着かない人も多いことと思いますが、何より今は体調を整えておくことを第一に考えましょう。

中学受験生の皆さんは、夏休み中も、学校がある時と同じように早寝早起きを心がけていたと思います。

それでも、毎日の学校と塾通いという二重生活が久しぶりに再開すると、やはり夏の疲れがドッと出てくるものです。

また、学校によっては9月・10月に運動会や学芸会、その練習もありますね。

ですから後期が始まるこのタイミングは、焦っていきなり勉強量を増やすより、むしろ少し減らすくらいの気持ちで、睡眠時間をしっかり確保するのが得策です。

学校行事や無理なペースアップで息切れしたり、冬を迎える前に力尽きてしまい、ラストスパートに全力で臨めなくなったりしては元も子もありません。

勉強のペースはまず体調を整えてから戻し、そして徐々に上げていくぞ!と割り切りましょう。

そこからしっかりと成績を上げ、受験本番にピークをもっていけるのが理想的です。

8月末のテストが悪かった人へ

夏の終わりの模試で思い通りの結果が出なかった場合も、

「夏の努力が実らなかった」
「やり方を間違った、無意味だった」

とすぐに決めつけるのは早計です。

夏の間に全く勉強をせずダラダラ過ごしてしまったならば話は別ですが、そういうことでなければ、原因は次のようなことも考えられます。

・生活の乱れ(朝型に戻せていないなど)
・アウトプットできるほどには、夏に仕入れた新たな知識や技術を整理・定着しきれていない

知識や技術(解き方)は詰め込むだけ詰め込んでも、それを自分のものとしてテストで使えるくらいまで整理・定着できなければ、結果(得点・成績アップなど)として表れてきません。

皆さんが積み重ねてきた夏休みの頑張りは、これらをきちんと整理整頓し、演習を重ねてしっかり定着させることが出来た時から、必ず嬉しい結果として成績に表れ始めます。

どうか、ここで慌てふためき、メンタルもペースもガタガタに……というようなことにならないように気をつけてくださいね。

不安を取り除くためには、苦手分野の克服を!

夏が終わることへの緊張や憂うつ、結果がついてきていないことへの不安、周りと自分を比較せずにはいられない焦燥感など、この時期特有の焦りや不安を取り除くには、苦手分野の克服が一番です。

先ほどお伝えした、(夏に仕入れた)知識・技術の演習・定着とともに、各教科の不安が残るジャンルをきちんと洗い出し、対策しておきましょう。

実戦演習はこの先いくらでもやれます。

というか、ここから先は授業も模試も家庭学習も実戦演習一色になりますから、苦手に取り組めるのは、今が最後のタイミングなのです。

苦手分野の克服は地味な作業ですし、「苦手」なのですからもちろん苦しいです。

さらに、それが直近の模試に必ず出るわけではないので、すぐに飛躍的な成長を感じられることもありません。

けれど、ここから本番までの実践演習で毎回後悔しないためにも、ぜひ不安を残したまま秋を終えることがないように、遅くても11月までにはやり切りましょう。

「黄金の合格曲線」を描こう

これから2ヶ月ほどの期間に大切なことは、9月、10月と一時的に成績が停滞したり、あるいは下がったりしても焦らないことです。

忍耐が必要なしんどい時期ですが、ここでふんばり、しっかり自分に必要な学習をやり切れたら、そこから成績は徐々に上がっていきます。

そして、学力も体力も気力も、本番にピークを持っていけたらベストなのです。

これを私は「黄金の合格曲線」と呼んでいます。

ぜひこの曲線を目指して、今の時期を必要な停滞期と受け止め、モチベーションを保ってください。

そして、最後の1カ月には得意な分野をさらに伸ばし、得点力に磨きをかけると同時に、体力も、気力・モチベーションもMAXに持っていきましょう。

大丈夫、あなたなら出来ます。

私はこれまで最後の数ヶ月や、直前1ヶ月でグングン伸びていく子を何人も見てきました。

「わたしなら、ぼくなら出来る!」

皆さんがそう自分自身を信じてやり抜き、晴れ晴れとした気持ちで春を迎えられることを、私も信じています。

最後まで一緒にがんばっていきましょう。

【中学受験】夏休み終盤は、時事問題の準備に取り組もう!

目次

前年〜これまでに起きた主要なニュースを振り返っておく
2026年入試で出されるのは今年の9月まで
今は「何が起こっているか」を知っておくことが大切

夏休みもいよいよ終盤ですね。

さて、中学受験の社会科において、今や定番である時事問題。

近年は筑駒、開成、渋渋などをはじめ多くの学校でますますその比重が大きくなっており、ひと昔前のようにオマケ問題的に扱う学校の方が少ないと言っても過言ではありません。

また、2019年度麻布中学校の社会科で全問を通して“東京オリンピック”をテーマにした内容が扱われたように、大問一つ~ニつ丸ごと時事問題であったり、全問を通してひとつの時事テーマをからめて考えさせたりするスタイルもよく見かけるようになりました。

それぞれの学校が扱う時事問題のテーマやその比重には、各学校が今社会で起こっているどんな問題に注目しており、何を大切に考えているか、どんな素質を持つ生徒を招き入れたいと考えているかが如実に表れています。

中には対策の仕方が分からないと不安に思っている人も多いようですが、ぜひ夏休みのうちに気になっている学校の過去問をチェックして、その比重や、扱うテーマの傾向などを確かめてみてくださいね。

前年〜これまでに起きた主要なニュースを振り返っておく

過去の出題傾向から時事問題対策が必須であると思われる場合は、基本的な対策として、まず、前年〜これまでに起きた主要なニュースを振り返ってみましょう。

何が起きたか(起きているか)をよく理解し、分からない言葉や引っかかることがあれば調べておきます。
 

そして、それが起きた背景や、それがもたらす影響についてもよく調べ、考えてみてください。

お家の人に意見や感想を聞いてみるのも理解を深めるのに役立ちますよ。

できることなら、内容を簡単にまとめた上で、そこから得た考察や自分なりの考え、解決策も一緒に書いておくと、頭の整理になるうえ、記述問題の練習にもなるのでおすすめです。

毎日やるのは難しくても、週に一度など、タイミングを決めて続けてみることで、ニュースを確認する習慣や、考える癖が育っていきますよ。

2026年入試で出されるのは今年の9月まで

作問の都合上、出題される時事ネタは毎年、前年の9月頃までのニュースがほとんどで、秋の終わり~入試直前のニュースは基本的に扱われません。

ですから、夏休み後半は本格的な時事問題対策を行う準備段階として、それまでの重大ニュースを振り返るのに最適なタイミングなのです。

今年は現時点までだけでも重要なニュースがたくさんあったので、全く知らない・分からない話題がないように、ぜひ今のうちに一通り確認しておいてくださいね。

特に、

・大阪、関西万博、夢洲
・国連設立80年
・阪神淡路大震災から30年
・昭和100年
・2026年冬季五輪、パラ大会
・南海トラフ地震
・超高齢社会、団塊の世代、後期高齢者
・社会保障制度
・EUの生成AI規制法
・最低賃金
・備蓄米、減反、令和の米騒動
・合計特殊出生率、出生数
・九州豪雨
・冤罪
・東京都議選
・SDGs
・ジェンダー、LGBTQ+、東京プライド
・北大西洋条約機構(NATO)
・種子島宇宙センター、みちびき6号
・第二次トランプ政権
・米ロサンゼルス山火事
・イスラエルとイランが交戦、原油価格、核開発
・ガザ

辺りのキーワードは中学受験の歴史や地理、公民にからめて出題しやすい話題なので要チェックです。

※2025年は昭和元年(1926年)から100年目であり、もし昭和が続いていれば昭和100年を迎える年であることから「昭和100年」とも呼ばれます。
昭和時代の重大ニュースもよく確認しておきましょう。

※南海トラフ地震に関しては、火山の噴火や津波被害も懸念されているため、海や川の位置や地形などの地理的な知識、(海岸線の長さと津波被害の大きさの関連性など)データの読み取り・分析力が求められることも予想されます。

また、二次性徴が男子よりやや早く訪れるという理由もあり、特に女子校では性別に関するテーマが扱われやすい傾向があります。

女子校志望の皆さんは、近年問題になっているトランスジェンダー選手のスポーツ参加を巡る議論、選択的夫婦別姓制度の導入を巡る議論、女性の社会進出に関するニュースなどについても、よく振り返っておくと良いでしょう。

今は「何が起こっているか」を知っておくことが大切

問題をあれこれ解くのは、秋になって大手塾出版の問題集が出揃ってからで構いません。

今はこれらのニュースについて、とにかくよく知っておくことが大切です。

記事を読んでよく内容を理解し、様々な意見をチェックするのはもちろん、関連する歴史や地理、公民の知識なども合わせて確かめておくことでさらに理解が深まります。

前述の通り、自分なりの考えや意見、解決策を書き出したり、お家の方や家庭教師、塾の社会科の先生とそれらについて話したりしておくことができるといっそう効果的ですよ。

これらの作業は手間がかかり効果も見えにくいですが、時事問題対策の下準備としては非常に有効で、読解力や表現力・記述力を磨く国語の鍛錬にも直結します。

そしてなにより、社会をより深く知り、自分なりの明確な意見を持つことは、あなた自身を一回り成長させ、大きな自信を与えてくれるでしょう。

ぜひ8月後半は時事問題対策の準備に取り組み、夏前とは一味違うあなたで新学期を迎えてくださいね。

【中学受験】夏休みのダラダラを撃退するには?

目次

<ダラダラ撃退①>ルーティンを作る
<ダラダラ撃退②>睡眠時間の確保
<ダラダラ撃退③>自分なりの勉強スイッチを作る
<ダラダラ撃退④>計画を随時(ずいじ)見直す
各学年のお子さん、親御さんへのメッセージ

夏休みが始まり早10日間。

中学受験生の皆さんは、夏期講習などで炎天下を移動することも多い時期ですね。

連日焼け付くような暑さが続いているので、水分をこまめにとって、熱中症や体調不良には十分気をつけていきましょう。

さて、受験の天王山とも呼ばれる夏休みですが、スタートから今日までを振り返り、「有意義な日々を過ごせた」と自信を持って言える人はどれくらいいるでしょうか。

夏休みに入ったことで突然毎日のリズムが変わり、ついつい夜更かししてしまっている人も、日中の時間をうまく使えていない人も多いのではないでしょうか。

そこで今日は、夏休みのダラダラを撃退する秘訣をお話ししたいと思います。

<ダラダラ撃退①>ルーティンを作る

まず受験生の皆さんに振り返ってみて欲しいのは、毎日の寝る時間、起きる時間です。

夏休みに突入して以来、いつもバラバラになったり、夜型の勉強で遅い時間の就寝になったりしてはいませんか?

夏休みの中だるみを撃退する秘訣の一つが、【ルーティンを作る】ことです。

そろそろ夏休みの生活リズムも分かってきた頃だと思うので、塾がない日も含めて、できるだけいつも同じ時間に起き、いつも同じ時間に布団に入るように計画を立ててみましょう。

それだけでも日々にリズムが生まれ、身体も心も安定していきます。

<ダラダラ撃退②>睡眠時間の確保

次に大切なのが【睡眠時間の確保】です。

睡眠時間を削って深夜まで勉強することは、大学受験ならまだしも、中学受験生の皆さんには決しておすすめ出来ません。

夏休みは長距離走ですから、そのような日々を続けていたら前半でバテてしまいますし、年齢的に皆さんは今、受験生であると同時に大切な成長期の真っ只中であることも忘れないようにしましょう。

具体的な時間は人によりけりですが、かの大谷選手も普段から最低8時間、試合前は10時間程度眠るようにしているそうです。

(受験生の睡眠時間について詳しく知りたい方はこちらも参考にしてみてくださいね)

良い睡眠がとれれば、眠っている間に脳内を整理したり、心や身体をきちんと休ませることができます。

翌日のパフォーマンスも変わってくるので、夏休み中はぜひ「睡眠時間の確保」をいつも以上に意識してみてくださいね。

<ダラダラ撃退③>自分なりの勉強スイッチを作る

次におすすめしたいのが、【自分なりの勉強スイッチ】を作ることです。

はりきって学習計画を立てても、なかなかうまくいかない日もありますよね。

弟や妹がさわいでいて集中できない、先生や親がいないので緊張感が保てないなど、環境的に勉強に向かう気持ちが作りにくいと感じている人もいるかもしれません。

そのような場合はお家の方に環境を整えるための相談をしてみることももちろんですが、まずすぐに出来ることとして、毎回勉強をスタートする際に、自分なりの「スイッチ」を入れることを考えてみましょう。

たとえば、

・決まったコップに麦茶などを注ぎ、それを持って勉強するスペースに行く
・目を閉じて深呼吸をする、もしくは瞑想をする
・やる気を出してくれる決まった曲を聴く

などです。

スケートの羽生結弦選手は、試合前に和田光司さんの「風 ~re-fly ver.」という曲を聴いたり、リンクに入る前に身を屈めて氷に触れたりするなどのルーティンを行っているのが有名ですよね。

自分なりに決めた簡単なルーティン作業を行うことで、周囲の雑音やネガティブなイメージから離れることができ、目の前のことに集中しやすくなります。

勉強する場所も基本的には固定するのがおすすめです。

決まったところで学習するように習慣づけると、そこへ行くと「さぁ始めるぞ」と気持ちが切り替えられるようになるので、ぜひ試してみてくださいね。

<ダラダラ撃退④>計画を随時(ずいじ)見直す

そして最後は、【計画を随時(ずいじ)見直す】ことです。

夏休み前に立てた計画や、途中で作り直した計画を、必ずしも最後まで意地を張って貫かなくて良いのです。

むしろ、寝る時間、起きる時間、どの勉強をどのタイミングでやるかなど、自分にとってより良い時間や、やり方や見つかれば、どんどんそれを組み入れて変更していきましょう!

ギュウギュウの計画は心も身体も疲弊してしまいますから、無理のない計画を立て、空白の時間もあえて入れておくのがおすすめですよ。

各学年のお子さん、親御さんへのメッセージ

以上、今回は夏休みのダラダラを撃退するポイントをお伝えしましたが、ここで中学受験生の皆さんと保護者の皆さんに、私からひとことメッセージをお送りします。

●4・5年生の皆さんへ

毎日暑い中、皆さん一人一人自分なりにがんばっていることと思います。
夏期講習に通っている人は、その日塾で勉強したことについて、ぜひ毎日お家の人に話してみてください。

話すことで自分が学んだことが整理されたり、実はよく判っていなかった部分が浮き彫りになったりします。
何から何まで全て伝えなくても大丈夫ですから、そのような習慣をぜひ作ってみてくださいね。

自分の成長やがんばりも実感できるので、そのうちに、毎日お家の方にその日のことを報告するのが楽しみになり、やる気も増すと思いますよ。

●4・5年生の保護者の皆さんへ

お子さんの話をぜひゆっくりと聞いてあげてくださいね。
そして、お子さんが身につけられたこと、チャレンジできたこと、その日お子さんなりに頑張れた事を見つけ、ぜひたくさん褒めてあげてください。
そして、チェックテストなどの点数だけでなく、学習プロセスに目を向けて欲しいと思います。

また、お子さんが日々無理をしていないかも、毎日の会話の内容や、報告してくれる時の様子からチェックしてあげてくださいね。

●6年生の皆さんへ

毎日暑い中、それぞれの夢や目標に向けて精一杯がんばっていることと思います。
目の前の課題の多さにうんざりしたり、目標が遠く感じてくじけてしまったりすることもあるかもしれません。

大切なのはいつもと同じく、もう少しで出来そうなものを、まずきちんと、確実に得点できるものに変えて行くことです。
今向き合っているその問題に、この先あと何回取り組めるか判りません。
授業にも、プリントやテストにも、全て受験当日だと思って真剣に取り組みましょう。

そして、やりっ放しにせず、解き直しをきちんとすることです。
繰り返しになりますが、全てやらなくて良いのです。

しっかり取捨選択をして、得点力を確実にアップする夏にしましょうね。

6年生の保護者の皆さんへ

本番が刻々と近づく中で、親御さんも不安になったり焦ったりすることがあるかもしれません。
そんな時はぜひ、皆様方が誰よりも、お子さんを鼓舞することができる応援団長であることを思い出してください。

たとえ成績が今一歩届かなくても、この時点で志望校の変更をする必要はありません。

お子さんを信じ、この夏からのがんばり次第で何とでもなると(もちろんご自身もそれを本気で信じて)、ぜひ明るく声がけしてあげてくださいね。

皆さんが心も身体も元気に充実した夏休みを送り、幸せな中学受験を経験できるように、心から応援しています。

【中学受験】この夏、学習への取り組み方を見直してみよう

目次

現状の確認と兆候
学習効果を高めるための対策
「分かる」ことを重視した学習を

暑い夏、塾の夏期講習学校の宿題、塾の課題など、お子さんたちは忙しい毎日を過ごしているかと思います。

特に、まだ受験まで時間がある5年生までのお子さんは、忙しいあまりに学習が雑になったり、投げやりになったりすることもあるでしょう。

今回は、お子さんが宿題や勉強を面倒くさがったり、投げやりになっている場合の対処法について考えてみます。

現状の確認と兆候

子どもの集中力には波があるのは普通ですが、全体的に投げやりだったり雑な学習になっていないか、特に長い夏休みには確認が必要です。

投げやりな学習は、学習効果が半減、あるいはそれ以下にまで落ちてしまう可能性があります。

お子さんが学習に対して投げやりになっている具体的な兆候として、以下が挙げられます

・数字や文字が乱雑で殴り書きになっている

・式や図が書かれていない、または不完全である

・問題文をきちんと読まず、すぐに「分からない」と言う

・計算問題の答えを丸写しにしている
(特に朝学習などで親の目が行き届かない場合)

・当日解けた問題が、翌日や1週間後には解けなくなっている
(問題の解き方の手順だけを覚えていたり、印象に残っているだけで、根本的な理解が伴っていないため)

学習効果を高めるための対策

まず、学習の目的を意識させる環境作りが大切です。

「何のためにこの勉強をしているのか」を子ども自身が意識できるよう、声かけやきっかけ作りが必要です。

また、適切な課題量の調整と取り組ませ方にも工夫してみましょう。

子どもは、目の前に大量の課題が出されるとやる気をなくします。

「ちょっと頑張ればできそう」と感じる量が、最も子どものやる気を引き出します。多すぎても少なすぎても良くありません。

つまり、課題を「小出しにする」ことが非常に有効なのです。

例えば「これを30分でやってみようか」と具体的な短い時間で区切って提示します。

一方で子どもたちは、勉強したくないと思いながらも「勉強しなければならない」という義務感を持っています。

親から見てあまり集中していなくても、子どもなりに頑張っていることが多いので、その努力を認め、「頑張ってるね」と承認してあげることが重要です。

「勉強しなければいけないと分かっているのは偉い」と伝えることで、子どもの学習への義務感を肯定してあげることも大切です。

「分かる」ことを重視した学習を

「分からなくても繰り返せばそのうち分かる」という学習方法は、子どもの学習意欲をなくします。

「終わらせる」ことよりも「分かる」ことを重視させましょう。

その意味で、子どもに学習内容を「説明してもらう」ことが、理解度を確認する上で非常に効果的です。

子供の説明がたどたどしくても、「なるほど」「そうね」など同意の言葉で応じ、根気強く耳を傾けることが大切です。上手に説明できるようになるにつれて、勉強量が増えなくても成績は向上する傾向があります。

親としては改善効果がすぐに現れないように感じても、粘り強く続ける忍耐力が必要です。

夏期講習があるとはいっても、普段に比べると家で過ごす時間が長くなる夏休み。

ぜひお子さんと、効果的な学習について上記のことを試してみてください。

成果の出る夏になることを願っています。

【中学受験】夏こそ取り組みたい、漢字学習の効果的なやり方は?

目次

効果がない漢字学習のやり方
漢字をしっかり定着させるのに有効なやり方
おすすめ教材の一例

不安定な気候が続いていますが、中学受験生の皆さんは夏風邪をひいたりせず元気に過ごしていますか?

西日本は梅雨明けから真夏並みの気温にさらされており、ジメジメと梅雨前線が停滞する東日本はカンカン照りとゲリラ豪雨を繰り返す毎日です。
中学受験生の皆さんは、「まだ夏本番ではないから」と油断をせず、意識して水分やミネラル、適度な休息を取って過ごしてくださいね。

さて、皆さんもご存知の通り、中学受験界隈において、夏休みは「受験の天王山」と呼ばれています。
そして、以前もお伝えしたように夏休み前の6.7月こそが、それを万全な状態で迎えるための大切な準備期間です。

特に大手中学受験塾に通っている場合、夏休みの過密スケジュールの中で自分が自由に使える時間は案外少ないですから、夏休みに過度な期待をして学習を先送りしたり積み残ししたりしないように気をつけましょう。

特に理科・社会の暗記事項や国語の漢字・語句など、コツコツ身に付けなければならない知識分野はできるだけ今のうちから少しずつ手をつけ、可能であれば夏休み前に一巡しておくのが理想的です。

そこで今回は、そのような知識分野の中でも、特によく相談が寄せられる「漢字の学習方法」についてお話しします。
もしも皆さんの中にも、「漢字が上手く覚えられない」「必要なタイミングでは覚えられるけれど、その後すぐ忘れてしまう」という悩みを抱えている人がいたら、ぜひ以下のような覚え方をしていないか確かめてみてくださいね。

効果がない漢字学習のやり方

×知らない漢字や熟語の意味を確認せず、ひたすら何度も書く。

×答えが隠れる赤シート等が付いた問題集や単語帳で覚える(目だけで覚える)。

×漢字の問題集を解き終えたら、すぐまた別の問題集に取り掛かる、という具合に何冊も解く(同じ問題集を一度しか解かない)。

×テスト直前に覚え、テストで間違えてもそのままにする。

これらはどれもその場しのぎのやり方です。
漢字を定着させる工程が踏まれていないので上手く覚えられず、覚えたようでもすぐに忘れてしまうのです。

もし上記のやり方に心当たりがあった皆さんは、今日からぜひこのようなやり方に切り替えてみてくださいね。

漢字をしっかり定着させるのに有効なやり方

◯漢字、熟語の意味を理解しながら覚える。

◯間違えたものは必ず直しを行い、手を動かして(書いて)反復する。

◯自分だけの間違いノートを作り、テストや授業でミスが発生するごとに更新する。

◯(漢字学習に)できるだけ毎日取り組む。

漢字を学習する際、意味もわからず書きまくるだけでは記憶に残りません。

英文を覚えるときに単語・言葉の意味や文法、和訳、を理解している方が覚えやすいのと同じで、漢字・熟語も部首や成り立ち、意味を理解している方が覚えやすく、きちんと定着させることができます。

また、答えが隠れる赤シートや単語帳を用いた「目」だけの学習は、やった気にはなるものの、あまり効果はありません。

特に、読みの暗記は出来ても、なかなか書けるようにはならず、いざテストに書き取りの問題が出ても、トメハネの記憶が曖昧であったり、送り仮名を間違えたりしがちになってしまいます。

ですから、これらのやり方は通塾のスキマ時間などに補助的に用いるのは良いのですが、基本的には漢字は書いて覚える=身体で覚える、ということを、よく覚えておいてください。

そして、漢字学習の際、問題集を1度解いただけで終わりにして、次々と新しいものを解くやり方はおすすめできません。

漢字は「完璧に」覚えなければならないので(記述と違い、トメハネや送り仮名など、ミスが一つでもあれば得点にならないので)、そのやり方では、どんなに素晴らしい問題集も効果を最大限に活かすことができないのです。

まずはこれと決めた1冊にとことん向き合い、その1冊が完璧に仕上がったら、さらに難度の高い問題集に取り組む、という進め方をする方が、ずっと効果的ですよ。

漢字は「急がば回れ」です。

面倒で回り道のようでも、漢字や熟語の意味をきちんと調べてよく理解し、「目」だけではなく、実際に「手」を動かす演習を繰り返してみてください。
毎週のテストでも、効果は抜群のはずです。

そして、それでもテストで間違ってしまったときは必ず間違い直しをしましょう。
ミスしたものは漢字そのものだけではなく、問題文や例文とともにきちんとノートに記録し、万が一再度その漢字を間違えた場合にはそこに印をつけていきます。

そうすることで、自分が間違えやすい漢字や、そのタイプが判ってきますよ。(例えば「保証・保障・補償」のような〈同音異義語〉や、「秋刀魚」「心太」のように簡単だけれど間違えやすいものなど)

朝食前の5分間でも十分なので、この時期から毎日取り組めると良いですね。

おすすめ教材の一例

6年生で漢字が苦手な場合は『漢字マスター1095題 6年』(日能研)、基礎が身についている場合は『中学入試 でる順過去問 漢字 合格への2606問』(旺文社)などが取り組みやすいです。

参考書としては、小学校で習うすべての漢字が学年別に収録されている『SAPIXの漢字学習字典 SAPI漢』(サピックス)も良いと思います。
イラスト付きで、漢字学習が楽しくなる知識も紹介されているので4年生でも使えます。
サピックスの校舎だけでなく、ネットや書店などでも購入できますよ。

小学漢字 1026字の正しい書き方』(旺文社)はポケットサイズで持ち歩きやすく、書き順が一画ずつ示されている上、熟語も豊富です。
すべての漢字に添えられた、文字の成り立ちに関するコラムも、漢字の理解に大変重宝します。

漢字学習は読み書きだけでなく、熟語・対義語・類義語などの知識や語彙力のアップ、ひいては国語力そのものの底上げに繋がります。

夏休みまでに終えておくと特にメリットが大きい知識学習の一つであり、心の余裕と自信にも繋がるので、ぜひトライしてみてくださいね。

中学受験生の皆さんが心も身体も元気に充実した夏を過ごし、コツコツ取り組んだ暁には大きな結果がついてくることの楽しさ・喜びを体感できるように願っています。

【中学受験】過去問はいつから?取り組む際のポイントは?

目次

過去問演習の時期、やり方に正解はあるの?
過去問演習に関する4つのポイント
過去問演習の注意点は?

夏休みが近づくと、中学受験生の皆さんから

「受験校の過去問はいつから解きはじめたら良いの?」

という質問が増えてきます。

そこで今回は、過去問演習について考えてみたいと思います。

過去問演習の時期、やり方に正解はあるの?

首都圏や大阪圏のように私立中学がしのぎを削っているエリアでは、学力の輪切りが進んでいます。

たとえば偏差値50〜55くらいの子は第1志望がA中学かB中学、55〜60だとC中学かD中学、というように、同程度の学力と得点力を持っている子どもたちが同じ学校を受験しているということです。

その結果として、多くの子どもたちがひしめくボーダーライン付近の混戦から一歩抜け出すためには、該当校の傾向対策が非常に重要なポイントになるため、過去問学習の量や時期、やり方が中学受験の合否を左右すると言っても過言ではありません。

ところが、夏休みは塾の学習量や課題量が多いため、ご家庭で別途、過去問に取り組む時間を取るのは、なかなか難しいものですし、過去問についての指示内容も塾によって大きく異なります。

夏期講習を前にしたお友達同士、親御さん同士の会話などから過去問演習についての違いを耳にし、

「うちの塾では過去問は秋からで充分と言われていたのに、○○さんの塾は夏休みから過去問演習が始まるらしい」
「あなたの塾では夏休みの課題に過去問が出ているけれど、△△さんは塾の先生から、夏休みのうちはまだ過去問に手を出したら絶対にダメと言われたんだって……」

などと、お子さんたちや親御さんが不安になったり混乱されたりするのも無理はありません。

たとえばサピックスや四谷大塚などでは、夏期講習中から過去問演習が家庭学習の課題の一つとなりますが、本来、過去問演習は、塾の志望校別日曜特訓の有無やカリキュラム、志望校の入試問題傾向、ご本人の今の学力、併願校の入試問題傾向など、あらゆることを考慮して考えていく必要があります。

ですから、それぞれの塾での過去問演習のタイミングは決まっているものの、細かなこと(やり方や、いつ頃から、どの学校のものから取り組むか等)については、ご相談への返答がお一人お一人全く異なるのです。

過去問演習に関する4つのポイント

過去問演習に関して、大きなポイントは次の4点だと考えています。

1. 塾の志望校別日曜特訓と並行し、10月あたりからやっていくとよい。

2. 設問の文章が長かったり、記述の文字数が多かったりなど、特徴がはっきりしている学校への対策は、早めに始める。
(前述の通り一人一人のケースにより判断は異なるが、大体夏休み後半や9月あたりからが目安。志望校の過去問だけではなく、傾向の近い学校の問題も数多く解くことが理想的。)

3. 基礎学力が、志望校に明らかに届いていない場合は、弱点対策が最優先。
この場合、傾向、対策は二の次で、11・12月頃から集中的に行う。

4. 併願校は、入試問題の傾向が似ている学校から探すことが出来ると理想的。
そうできない場合でも、あまりにも傾向のかけ離れた学校をいくつも併願するのはとても危険であることを覚えておく。

上記のことから考え、早めの過去問学習が必要になってくるのは、たとえば下記の学校などです。

・開成の国語
・麻布の算数・国語・理科・社会
・桜蔭の国語・算数
・栄光学園の算数・理科
・筑駒の算数・国語
・武蔵の国語・理科
・渋幕の算数・理科・社会
・渋渋の理科
・学習院女子の国語・理科
・海城の理科・社会

過去問演習の注意点は?

また、過去問演習で注意したいこととして、下記があります。

1. 制限時間を守る。(一人一人のケースによるが、常に1〜5分短く解くようにするのが効果的な場合もある)

2. 問題文を読み飛ばさない。

3. やりっ放しにせず、間違った問題の復習をしっかり行う。

4. 間違った問題、分からなかった問題をすべて復習しない。(赤本のデータ欄などを確認し、合格者平均点に届く点数くらいを目処にすると良い。)

5. 解説が詳しい過去問題集を使うと良い。
(詳しくなくても、塾の先生や個人指導の先生にしっかりと丁寧に解説してもらえば問題ない。過去問の解説は最低限のため、どれを使っても、それだけで深く理解するのは困難な場合がほとんど。)

6. 解答用紙は、拡大コピーして使うと良い。(特に算数)

過去問演習の一つの大目的は、入試問題を見たときに、

「この問題はどうやって解くのだろうか?」

と、その解法を自力で見つけ出すことができるようになること、また、今解いている問題が、過去に解いたどの問題と似ているのか、どの知識や解法を使えば解けそうなのかを瞬時に判断できる力を養うことです。

6年生の夏休み頃では「最終的な合格者」でも解けないものばかりです。

今どれくらい解けるかということよりも、解いてみて解けなかった、わからなかった問題をきちんと理解し、こんど類似した問題に出会ったときにはしっかり対処できる状態にしておくことが何より大切だということを忘れず取り組んでください。

また、夏休み前の今のうちに、受験生の皆さん、もしくは親御さんが「行きたい、気になる学校」の過去問をチラッと見ておくと、志望校、併願校の検討にも役立ちますし、過去問演習のちょっとした心の準備も出来るのでおすすめです。

あらかじめ第一志望校などの過去問を少し見ておくだけでも、たとえば

「開成や麻布中は国語の解答欄がほぼ記述で、選択問題が極端に少ないのか!」

といったことや、

「麻布中の理科は長文問題で、今まで見たことも聞いたこともない話題の文章を読んで解答しなければならないことが多そうだなぁ」

といったことが分かり、普段からどんなことに気を付けたり、学習でどこに力を入れたりしたら良いかの参考になると思います。

中学受験生の皆さんが、元気に充実した夏休みを送り、それぞれに効果的な過去問演習(もしくはその準備)が出来るよう、応援しています。